ミックの 丸い布団
ジロー犬にはお気に入りの布団がある、水色のまあるい布団でジロー犬は気持ちよさそうに、くつろいでいる。その布団はもともとは、ミックのために買ったものなのだ。だから私は、丸い布団で眠ってるジロー犬にいつも言ってしまう。
「ジローは、このお布団が大好きなの?でもね、このお布団は、ミックの布団なの・・・ミックのお布団なの・・・」と・・・
🌈ジロー犬が可愛くて、少し意地悪をしているのかも知れない。
ミックとの出会い
ミックはミックス犬、日光のペットショップにいた。自分の体の大きさと変わらない、狭い犬用トラベルバックに入れられて暮らしていた、顔は可愛く、とても大人しい、だからミックの存在に気づくまで少し時間がかかった。話しかけても無表情で反応はない、ミックと出会った時の印象は、そんな感じだった。
私が日光に引っ越してきたのは、ある日突然、住む家が無くなるという現実を告げられた事から始まった、話すと長くなるから事情をまとめると、私はある日突然、ショッピングバックのように捨てられたのだ。
捨てられた私を助けてくれたのが、親戚のお姉さん。私とお姉さんの父親同士は兄弟で、お姉さんには障害者の弟の徹さんがいる。徹さんは障害者施設に入所しているので、普段は空き家になっている徹さんの家に私は住まわせてもらい、お世話になることとなった。
私にとって生まれて初めての一人暮らし、それも望んでなったわけではない。一人暮らしが寂しくて、散歩にだけでも行かせてもらえる犬はいないかと、ペットショップに通っていた。
ミックのつらい過去
何度かペットショップに通ううちに、いつも狭いトラベルバックの中で動かないでいるミックに違和感を感じた。「もしかしてこの環境でずっと暮らしているの??ありえない!!!」私は店のオーナーにミックの過去について話を聞いた。
ミックはもともと千葉県で生まれ、室内で大切に育てられていた、飼い主の事情で、知り合いの家に貰われて、貰われた家でもまた飼えなくなり、流れ流れて日光のペットショップにいるのだと知った。
ミックに話しかけても無表情で反応がない訳がすぐに分かった、人間なんて信じないと、決めていたのだろう。お前も私と同じ・・捨てられたのね。
私はミックを日光の家で飼いたいと、お姉さんにお願いしようと決めて伝えた。お姉さんは、私が幸せになるのなら飼いなさい、とだけ言ってくれた。お姉さんは傷ついた私を、それからも、今でもずっと、支えてくれている。
若返ったミック
ミックの年齢は12・3歳くらいではないかと聞いていた。以前私は、ロッキーという黒い雄犬を18年飼っていた。ロッキーにくらべればミックはまだまだ若い、これからできるだけ長く一緒に居たい。
ミックが家にやってきた、お姉さんから犬小屋のプレゼント、お姉さんの旦那さんは犬小屋に断熱材を敷き、冬寒くないように防寒対策をしてくれた。welcomeミック!!ミックが来てから私は一人ではなくなった。ミックは利口で飼いやすく、全く手がかからない。
ペットショップのトラベルバッグの中から我が家に来たミックは、初めこそ静かな様子でいたけれど、快適な環境がお気に召したのか活発になった。
庭はフェンスで囲まれて、自由に動けてのんびりできる、ミックは金木犀の木陰が大好きで、その木陰でよく涼んでいた。夜は家の中に入れているうちにミックは室内犬となり、家と庭と犬小屋を自由自在に使い分け、散歩も大好きな活発な犬に変わっていった。
ミックがいる幸せ
ミックとは3年くらい暮らしていた。ミックは老犬と言われる年齢だったからなのか、よく寝っていた。その寝顔が可愛くて私の心は癒された、ミックがいる幸せ、ミックがいなかったら、私はどうしていたのだろう?
ある日、男性が一人、家を訪ねてきた、NPO法人の代表の方で、会員の男性がミックとたまに会いたいと相談に来たのだ。数日後、お話のあった男性がミックに会いに来た、その男性もまた、心を痛めた経験があった。辛い過去をもつミックは 私の時もそうだけど、すぐに人の傷ついた心を見抜き、最高の癒しを与えてくれた。
それから男性は、リハビリの帰りに週に数回ミックに会いに来てくれて、ミックと男性との友情も深いものとなっていた。
散歩が大好きになったミックは、家の周りを散策したり、車に乗り一緒に出かけた。私とミックとの絆は絶対なのだと信じていたのに、間もなく私は、ミックを失うことになってしまう。
お寺の階段
寺のお墓に続く小さな階段で、ミックは立ち止まると、いきなり一気に走って登り出した。その姿が可愛くて、まさか数週間後にミックが死んでしまうとは、思いもしなかった、階段には近づかずに遠回りすればよかった。
家についてからのミックは、伏せをしたまま立てなくなってしまった。食欲は少しある、伏せをして横になり、顔だけ上げて「心配しないで」と言っているようだった。私は悲しみに暮れながら、ミックが元気に歩けるようにと願うしかなかった。
病院に連れて行くと、もともとトラベルバックの中にいたミックは、股関節に障害があり、そこを痛めてしまった。病院からもらった薬を食事に混ぜて口に運ぶも、だんだんに受け付けなくなってしまう。ミックが好きそうな食べ物なら何でも与えたが、呑み込めなくなった。
私はホームセンターで、寝たきりになったミックが、もしかしたら立ち上がりやすいようにと、丸い形の縁のついた布団を買った。
伏せをすることもできなくなったミックが その丸い布団を使うことは
最後までなかった。
現在の相棒はジロー犬
子供の頃から私は、犬が大好きだった、子供の頃は犬の寿命が短いなど気にしていなかった。何匹か飼ってるうちに、私より何時も先に死んでしまう犬への深い悲しみ。その悲しみに耐えられなくて、犬が死んでしまっても、また次の犬を飼い続けている。
ミックの後の私の相棒が現在の、優しそうに見えて、狂暴なジロー犬だ。
愛犬が亡くなって次の愛犬を迎えても、亡くなった愛犬をすぐに忘れられる訳ではない。1年2年と比べながら5年くらいたち、やっと同じくらいの可愛さに追いつくのである。ジロー犬がそろそろ5年に近づいている、そろそろミックと同じくらいに可愛いと思えるようになってきた。
でも、丸布団にジローが眠っていると
言ってしまう。
「ジロー犬 これはね ミックのお布団なの ミックのお布団なの」って・・・・
ねえ~ミック??
ジロー犬に丸い布団をあげてもいい??
だめだよね~ この布団は 何時までも ミックのお布団だからね~
ミック~ ミック~ ねえ~
ミック・・・・
お わ り
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