一般人女性と考える弾劾裁判
はじめに 前提となる事実
突然だが岡口基一という名前を聞いたことがあるだろうか。
同氏の弾劾裁判の第3回公判期日が2023年2月8日午後2時から予定されている。
…そう、明日の午後2時だ。
進行中の事柄であるので、何かを強く主張するつもりはない。
ただ、時系列と、問題点を指摘したいと思う。
岡口氏は裁判官であり、法律実務に携わる者ならば一度は目にするであろう書籍「要件事実マニュアル」の著者でもある(公務員でも執筆活動は可。)。
要件事実とは、一定の法律効果が発生するために必要な具体的事実をいう。
例えば、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)をする場合、交通事故や不貞行為によるもの等、世の中の「慰謝料」と言われる類のものはだいたい上記の損害賠償請求にあたるので、それに必要な具体的事実が各分野ごとに異なるのはなんとなくイメージできるのではないだろうか。要件事実マニュアルは、慰謝料も含めた民法のその多岐にわたる要件事実を体系化してまとめた実務書である。わたしも大変お世話になった本だ。
そんな岡口氏が注目を集めた事件がある。
岡口氏がTwitterで卑猥な画像を投稿していると裁判所内部で噂になっていた時期があった。岡口氏は要件事実マニュアルの著者として法曹界で有名だったし、何よりTwitterでも職業がわかる状態であった(噂を聞き、一度見たことがあるが、上半身裸に亀甲縛りの男性や白いブリーフ姿のもの等、温泉むすめ問題の比ではない衝撃的な画像がそこにはあった。)。
その頃から問題視はされていて何度も指導を受けていたし、2016年6月27日に厳重注意を受けた際にはマスコミにも報道されている。「このようなつぶやきは二度としない」と自身でも投稿していたようだ。
しかし、(A) 2017年12月、2015年に起きた殺人事件に関して、(B) 2018年5月にはまた別の民事事件に関して、事件の当事者の感情に配慮しないツイートを投稿した。(B)のツイートは(A)による厳重注意の2か月後であった。いずれのツイートも裁判官の職務にあることがわかる状態になっていて、当事者から裁判所へのクレームが入っている。岡口氏は裁判官を辞めることになってもツイートはやめない旨を上層部に述べた。そして、一度目の分限裁判が行われた。
一度目の分限裁判(平成30年(分)第1号 民集第72巻5号890頁)
懲戒申立てに対する結果は、戒告決定。
簡単に言えば、私的なツイートであっても「裁判官」という国民のイメージがあるからその信頼を壊したり、この人に裁判されたら変な理由で負けるんじゃないかみたいな裁判の公正を疑わせるようなものは、裁判官の品位を辱める(名誉を傷つける)から、懲戒が相当。でも裁判官は弾劾裁判以外では罷免できないので、「次はない」という最終通告的な決定と読める。
上記の裁判官に対する懲戒申立事件の際、代理人は野間啓弁護士を含め6名いたようだ。
これで終わればよかったのだが、岡口氏は、今度はFacebookで投稿を開始した。しかも、投稿した日が(A)の被害者の命日であった。これで遺族が反発し、岡口氏は投稿を削除した上で、謝罪文を投稿したが、仙台高裁に抗議文書を、裁判官訴追委員会にも裁判官弾劾裁判所への訴追を求める請求を行なった。
(遺族は、上記投稿の際に「洗脳」や「因縁」という文言を使用したことで精神的苦痛を受けたとして岡口氏に民事訴訟を提起している。こちらは2023年1月27日44万円の支払を命じる判決(一部認容)となった。岡口氏は控訴権を放棄するが、原告敗訴部分については控訴申立期間中であり未確定。)
2020年8月26日、最高裁判所は、二度目の分限裁判も戒告とする決定をした(最高裁判所としては弾劾裁判の訴追請求はしなかった。)。
2021年6月16日、裁判官訴追委員会は、最高裁判所の罷免の訴追請求なく、2017年12月(A)のTwitterの投稿について、裁判官弾劾裁判所への訴追を行うと決定した。同年7月29日に「弾劾裁判の判決が下るまで」職務停止とする決定がされている。
弾劾裁判の第3回公判期日は2023年2月8日午後2時からで、結論が出るのはかなり先になると思う。
不当な訴追から岡口基一裁判官を守る会
Colabo問題と同じように、こちらも守る会が発足している。
岡口氏の一度目の分限裁判の際の代理人と今回の弾劾裁判の弁護人をリストアップしてみる。分限裁判の代理人は岡口氏のはてなブログから、弾劾裁判の弁護人は上記の守る会のウェブサイトからそれぞれ確認した(公開されている範囲でしか確認できていないため、まだ漏れている可能性がある。)。
一度目の分限裁判では、岡口氏の同期が代理人となったようだ。
弾劾裁判では、一部入れ替わりがあるものの、同期で半数を占めている。
備考欄に記載した「ヒューマンライツ・ナウ」は伊藤和子氏が副理事長を務める団体だ。暇空氏が「弁護士を3人提訴しました」と発表した際に、伊藤和子氏を紹介していた。何か引っかかるな?と思っていろいろとリストアップしてみると、ヒューマンライツ・ナウの理事と重複していることがわかった。実は、調べ始めた段階では「岡口氏の代理人」として把握できていたのは野間啓氏のみだった。伊藤和子氏の情報はわたしにとって非常にありがたかった。
わからない理由
え、リストアップできてるじゃん?と思うじゃん?←
これらは、ウェブサイトを一読しただけでは確認できず、主張書面まで確認するという手順を踏んで初めて確認できたのだ。伊藤真氏は「著名人も反対しています」みたいな扱いにもなっている(守る会と弁護団は別のようなので何か事情があるのか、わざとなのか…)。ちなみに、津田大介さんのは視聴できなくなってたのでリンク貼り直した方がいいですよ。
ところで、岡口氏の「このような行為」はいつから始まったのだろうか。
wikipediaでは最初の厳重注意は2016年6月27日に、「2014年4月から2016年3月までの3件」が問題とされたことが確認できる。次男のTwitterでも2016年6月に「Yahoo!ニュースに載った」との投稿が、同年7月には岡口氏の記事がAERAdotに掲載されている。
岡口氏には、少なくともご子息が二人いることが判明している。
長男は2017年4月に経済産業省に入省しているようだ。
次男は同年2月に宮崎大学医学部に在学していることを明らかにした記事がある(リンクは貼らないが、朝日新聞に何回も掲載されている。)。
では、なぜ「このような行為」を続けるのか。
ここからはわたしの推測であり、あくまでわたしの主観に基づく考察である。
一般論であるが、検察官または裁判官を退官して弁護士になる人は珍しくはない。それぞれヤメ検、ヤメ判という呼び方があるくらいだ。
もしもどうしても職場が気に食わない場合、仕事を辞めてもいいのだ。しかし岡口氏は弾劾裁判に至るまで自ら辞めるという選択肢は取らなかった。
正直言って、自分が勤める会社の社長が同じことをしていたら、どう感じるか。
わたしなら嫌だなと思う。
しかし、ここに「裁判官」という要素が加わるとあら不思議。
社会問題になっているような気がしませんか?
なんかこういう話、最近多くないか?
という問題提起のために、弾劾裁判について取り上げた。
裁判官が自由に表現できないなんて可哀想
LGBTQの人が結婚できないのは可哀想
若い女の子が性を売ることでしか生活できないのは可哀想
AV撮影で被害者が出るのは可哀想
被害者ポジションをとる連中には気をつけよう。
次回の予定
次はヒューマンライツ・ナウについて、さらに考察を続けていきたいと思います。
フォローやスキの数が増えると早めに記事を投稿するかもしれません。
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