破綻
弁護士は言った『k給料払えなくなったら、会社止めますよ。何故、止めないんですか。』
『・・・・ 』
何故、皆、沈みかけている船にしがみついているのだろう。
手を離せば死を意味する。しがみついていても、何時れは死をむかえる筈だ。ただ時間を先延ばししてるだけだ。ただ仲間がいるだけの気休めでしかない。助け船が来てくれる奇跡を待つだけだ。周りを見ても沈みかけてる船ばかりだ。
零細企業では雇用保険にも加入していない、失業保険ももらえない、生活保護でやっていける自信もないだろう。
バブルがはじけた後は、沈みかけてる船ばかりだった。
創業者の息子である自分は無能な名ばかりの役員だった。
しかし、社長である兄は入院中で、社長代理の自分は、兄が復帰する迄は、なんとか、会社を潰すわけにはいかない。無能な社長代理は労働組合を作られ、益々がんじがらめになり、どうにもならなくなってきた。毎週、団体交渉を要求され、仕事もままならず、給料遅配、未払いで、立ち行かなくなっていった。会社ばかりでなく、自分の家のローンも払えなくなり銀行に相談に行ったが、自己破産するしかないでしょうと言われた。
取引先に有望な会社が有り、会社を買い取ってもらえないか相談に行ったが、借金があまりに大きいので無理だと、言われた。親会社が大企業だったので、上手く引き継げば、大企業へのパイプができるので、買ってもらえると思ったのだが。
勿論、親会社にも相談に行ったのだが、現会社を潰し、別会社(新会社)に取引を移す可能性はあるが、と言われた。
自分や他の役員はそれでもと思ったが兄は反対だったので、この話しは実現しなかった。
他に、親会社から天下りしてもらいその方の将来を保証するから、の様な作戦も考えたが、あまりに経営が悪かったので信用してもらえなかったのであろう。