R2D2season5決勝 オカルト観戦記(後編)
最終戦。
第1半荘(前編)の結果はこちら。
高見以外の3人はトップ必須で、かつ岡田・森口は高見の着順も意識する必要がある、そんな展開。
※解説はフィクションです。
東1局
支配色がソーズに確定したとは言え、新しい半荘の始まりは場が不安定になり、先手の取り合い・色のせめぎ合いになりやすい局面。
まさにそのような展開になる。
まずは先制でテンパイを入れる岡田。
打点が必要な局面でタンヤオ移行を視野に入れてもいいが、シャボの片方のアヤ牌を強く意識してリーチを選択。
ここも、アヤ牌に頼りたくなる気持ちは分かるが、この形からは手牌に蓋をしてはいけない。
次順6マンがきてタンヤオのリャンメンテンパイを逃してしまい、岡田は自力でのアガリが難しい状態へ移行する。
それを感じ取った高見・森口が得意の仕掛けで次々とテンパイを入れる。
まさにせめぎ合いの局面。ドラの3ピンは持ち持ちなので、こうなってしまうと、どうしても奇数牌である3ソウに軍配が上がる。
高見がここでもサボらずにしっかりと先制でアガリをものにする。
東2局
ここにきてコスモを失った岡田が、逆噴射による国士手を入れる。
だが先制したのは高見、ピンフドラ1の軽い手を入れるが、国士の岡田に6ピンを間に合わされた事、そして支配色ではないピンズ待ちを疑ってダマに構える。
岡田は国士2シャンテンまで手を進めるが、危険なソーズを手牌に残してしまう。
さらに、ドラを引き入れた高見。打点がいらないこの局面で、あえて待ちの少ない8ピンと残り1枚の6ソウのシャボに受け変えてリーチ。
オカルトシステムNo.17「ドラが出て行く形は凶!」と、ソーズの支配色を強く見た選択と言える。
また、国士の岡田に間に合わされた6ピンにあがりが薄くなっているという事実も考慮しての好判断。
解説陣も、あまりの支配色への意識に言葉を失う。
結果、手牌にソーズを抱えて進行した岡田が、国士無双のイーシャンテンから、盲点となる6ソウを放銃してしまう。
高見とソーズががっちりと手を組む姿が見えるだろうか。例えるなら令和の薩長同盟。
東3局
岡田の親番。ここまで苦しい展開でも、親番で手を入れられるのは流石と言わざるを得ない。先制の東と南のシャボ待ちリーチ。東は山に2枚。
直後、森口がカン2ピンを入れて追いつく。待ちは支配色のソーズ。
こうなると岡田の一発放銃は不可避である。
岡田の灯が消えかかる。
東4局
逆に、一発アガリにより満潮に近づいた森口が、マンズだらけの超好配牌を入れる。
詳しい説明は割愛するが、ここは支配色のソーズは意識せずに、素直にマンズを目指していい局面となる。
平たく言うと、マンズが業を煮やしたのである。
マンズの武士達が、「いつまでもソーズの奴に好き勝手させられん、我らを使え」と言ってくれている。それに応えるのもまた主君のあり方と言える。
流れに沿ってイーシャンテンまで歩を進めるが、確実なマンガンが欲しくなった森口は、オカルトシステムNo.12「門前アガリの次局、自ら動くことなかれ!」を破ってしまう。
結果、テンパイを入れたのは高見、待ちはソーズ。
こうなってしまっては薩摩、いや高見の思う壺である。
数巡後、テンパイ打牌のドラを鳴いた小泉の放銃となる。
東4局 一本場
ここからは、3人が協力して高見の親番を蹴らなければならない。
まずは森口が、中を鳴いてのテンパイを我慢して打点を作り、高めチャンタ三色でリーチ。
そこに追いついた小泉が、追っかけカン5マンリーチ。
こうなると、協力して親を落とすという理念の元に集まった仲間である。
まさに倒幕運動、幕末の志士達。
どちらがツモるかで色の強さが変わる大事な局面に、高見が匠(たくみ)を使う。安全牌がある中で打点を読み切って、安めの4ピンを差し込み気味に放銃する。
南1局
いよいよ最後の一周。最終局面。
これまでを振り返ると、予想通り支配色のソーズを中心に展開してきたが、この最終局面では、色ではなくなる。
マンズ・ピンズ・ソーズ・字牌。
条件のある3人は、それぞれに必要な打点を、牌との対話の中で作りにいく。それに牌が呼応するかどうかの勝負となる。
条件のない高見のみ、ソーズでのアガリやすさは維持される。
言うなれば以下のような構図である。
高見 vs 岡田・森口・小泉
ソーズ vs マンズ・ピンズ・字牌
何を言っているかは、分からなくてもいい。
ここでも先制は高見。完全に手牌を飼い慣らしている。
ここで4ソウを浮かせ、放銃不可避に見えた岡田が、5ソウを引き入れる事で放銃を回避し、見事に倍満まで見えるタンヤオピンフ三色のテンパイを入れる。天晴れ。
しかしここでも高見は、支配色の待ちで押し切る。
結果、手が進んだ森口が、1ソウを高見に放銃。
岡田の最後の灯が消える。
南2局
親番を失った小泉には、まだ僅かに条件が残る。
2巡目にテンパイを入れ、1300-2600をツモり条件を残す。
親番の終わった森口も、ここまでかと思えた。
南3局
ここで、後に「伝説の配牌」と呼ばれる手を入れる森口。
まさに三元牌の連合軍。
しっかりと第一打に3ソウを離して、真っ直ぐ大三元に向かう。
ここで、森口が剛(ごう)を使い、2巡目に発を持ってくる。
そして白を鳴き、たったの3巡で役満のテンパイを入れる。
山に6枚の6-9マン。
打点の必要な森口が、ドラターツを落としている。
そして白を鳴いている。
緊張感が走る卓上。
そこに、テンパイを入れた小泉が魂のリーチ。宣言牌は6マン。
「ロン」
ゆっくりと手牌を倒す森口。
小泉散る。
背中に傷はない、武士(もののふ)として見事な散り際。
南4局
いよいよ最終局。
親番の高見は伏せられるので、一発勝負での森口のハネツモが、唯一の逆転条件となる。
最後は、ハネマンの見えるイーシャンテンまで手を進めるも、森口にテンパイが入ることはなかった。
手牌を伏せ、安堵の表情を浮かべる高見。
こうして、追い風ポールポジションからしっかりとリードを守り切った高見が優勝を手にする。
総括
最後は全員ノーテンだったが、小泉・岡田はそれぞれ役満である国士無双・四暗刻のイーシャンテン、そして森口は条件を満たすハネマンのイーシャンテンまで手を進め、非常に場の波動の高まりを感じる一局。
全体を通しても、やはり今年もソーズが中心となり、実に8/17がソーズでのアガリであった。ここに役満のアガリ牌となった6マンのアヤが来期に残る事になる。
以上、観戦記を終わります。
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