プレゼンテーション1__自動保存済み_

ここが変だよ民泊新法その7 行政の本音を考える

前回の記事では、民泊に必要な消防設備が厳しすぎるという話を書きました。今回は民泊新法の施行により、民泊物件が激減する結果となっていて、今は新聞やテレビでもこぞって「民泊新法申請伸びず!」と報道されてるのですが、これって本当に予想外だったのかなと。

長年民泊事業に携わってきた立場からしたら、民泊新法の全文が公開された瞬間から、「これは無理でしょう」と思ったわけです。たぶん誰しもが。あまりに運営実態とかけ離れているし、申請自体のハードルや必要投資額が大きすぎる。さらに営業日数180日以下で運営なんて到底事業として継続できない。

で、これを作った人達って、「合法での民泊を推奨する為に作った法律なのに、こんなに申請が伸びないなんて予想外だった!」って思ってるのかというと、そうじゃないんじゃないかと思うんですよね。(そんなに想定力のない人達に政治をしてほしくないという思いもあります)

民泊新法は、既存プレイヤーを退場させたかった?

既得権業界(ホテルや旅館業界)のロビー活動や圧力があったのは間違いないと思うのですが、行政にとっても今の民泊業界はあんまり都合のいいものとは言えません。現時点の民泊市場は個人プレイヤー多数で、トラブルも多くて、税金もちゃんと払ってるかも分からない。有象無象ってやつです。

だけど市場が拡大し続ける(儲かる)から、事業者もどんどん増える。もちろん良質なサービスを提供できる人達もたくさんいるけど、そうじゃない人達もたくさん出てくる。

それだったら、いったんそのプレイヤー達には退場してもらって、大手企業が参入(民泊新法ではなく旅館業取得して)しやすい環境を作って、質の担保された安定したサービスで日本の宿泊業界を伸ばしていこう!という国の方針があったんじゃないかなと。裏側で。

もしそうだとしたら、ホテル業界と競合しないいわゆるホームステイ型(家主同居型)に関しては、割と寛大な規制内容になっているのも納得できます。

建前「ゲストや近隣住民の安全性を守って、事業者も安心して運営できるように民泊新法作りました」
本音「これから日本の観光(宿泊)業は、質の低い個人プレイヤーには退場してもらって、大手と既存ホテル業界で伸ばしていきます!」

正直、そういう国の方針があったんだとしたら、それは理解できるところですね。今は民泊ショックなんて言われていて一時的には宿不足が起こるだろうけど、今はバンバンホテル建ててるからそのうち供給も追いつくでしょう。市場ってそういうものだから。

ただ、民泊には、家主同居型以外にもホテルにはないニーズに対応できていた部分があったので、今回の民泊新法で、そういうサービスの多様性を潰してしまったのは非常に残念ではあります。

次回は、民泊のニーズと、ホテル業界との棲み分けについて書いていこうと思います。

投げ銭より、SNSシェアしてもらえると嬉しいです。 日本の観光業に明るい未来があることを願って。