グリースペンのブラシを、分解して、理解して、量産してみる
きっかけ
Proecreateというツールをご存知ですか?
私はこのツールがすごく好きなんです。
家で絵を描くのも楽しいけど、たまには外に出て、iPadを片手に外の空気を吸いながら描くのも最高なんですよね。
AdobeのFrescoも好きなんですけど、Procreateのブラシの種類がとにかく豊富で、これがまた抜群なんです。
どちらもすごいツールなんだけど、まぁそれは一旦置いといて。本当はもっと語りたいんだけど、話が脱線しちゃうのでここはグッと我慢して、ブラシってやっぱりすごいよね、って話を続けたいと思います。
Procreateは、とにかくブラシの種類が豊富なんです。
それに、いろんな人が自作のブラシを配布していて、それがまた面白いんですよね。
ブラシでざーっとなぐり書きしてるだけで、なんだか良い感じのテクスチャが出てきて、『あれ?これ結構いいかも?』なんて思ってるのは、きっと私だけじゃないはず。はず。・・・はず?
グリースペンシルでも、こういうのやりたいぞ。
そんな気持ちがむくむく湧いてきて、もうこれは作るしかない!って感じで、グリースペンシルのブラシを作ってみようと思ったのでした。
ブラシを増やしてみる
さっそく、Blenderを開いてみましょうねぇ。
先日4.3がリリースされたばかりですが、今回はBlender4.2を開きます。
デフォルトのブラシは8種類
でも私は知っています、なんか種類増やせましたよね。
・・・もうこれでいいんじゃないか?って思ったけど、もう少しだけ踏み込んでみましょう、先ほど淹れた珈琲もまだ飲み終わっていないですし。
ブラシを分解してみる
下の段の、右から3つめ、草ブラシを選んで、ぐいっと線を引いてみます
すばらしいです、なにもない世界に、天と地が生まれました。
そして、プロパティのマテリアルタブに、新たなマテリアルが自動で生まれたことも、私は見逃しませんでした。
そのあと、新しいブラシを選択して描くたびに、マテリアルが自動で追加されていました。つまり、ブラシとマテリアルは、セット?ということを想定しておきます。
逆に、マテリアルタブで「vegetation_3」を選択した状態で、別のペンを選択して描いてみます。
注目すべきは、ブラシ設定のマテリアルです(赤枠)。
私がマテリアルタブで選択した「vegetation_3」が反映されています(うっすい字で)。
そのまま、別のペンを選択して描いてみます。
このペンは、ブラシ設定のマテリアルに、私が選択した「vegetation_3」が反映されおらず、「Dots Stroke」が選択され、ピンで固定されていました。
ここで私の心の中の名探偵コナンは、「わかったぞ!」と叫んで、このピンを外します。
するとマテリアルは、自動的に「vegetation_3」になりました。
ははーん、つまり、
ピンを押していない→マテリアルタブで選択したマテリアルが、自動で選択される
ピンを押している→自分で(すでに設定されている)マテリアルを選択できる
というわけです。
そして、グリースペンシルのブラシは、「ペンの設定 ✕ マテリアルの設定」で無限に作れるということがわかってきました。
あれ?ここまで当たり前のこと言ってる?
逆にわかりにくい?
名探偵コナンの見過ぎ?
続けましょうね。
この草ブラシはストロークにチェックが入り、フィルのチェックは外れています。
試しに、フィルにチェックをいれてみましょう。
次に、ストロークのチェックを外してみます。
さらにいじってみます。
フィルの設定に、草ブラシのテクスチャを入れてみます。
ここで私の中のコナンが気づきます。
線に向いてるテクスチャと、塗りに向いてるテクスチャがある!
線に向いてるテクスチャ
線に向いているテクスチャは、例えば草ブラシみたいなやつですね。あと、紅葉樹の葉っぱみたいなブラシ、これも線に向いていると思います。
これらのテクスチャの実態を見てみます。
ヘッダーのワークスペースに「テクスチャペイント」を追加します
これらから想像されるのは、輪郭がくっきりしているものが、こういう葉や草の表現に向いていると考えられます。あと、石や樹木など、密集してあるようなものもいいかもしれません。
真逆のことを言うかもしれませんが、輪郭がくっきりしていないテクスチャも、線に向いているテクスチャと考えられます。
いいですねぇ
なにか、物語が生まれそうです
先程の考え方と同じで、マテリアルを変更すれば、ペンの設定はそのままでテクスチャは変化します
だいぶグリースペンシルのブラシがわかってきた気がしませんか?
塗りに向いてるテクスチャ
さて、塗りに向いているテクスチャ、それはなんといっても、柄です!トーンです!
先にあげた、Proecreateで適当に描いた一枚絵をテクスチャとして塗りに適応し、適当に描き出して、動かしてみました。
これはこれで、アートっぽい感じ?
抽象的なアニメーションの背景に使えそうな、使えなさそうな…
マスキングテープのように、ドットやハートのテクスチャを貼り付けてみるのも可愛いかも。
自作ブラシを作ってみる
目標を考えてみます
線に向いているブラシ → 石ころブラシ、いい感じの塗りブラシを作る
塗りに向いているブラシ → ハートドットブラシを作る
石ころブラシ
まず、新規ブラシを作るために、デフォルトのペンをコピーします。
ここまでは、同じペンをただ複製しただけなんですけど、ここからが本番です!自分好みのブラシにカスタマイズしていきますよ。ちょっとワクワクしてきますね。
石の柄を描きます。適当でいいです。
マテリアルタブで、新しいマテリアルを作成するか、既存のマテリアルを複製するかして、とにかくマテリアルを作り、名前をセットします。
石ころの元マテリアルに、先程の画像を適応して、ここで一回描いてみます。
すると、かわいい石ころが出てきました。
でも、もっとランダムに密集して出てきてほしいものです。
ちょっと設定をいじってみましょう。
マテリアルの設定をいじる
ラインタイプ:ドット
スタイル:テクスチャ
ブレンド:1
配置:固定
回転:(お好みで)
ブラシの設定をいじる
半径:500
強さ:100(下げると透過してしまう)
係数:0
(略)
ランダム化:チェック
UV:お好みで(石ころが回転する)
色相・彩度・値(明度):お好みで
ジッター:100
なんとなくジッターのカーブをいじってみるが、本当に少しの違いでしかない
上記の設定で描いた石ころがこちら
いい感じブラシ
では同じように、いい感じブラシも作っていきます。
もととなる素材はこちらです
マテリアル設定だけして、描いてみるとこんなかんじ
ここからペンの設定を修正して、エフェクトをかけてみると
ハートドットブラシ
もととなる素材はこちら
今回は、ストロークのチェックをはずし、フィルにチェックを入れます。
スケールや回転はお好みで。
新規ブラシを作成し、ブラシの設定をいじって、適当に描いたTシャツにハートドット柄をのせました
まとめ
当初の、Proecreateみたいなブラシを作りたいという目標は、果たせたのでしょうか?自分でもよくわからなくなりました。
でも、今回、ブラシを作ってみて、改めてグリースペンシルの奥の深さを感じました。
いつものごとく、後半駆け足になって、最後のハートドットブラシについてまとめきれていない部分があるので、それはまた別の回で書こうと思います。
あー楽しかった~(*^^*)
ではまた!