『月の円盤/藍坊主』を聴いて
藍坊主として、約4年ぶりのアルバム。
待ちに待っていたし、その期待を軽々と上回る素晴らしさ!
いやー最高です。
アルバムとしての流れが驚くほどに洗練されていた。収録曲のうち2曲が先行してリリースされているのだけれど、特に"夏の金網"という曲が、一曲で聴くのとアルバムの流れで聴くのとで、全く違う聴こえ方をする。アルバムの締めの曲として、むしろ存在感が強まったような印象を受けた。
"卵"は、えのすいでのライブで、半月酒場での演奏を聴いたことがある。その時から既に、めちゃくちゃ惹かれていた。ライブで演奏された新曲が音源化されるまで時間がかかるパターンもあるので、こんなに早く収録されると思っていなかった。
比喩表現の使い方が凄い。そしてその比喩に用いられる情景の描写が、頭の中にスッと浮かんでくるのが藍坊主の歌詞の素晴らしさで、だからこそ歌詞の一番大切であろう部分がより明確に伝わってくる。そして、歌詞の動きと曲の動きが震えるほどにマッチしている。
そういった、藍坊主の素晴らしさが凝縮された曲だと感じた。
"小さな哲学"は、このアルバムを聴くにあたって、初めにブッ刺さった曲。客観視の極致のような歌詞と、ずっとソロを弾いているかのようなギター!
もうずっと歌詞を頭の中で反芻してしまって、この歌詞が仕事中に流れ出すと手が止まっちまうほどに入れ込んでいる。私が私として生きていくうえで、絶対に失ってはいけない視点を強く叩きつけ再確認させられた感じ。
"シュート"は、これぞ藍坊主のアルバムだ!、と感じさせる曲です。アルバムが出るとなったとき、やっぱこういう曲を心のどこかで待ち構えてます。
この曲が仕事中に頭の中で流れると、気付くと20分ぐらい経っていて吃驚します。リフが堂々巡りしたかと思えば、「たたったたっ…」とメロが鳴りさらには曲が通しでなり…、という堂々巡りが始まり、気付けば時間が消えている。魔法ですね。
めっちゃ楽しいのでぜひ聴いてほしいです。
"ルノの子"は和を感じさせながらもクラシカルで、ちょっとまだ追い付けていないなという印象が一番強い。これは全く否定的なニュアンスではなく、絶対に納得いくまで聴き込むし、超絶好きです。
ピアノのハンマー音が好きだから、まず入りから気持ちが良い。淡々と進んでいくようにも聴こえるが、最後のサビに向けて緻密に構成されているのが分かるので、今はそれを紐解くイメージで聴いている。
"プールサイドヒーローズ"は、去年リリースされたシングルで、青春!って感じの瑞々しさとそれとともに走り抜ける疾走感が心地良い曲。
私はこの曲のサビのコーラスがとても好きで、いつかバンドでもやってコーラスあててみたいなとずっと思ってます。でも多分これを言い出したら藍坊主の曲は総じてコーラスのフレーズが素晴らしいので、それだけで生涯を終えそう。
音の振り分けが凄くて、リードギターのリフが脳の中枢を貫いていくような聴こえ方をする。音楽体験が啓かれる!
"ツキノフォン"は、これまでの藍坊主にはなかったような曲調だ。とにかく癖になる。一聴して乗るのが難しく感じるけど、ベースに重きを置いて聴くことでそれは解消される。そうするとあとはひたすら曲の良さに身を委ねられる。気持ちが良い!
この曲の歌詞で歌われている、「生きてることは」から始まる部分に強い共鳴を感じていて、しばらくはこのことを軸に、自分なりの生きてることを思案しようと思っている。そう簡単には分からないだろうけど。
最後は"夏の金網"。
藍坊主はドラマーが脱退しており、新体制になってからリリースされた一曲目だ。
冒頭にも書いたように、シングルで聴くのと、アルバムの中で聴くのとで、全く印象が変わった。この曲の力強さが、より強く反映されているような…、難しいですね。上手く言語化できない。伝われ。いや、アルバムを聴いてくれ!
メロディーの素晴らしさは言わずもがな、新たなサポートドラマーHAZEさんの一発で心を鷲掴みにする鬼のドラムフレーズ、心のわだかまりの全てを打ち破るようなギターソロ、どこまでも安心感があり曲を聴いてる私を力強く支えてくれるベース、曲を彩り聴き込む楽しさを何倍増しにもしてくれるキーボード!全部が楽しいですほんと。いつも圧倒されてます。
このアルバムを聴いて、ひとまずこのタイミングで自分なりなまとめておきたかった。書けて良かった。
そして明日、久しぶりの全国ツアーのファイナルに行く。コンディションはばっちり。レコ発のファイナルがあまりにも久々だ。でも、スタートから全開でぶつかっていける確信がある。
名盤です。
ぜひ聴いてみてくれ!