地域の絆、野毛大道芸
野毛大道芸とは
日本三大大道芸の一つであり、1986年から野毛地区の町おこしとして始まった。
きっかけは、バーに集まっていた方々が野毛で何かをしたいと話していたとき、そのうちの1人のイクオ三橋氏から大道芸を提案されたことだ。
それ以前は、青空画廊という商店街を使った画廊を開き、ジャズ盆という横浜市歌を使った盆踊りやジャズバンドを呼んで演奏を行っていた。しかし、集客や音量の問題からこれらは続かなかった。
それでも野毛大道芸を開催し、町おこしを諦めなかった理由は何だったのか、私は疑問に思った。
では、まず野毛大道芸の概要から見てみよう。
野毛大道芸による町おこし
野毛大道芸は立地と時期を活かし、野毛地区に多くの人を流入させている。
4月の最終週の前の土曜日・日曜日に大道芸を開催し、終了は16時30分。2日間で10数万人もの人が集まる。(昨年より開催時期は変更)
競馬の桜花賞と時期を被せることで、野毛にある場外馬券売り場に来た人たちや、近くにある野毛山動物園に来た家族連れに大道芸を楽しんでもらう。
その後で、野毛の飲食店を利用してもらうために16時30分を終了時刻にされている。
集客に対して好条件な立地を生かしたなんと素晴らしい戦略だろう。
(ちなみに、競馬で勝った方は芸人さんに気前よく投げ銭をしてくださるそう、、、、!)
野毛でお酒を飲み、楽しんでもらう中でお客さんや大道芸人さんが野毛を好きになる。野毛を好きになってもらうことで住民の方は野毛をより誇りに思う。
この連鎖が、野毛地区を盛り上げる大きな原動力だ。
こだわり
野毛大道芸の芸人さんをブッキングされている飯島さんは、その芸が「野毛に合うかどうか」を大事にしている。
新しいお店や古いお店が立ち並ぶ野毛にふさわしい、尖った大道芸を求めているのだ。
過去には、「人間ポンプ」という蛇や金魚、碁石を飲み込んで、それをまた出すという芸があった。碁石を飲み込み、お客様から「白!(の碁石)」と言われれば、白色の碁石を出すなど器用なことをされていた。
火吹きの芸では、実際にガソリンを飲み込んで火吹きをする芸人さんもいるなど迫力満点の芸が行われていた。
また、大道芸人さんをブッキングするにあたり、毎回その3分の1はまだ世に出ていない芸人さんを呼んでいる。
一般的な大道芸は、完成された綺麗な芸を披露することが多い。しかし、野毛では完成しきったものではない芸も披露してもらう。その中で、芸人さんが野毛の初舞台で感じる「高揚感」を大事にしてもらいたいからだ。
これらのこだわりが、野毛の面白さを増幅させる。また、新人の大道芸人さんが活躍できる場を設けることで、大道芸自体の振興にも繋がっていると感じた。
野毛の町
野毛の住民は、血のつながりのある人が多く、昔から馴染みのある人同士が多い。個人が好きなように、本音で生きている町である。
だからこそ、町おこしの運営の方々は心の底から野毛で面白いことをしたいという気持ちがあるのだと私は思う。
たとえ上手くいかなくとも町おこしを続けることで、彼らなりの「面白さ」を表現する。それが野毛大道芸なのだろう。
多くの方が野毛を面白いと感じる理由はここに詰まっている。
今後の予定
2021年11月時点で、2022年は9月に成田山と横浜にぎわい座で野毛大道芸が開催される。
私は野毛大道芸を通じて、「野毛らしさ」を是非今年体感してみたい。