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Blue Jaysの近況(5/3時点)

1 ごあいさつ

 はじめまして。ひっそりとトロント・ブルージェイズのファンをやっております、とりすきと申します。この度は当noteをご覧いただきありがとうございます。
 今回X(旧Twitter)では文字数が足りないことを主張せんと思い立ち、初めてnoteを執筆することといたしました。このような書きものは不慣れであり、誤字脱字など読みにくい点はあるかと思いますが、何卒ご容赦の程よろしくお願いします。また、ご指摘等ございましたら、連絡をいただけるとありがたいです。

2 Blue Jaysの近況(打線)

 MLBが開幕して丁度一ヶ月が経ちましたが、皆さまが応援されている球団の調子は如何でしょうか。     
 我らがトロント・ブルージェイズ(以下TOR)の状況はどうかというと、5/1時点で15勝17敗 
勝率.469で地区4位、また32試合で総得点は111、総失点は142、得失点差-31と余り芳しくない数字。特に激戦区のAL東地区において、借金持ちと得失点差マイナスは開幕一ヶ月後といえど物足りない戦績のように感じます。
 さらに、今後の浮き沈みを考える上で重要となりそうなチーム成績を見てみると、チームOPSは.669で全体20位とパッとせず、特にGeorge SpringerGuerrero Jr.Bo Bichetteら上位打線を担うメンバーが軒並み不振というかなり痛い状況に陥っています。

↑2021をピークに成績が下降線なのは一体なぜなんだ。
対FBのRun Valueが2023以降大きく弱体化しているのは要因の一つかも。
↑父君と練習頑張っているらしいので、調子を戻してくれ…
↑年かな?指標は以外といいんだけど…
彼は4シームよりもスライダーへの対処が肝心。
特にWhiff率39.7%は三振が増えて当然だ。

 

 
 オフに迎え入れたJustin Turnerおじさんを筆頭に、昨年素晴らしいデビューを果たしたDavis Schneider、一昨年手痛い出費によって獲得したDaulton Varsho、怪我から復帰後就活打法で打ちまくっているDanny Jansenらがどうにか相手投手に抵抗を試みていますが、その結果は上に書いた通りです。先日AAAから昇格したAddison Bargerも初ヒットは打ちましたが、まだまだ適応に苦しんでいます。
(追記 5/4 外野手Nathan Lukesの昇格に伴い、Addison Bargerはマイナー落ちしてしまいました。もっと長く使って欲しかった…)
 
 また、バッター全体の傾向として右投手に弱いという課題があります。対左のOPSは.705で全体13位と平均以上であるのに対して、対右は.657で全体23位と下から数えた方が早い順位。これに関しては、主軸に右打者が固まっていることから、開幕前から懸念されていました。現場でも左打者のBargerやLukesを上げて対策を行っているようですが、そもそも彼らはメジャーで打てるかどうか未知数なので何ともいえません。


 
3 Blue Jaysの近況(先発)

 一方、シーズン開幕前はTOR最大の武器とされていた先発ですが、先発防御率は3.97にQS率44%とまあまあの出来に見えます。しかし内実は3・4月のAL月間最優秀投手に輝いたJose Berrios様菊池雄星が踏ん張っているが故の数字で、上記の二人やBassittはともかくとして他が不安要素ばかり。昨年不振だったManoahに代わり第5先発としての定着が期待されていたBowden FrancisはHOUとNYYに破壊され、後述のYarielが先発としてロスター入りするとロングリリーフに逆戻り。さらに右前腕の怪我(Right Forearm Extensor Tendinitis)で15日IL行きとなってしまいました。
(今後も先発として使い続ければ、必ず実を結ぶと信じていただけに残念…)

https://twitter.com/mlbtraderumors/status/1783552815614374168?t=bwrRPcICSoNZEkxplaBk1A&s=19

 昨オフ5年3200万ドルの鳴り物入りでTORに加入したYariel Rodriguez。入国に手こずったことや先発としての起用もあり、開幕はAAAでの調整となりました。その後Fransisに代わり第5先発を担うことになったのですが、防御率こそ4.11と見られる数字ではあるものの、球数制限の影響もあって4登板で15.1イニング消化、5イニング以上投げたことは一度もなく、さらに現地4/30には胸椎の炎症(thoracic spine inflammation)で15日のIL入り…

 

 一番心配なのは我らが大エースKevin Gausman。
昨年はAL奪三振王に輝いた彼ですが、今年はとにかく様子がおかしい。
 そもそも彼はST前から肩に違和感を覚えていたらしく、調整が少し遅れて開幕投手はBerrios様に譲るという状況になっていました。

 現地4/6のNYY戦では1.1回を投げて6失点(自責5)の大炎上。また全ての球種において著しい球速低下が見られ、彼の代名詞でもあるスプリッターが全く制御できていませんでした。

  現在4シーム平均は93.8マイル程になっていますが、それでも昨年の94.7マイルから約1マイル落ちていますし、被wOBAも.316→.454に大幅悪化しています。
 しかしそれよりももっと深刻なのがスプリッターで、とにかく空振りが奪えない。こちらも平均球速が1マイル以上低下し、Whiff%は昨年43.2%→26.9%で去年比どころかキャリア全体でワーストの数字。Run Valueも16から0になってしまいました。(Chase%は33.1%で例年通り上位。前まで空振りだったものが当てられている?)
 結果的に彼の奪三振率は18.7%(昨年は31.1%)で全体でも下位26%と、奪三振王の姿は見る影もないという状態です。
 現在26イニングを投げて防御率4.50ですが、SavantのxERAは5.77とかなり悪く、またさらなる怪我の懸念もあって今後どうなっていくか計算が立ちません。 
 ただ、彼は今年からシンカーを再導入しており、低めに投じるそれはもしかしたら質の低下した4シームとスプリッターをカバーできる存在になるかもしれません。まだ17球しか投げていませんが、新たな球種がどのような効果を齎すのかは注視していきたいですね。

4 Blue Jaysの近況(リリーフ)

 リリーフ状況もあまり良くありません。与四球数やWHIPは平均か少し悪いくらいですが、リリーフ防御率は4.88で全体25位、被弾20発は全体ワースト2位とかなり打ち込まれています。またリリーフ奪三振数95は全体26位で、制圧力も乏しい…
(ちなみにリリーフに負けがついた総数は2で、これは全体1位。なぜかというと打線が点を取らないので、先発に負けがつくからです。先発の負け総数は15で、これは全体ワースト3位。)
 特に誤算だったのはTim MayzaとErik Swansonの不振。前者は昨年69登板53.1イニング投げて防御率1.52とよく言えば獅子奮迅の活躍、悪く言えば出来すぎの内容でTORのブルペンを支えてくれましたが、今年は11イニング投げて防御率5.73ととんでもなく悪化。一昨年と去年のフル稼働が原因か、軸となるシンカーの球速が約1.5マイル低下し、バレル率とGB%、平均打球速度も同時に悪くなっています。またBB%も7→14%と2倍になり、もはやハイレバレッジな場面を安心して任せることはできません。
(なお直近5試合では失点と与四球数共に0が続き、ある程度見られるようにはなりました。)
 続いて後者のErik Swansonですが、彼は開幕前からの腕の痛みと息子の交通事故で調整が遅れており、同じく肘の炎症で故障していた守護神Romanoと共に、開幕をILで迎えました。

 AAAでは3登板2.1回を投げて被安打4、2失点と打ち込まれており、また三振も最初の登板以外で奪えていない状態だったため、もう少し調整するかと思っていましたが、現地4/17日ロスターに復帰。

 現地4/19の本拠地NYY戦で復帰を果たしましたが、なんとHR1本を含む被安打3、3失点で一回持たず降板。その後も失点を重ね、現在6試合登板5イニング投げて防御率12.60と見ていられない数字に…
 さらに彼の強みであったWhiff%及び奪三振率が極端に悪くなり、昨年と比較して前者は32.6→14.5%、後者は28.6→11.5%とSavantの指標が真っ青になってしまいました。
 原因としてスプリッターの質低下が考えられます。球速と変化量はそこまで変わらないものの、こちらもGausmanと同じくWhiff%が悪化しており、34.3%→19.2%と酷い数字。またPutaway%は27.9%→9.1%で、決め球として全く使い物になりません。おまけにハードヒット率も悪く、wOBAに関しては.563と投げたら打たれる球になってしまいました。(さらにたちが悪いのは、彼の場合Chase%が昨年33.3→28.9%に落ちたこと。ボール球に釣られなくなってる…)
 ただ与四球率8%→3.8%、GB%40.4%→50.0%と改善された点もあります。三振で制圧するタイプからゴロピッチャーにスタイルチェンジしてもいいので、どうにか復活してほしい…
 この他にもリリーフ方面でよろしくない方々はいるのですが、あまり悪い点ばかりを指摘するのも面白くないので、素晴らしい働きをした選手も紹介しましょう。
 良かったリリーフについて話すなら、ここまでTORを支え続けてくれたYimi Garciaには言及しなければなりません。RomanoとSwansonが開幕直後は不在だったこともあって主にクローザーとして活躍。奪三振率34%・与四球率6.4%という圧倒的かつ安定したスタッツを残し、なんと13試合登板13.1イニングを投げて防御率0.68、WHIP0.53!
4月のTOR MVPを仮に決めるとしたら、Yimi GarciaとBerrios様に授与して欲しいですね。


 またSwansonと同じく怪我から復帰した守護神Jordan Romanoにも触れると、肘の炎症ということで質の低下を不安視していましたが、6登板5.2イニング投げて防御率3.18、4シームの球速は去年と遜色なく、十八番のスライダーもWhiff33.3%としっかり空振りを奪えると全く問題なし。さらになぜか与四球率も去年9.7%だったものが4.3%に改善されました。流石です。

4 Blue Jaysのアップサイド

 ここまで長々とTORの近況について語ってきましたが、あまり芳しくない状況を打開できるほどのアップサイドは存在するのでしょうか。

・野手
 始めに、先日上がってきたNathan Lukesについてですが、彼が打線を救ってくれる可能性はほとんどないと考えています。
AAAでは20試合81打数23安打 3HR 13打点 7四球 17三振 3盗塁(失敗2)
打率.284 OPS.780
また最近調子を上げており、直近10試合では37打数13安打 1HR 4打点 7四球 9三振 2盗塁(失敗1)
打率.351 OPS.961
 両翼を守れる他、左打者であるため右のSpringerやSchneiderとのプラトーン要員として使われるでしょうか。
(Springer・Schneider共に対右の方が成績良いのは内緒。後者に至ってはOPS.808とかなり打っています。)
 彼の懸念点として、今年GBの割合が53.1%とかなり高く、インフィールドフライも既に7つ打っていることが一つ。打球の質があまり良くないように見えます。また最近は改善傾向にありますが、四球に対して三振が多く、これらの点を考慮すると個人的には彼にあまり期待出来ません。
(というよりAAAでやることないくらい打ちまくってたBargerをもっと長く起用して欲しかった。)
 
 他にマイナーから上げられそうな野手を挙げると、昔から期待を寄せられている全体81位傘下2位のトッププロスペクトOrelvis Martinez(INF)とSpencer Horwitz(1B・LF)、またWill Robertson(OF)がAAAで打ちまくっています。後者二人はポジションと40人枠外の関係で昇格は難しそうですが、前者はおそらく今年どこかのタイミングで見られると思います。私の予想では9/1のロスター拡大時でしょうか。彼のパワーはTOR打線に良いアクセントを齎してくれるはず。
 ただ、結局の所打線の火力不足を根本から解消する為には、Guerrero Jr.とBichette、Springerら三人の復活が大前提であり、もはや祈るしかありません。

・先発
 先発のアップサイドとして真っ先に名前が上がるのはAlek Manoahの復活。マイナーではAAAに限定すると、4試合18イニングで防御率6.50 WHIP1.67とまだ苦戦中。与四球と被弾が相変わらず多く、特にマイナーでHR/9 2.00はかなり厳しい数字となっています。
 一方で奪三振率32.1%、K/9 13という数字は評価でき、またBABIP.432と運に見放されているかもしれない点などポジティブな要素もあります。
 さらにFransisとYarielの離脱で先発のコマが足りないこと、また前回登板で6回1失点12奪三振の好投を披露したこともあり、メジャー復帰の可能性を言及されるようになりました。

 投球内容は「4シームとシンカーの球速は十分でコマンドが少し不安、スライダーに関しては往年の姿に戻っている、チェンジアップはほとんど投げない」といった感想で、まだ課題はありますが、上で試してみても良いのではないかと考えています。
 
 Manoah以外の先発候補ですが、TORのNO.1プロスペクト Ricky Tiedemannは肘の神経が炎症を起こしたことでIL入り。(構造的な損傷は見られないそうです。)彼をMLBの舞台で見られるのはもう少し後のようです。

https://twitter.com/KeeganMatheson/status/1782517737232662846?t=5OZ-yRoxTijSOVh2hyp5pw&s=19

 また40人枠内のLHPで私の一押し、Adam MackoはAAで23イニング投げて防御率4.70とまだ上げるには課題が残っています。
 球団プロスペクトランキングの30位以内には入っていませんが、AAでTrenton WallaceというLHPが結果を残しており、また今年ルール5ドラフトの対象でもあるため、もしかしたら40人枠内となり、AAA、さらにメジャー昇格があるかもしれません。

投げ方めちゃくちゃ好き

・リリーフ
 個人的には、先日YarielのIL入りに伴い上がってきたZach Popに注目しています。
90マイル後半のシンカーと80マイル中盤のスライダーで空振りを狙う右投手で、2022年の成績ですがGB%もかなり高く、ハイレバレッジな場面で十分に起用できるリリーフだと考えています。
 MayzaとSwansonという優秀なリリーバーが不振の今、彼が覚醒すれば9回のRomanoまでをYimi Garciaと共に安定して繋ぐことが出来るはずです。
 マイナーに目を向けると、次に上げるとすれば40人枠内のHagen Dannerでしょうか。彼も90マイル後半の速球を操る右腕投手で、AAAでは11試合11.2イニングで防御率3.09 WHIP1.37 10奪三振を記録しています。奪三振率はリリーフとしては平凡ですが、 ここ5試合無失点ピッチングが続いており、正直成績詐欺で安定感のないTrevor Richardsよりは信頼できると考えています。

5 終わりに

 3・4月のTORについて長々と述べてきましたが、如何でしたでしょうか。この部分を書いている5/4にはWSHとのシリーズ初戦に敗北し、かなり意気消沈しております。個人的には、今季FAの選手はすべて売却し、最後の勝負である2025年シーズンで使うためのトレードの弾(と来年コンテンドが失敗したときの再建要員)を集めて欲しいですが、Atkins GMは一体どのようなシナリオを思い浮かべているのでしょうか。

 長くなってしまいましたが、最後までご覧いただきありがとうございました。



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