鬼塚勝也 ファイティングアート展
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9月だと言うのに真夏の暑さを感じる夕方、友達と共に訪れたのは、元ボクシング世界チャンピオン鬼塚勝也氏のジムだった。しかし、今日は特別な日。足を踏み入れたその場所は、まるで別世界に変わっていた。ジム全体がアートの舞台となり、建物そのものが一つの巨大な作品のようだった。
リングには額に収められた小さなアートが並び、ボクシングと芸術が奇妙に調和する空間。パンチの練習が行われるはずの場所に、今は鬼塚氏自身の描いたパワフルな自画像たちが静かに存在感を放っている。視線を上げると、2階にも続く展示の数々。
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奥へ進むと、そこには思わぬサプライズ。バーカウンターが現れ、DJが流す心地よいビートが空気を満たしている。バカラのグラスが美しく輝き、まるで特別な夜を演出しているかのようだ。「ここ、常設のバーにしても良いんじゃない?」友達がそう囁き、私は微笑んだ。
来年は、さらに大きな展開が待っている。県立美術館での大型展示。それまで、この瞬間の感動を心に刻んでおこうと決めた。