キャンセルの対処法
「約束の日、飲み会の当日がやってきた。天気は曇り、気分も曇り。私は、仕事の進行状況次第でどうしても行けるかどうかが当日にならないとわからない、という状況にあった。だから、幹事には前もってそう伝えていた。『多分行けると思うけど、確実ではない』と。
結局、やはり仕事が長引いてしまい、参加できそうにないと確信した私は、幹事にすぐ連絡を入れた。『すみません、今日はやっぱり無理です』と。それで終わりだと思っていた。
ところが、飲み会の開始時間に近づくと、参加する女子友から電話がかかってきた。『ねえ、大変なことになってるよ!』と声が焦っている。『幹事があなたの分も注文しちゃって、当日キャンセルできないって。みんなで割り勘して、あなたの分も負担しようとしてるんだけど…』
一瞬、時間が止まった。『え?そんなことになってるの?』私は、キャンセル料がかかるとは思わなかったし、ましてや注文がすでに入っているなんて予想もしていなかった。みんなに迷惑をかけてしまったことが頭をよぎる。『私、払うよ。悪いから』と返事すると、友人は少しホッとしたように、『でも、幹事が自分が払うからって恐縮してるの。なんか、みんなちょっと気まずくなってて…』と続けた。
これはまずい。私は考えた。このまま放っておけば、後々このメンバーとの関係がギクシャクしてしまうかもしれない。お金の問題で人間関係が崩れるのは避けたい。
そこで、私は仕事の手を止め、急いで飲み会の現場へと向かった。店に到着すると、少し驚いた顔をした幹事と、気まずそうにしている友人たちが迎えてくれた。私は笑顔を作りながら、手を挙げて言った。『ごめんね、やっぱり仕事が終わらなくて。でも、私の分はちゃんと払うから。お店の方にも迷惑かけちゃったしね』
その場はすぐに和やかになり、私は支払いを済ませた。飲み会には結局参加しなかったけど、これでなんとか丸く収まった気がした。
『お金で解決できることは、解決した方がいい』そう自分に言い聞かせながら、帰り道の夜風が少し心地よく感じた。」