OM90/F2マクロレンズの溶けるようなボケを楽しむ
オリンパスのOMレンズを語るとき、OM90/F2マクロを外すことは出来ないだろう。今回は、いまやオールドレンズとして扱われるこのレンズの話をしよう。
1.オリンパスOM90/F2マクロレンズ
フィルムカメラ全盛の頃、マクロレンズは通常レンズよりやや暗いものが多く、ほとんどがF3.5やF4で、F2.8ならば明るいとされていた。80年代中頃に登場したOM90/F2は、一つ飛びぬけたF2の明るさをもち、しかも開放から実用になるとカメラ雑誌で高く評価された。
2.OM90/F2をミラーレスデジカメにつけて撮影
OM90/F2を現代のミラーレスデジカメにつけて撮影すると、どのような結果となるだろうか?その答えが下に載せた画像。使用したカメラはFUJIFILM X-S10、センサーがAPS-Cサイズなので画角は135mm相当となる。このときOM90/F2は開放F2、花弁のエッジは先にいくにつれて柔らかくボケ、背景も溶けるようにボケ、全体がフワッとしている。
絞り値が大きくなるほどピントが合う範囲が深くなることは、被写界深度として知られている。絞りF2で最接近するとピントが合う深さは、まさしく紙1枚ぐらいになってしまう。
下の画像は同じ花を絞りF16で撮影。花弁のエッジはハッキリしてきたが、これでも植物観察記録としては葉や茎の質感が分からず不十分かもしれない。
3.ポートレート撮影にも使える
マクロレンズはネイチャー撮影の定番とされているが、OM90/F2は登場したときからポートレート撮影にも使えると言われていた。私はポートレート撮影が苦手で作例はないが、写真家赤城氏は「定番カメラの名品レンズ」(小学館、赤城耕一、2000年)中にOM90/F2撮影のモノクロポートレート写真を載せている。その記事の中で、”女性の肌の再現性、髪の毛の描写などは、ウェットで優しい感じになるのがいい」と語っている。
4.まとめ
OM90/F2は接写専用のレンズと思いがちだが、風景撮影やポートレート撮影などもできる万能レンズ。もちろんマニュアルフォーカス操作が必要となるが、微妙なピントを合わせをしようとするとオートフォーカスレンズより調整がしやすいような。
ところでOM90/F2にオールドレンズらしいクセのある描写を期待すると、それは裏切られるかもしれない。このレンズの描写は、光の状態が悪くても大きく崩れないからだ。