ラテンジャズ音楽 ミシェル・カミロ
キューバの東隣にイスパニョーラ島がある。島の1/3はハイチ、残り2/3はドミニカ共和国。ミシェル・カミロは、そのドミニカ共和国出身のジャズ・ピアニスト。並外れた速弾きから、超絶技巧のピアニストと呼ばれることもある。
ミシェル・カミロは多才で、ピアノソロやトリオの演奏に加えて、ビッグバンドの指揮、さらにクラッシク・オーケストラとの共演も行っており。それら作品は、ラテン音楽部門のグラミー賞を受賞している。
彼の曲で真っ先に思い浮かぶのは、「フロム・ウィズイン (From Within)」だろうか。これは1993年にリリースされたアルバム「ランデブー(Rendezvous)」に収録されている。この曲は多くのジャズ・ミュージシャンが演奏しており、以前紹介したマリアリー・パチェコもその一人。
下に載せたのは、ミシェル・カミロ・トリオによるフロム・ウィズインの演奏。ダイナミックでテンポの速い演奏が展開されている。
ミシェル・カミロは、ドミニカ共和国の国立音楽院でピアノと作曲を学び、その後アメリカに渡りジュリアード音楽院などでも学んだそうだ。ニューヨークで様々なビックバンドの影響を受け共演もしている。
下に載せたのは、WDR(西部ドイツ放送)のビッグバンドと共演するミシェル・カミロ。
2000年から、ミシェル・カミロはスペイン出身ギタリストのトマティートとデュオアルバムの制作を続けており、現在まで4枚のアルバムをリリースしている。そこでは映画音楽やタンゴなども演奏しており、情感豊かにゆったりと演奏している。
下に載せたのは、2016年にリリースされた3枚目のアルバム「スペイン・フォーエヴァー」に収録されているエンニオ・モリコーネ作曲の映画「ニューシネマパラダイス」のテーマ。
最後に、キューバ出身の作曲家エルネスト・レクオーナのラ・コンパルサの演奏。これはミシェル・カミロのソロに合わせてチューチョ・バルデスとゴンサロ・ルバルカバが連弾となるが、3人が組み合わせを交代しながら2台のピアノをやりたい放題に弾きまくるようにも見える。
ところで、単純にドミニカと呼ぶのは避けたほうがよいらしい。じつはドミニカの名をもつ国は、ドミニカ共和国とドミニカ国の二つある。これらは別の国で、ドミニカ共和国はキューバの東隣の島だが、ドミニカ国ははるか東に離れてベネゼエラ近くに位置している。公用言語はドミニカ共和国はキューバと同じスペイン語だが、ドミニカ国は英語だそうだ。