#stayhome #classicalguitar
ここしばらくはクラシックギターばかりを弾いている。聴くアルバムもなぜかクラシックギター作品ばかり。アサド兄弟、Jan Depreter 、Berta Rojas・・日本のギタリストの皆さんの作品も新鮮な気持ちで聴き直している。 ここへ来て、フラメンコを始める前に傾倒していたクラシックギターへの熱が再燃している感じ。
弾き手にとってフラメンコとクラシックの大きな違いには、まず爪の削り方がある。音のキレを重視するフラメンコでは爪の頭をほぼ直線状に削るのに対して、甘い音を求められるクラシックでは指頭に沿って曲線状に削る。楽器は持ち替えられるしフォームも変えられるけど、爪は一度削ってしまうと元に戻るのに何週間もかかるから、コンスタントにステージがある日々の中では(もちろんそれは感謝すべきことなのだけど)爪の形を変える勇気もチャンスも持てなかった。
ここしばらくの流れで色々な仕事がバタバタとキャンセルや 延期になってしまい、思い切って爪を変えてみた。当分人前には出られないのだから、と滅入る気持ちが後押ししたのか、勢いで一気に爪を削ってしまった。
最初は思うような音は出なかった。低音弦の巻弦を弾くとノイズが聞こえるし、丸い音も出ない。しかもこれまで出せていたフラメンコの太い音も出ない。ドレミファソラシドを弾いても気持ち悪い。途方に暮れて、指の角度を変えたりヤスリのかけ方を見直したり、仕舞いにはマエストロ福田進一さんにメールでお伺いを立てたりして、かなりの日数をかけた奮闘ののち、ようやくイメージする音が出せるようになってきた。
それからは毎日、いろいろな曲を弾いている。
カルカッシの練習曲、Villa Lobosの12のエチュード、セゴビアのprelude in chordsといったベーシックな作品。
そして今一番気に入っているのはバリオスの”Aconquija [アコンキーハ]”という曲。バリオスはパラグアイの作曲家で、アコンキーハはアルゼンチンの地名らしい。
ちなみにパブリックドメインの楽譜が手に入る無料サイトにもお世話になっている。https://imslp.org/wiki/メインページ
おそらく、クラシックを弾きたい気持ちをずっと我慢していたのだと思う。
もちろん、本格的なクラシックギタリストの足元にも及ばない演奏だけど、弾いていて深く満たされる自分がいる。
そして、ここへ来て、ようやくフラメンコギターとの接点のヒントを感じている。単にクラシックの真似事ではなく、自分にしかできないアプローチの片鱗のようなものが、時々ちらりと垣間見えるような・・そんな気がしている。
まだ当分は#stayhomeの日々が続く。多くの皆さんと同じく、先行きの見えない不安と忍耐の日々。だからこそ、この際今しかできないことを掘り下げていきたいと思う。
遠くない将来に、皆さんにお聞かせする日をイメージしつつ。