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UAD Sphere DLX レビュー

Universal Audioから新しいマイクがリリースされると聞いて、期待が膨らんでいた。UADのプラグインと組み合わせて、往年の数々の名機をモデリングできるという。レコーディングの後からでもマイクのモデルや指向性を変更できるという、現代ならではの仕様。

実は同じようなコンセプトのマイクは以前から存在していたけど、今回僕の食指が大きく動いたきっかけは、このモデルがステレオレコーディングに対応していたから。

僕の最新作”20 VEINTE"のギターは全て自宅スタジオで、自分で録っている。
エンジニアさんにヴィンテージのHAを何台も借りて、アドバイスをもらい、防音や部屋鳴りもそこそこ追い込んだので、録り終えた時点でもかなり満足のいく音質に録れていたと思う。(実際、ギターはno EQの曲も何曲もある。)その中で次回以降に持ち越しになった課題の一つが、ステレオ録りだった。

VEINTEの録りでも、最初はマイクを複数立てて、ステレオMIXを狙っていた。
でも上がってくる何パターンかのMIXでベストのものを選ぶといつもそれはギターの音がメインマイクのみのモノラルのものだった。やはり位相が悪かったり、マイキングが甘かったり、追い込みきれなかったのだと思う。録りの最後の方では、マイクを1本しか立てなくなっていた。

やはり曲によっては、ギターだけで空間を満たせるようなステレオのサウンドにしたかった、と思う。人工的なリバーブに頼りたくはないし、かといって部屋鳴りに限界のある自宅スタジオでは尚更のこと。
一方でステレオで録るには今よりもシビアなマイキングが必要で、正直そこに神経を使うなら、演奏のほうへ向けたいと思ってしまう。この辺りが一人RECの限界で、課題だった。

そこでこのマイク。

やっとデモ機が届いたので、早速チェックしてみた。

20年近く愛用しているメインマイク、AT4060(カスタムチューンアップ済)の音。

今回のSphere DLXの音。

どうでしょう。AT4060の、目の前に迫ってくるようなパワフルな音像と、Sphere DLXの広がりのある音像。
それぞれが生きる曲がありそうですね。

そしてUADの専用のアプリでは、一本のマイクをステレオ仕様にして、LRを別のマイクにモデリングできる。1本をテレフンケンのヴィンテージマイク、もう1本をシュアーのダイナミックマイク、といった使い方もできて、panの開き具合や指向性も、MIXの段階で好きなように追い込める。
これはまだ試していないけど、部屋鳴りの癖を軽減させる設定などもあるらしい。これ1本でかなり色々なアプローチができそうで、楽しみが広がります。



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