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つなぐ、未来に。

茶園の伐採と抜根

茶園を伐採し、抜根しています。
半世紀以上にわたり、現役であった茶園を改植する(新しい茶の樹に植え替える)決断には、数年を要しました。
地域のベテランの茶農家さんよりこの茶園を引き継ぎ、10数年。
2007年に新規就農して茶業に参入して間もない頃から、農業を経営し生活していくための茶園面積の拡大のきっかけとなってくれた貴重な茶園でした。
夏場の日照り・干ばつに弱く、葉が日焼けしてしまうことも多く、
真夏に被覆幕をかけて遮光するなど、手のかかる茶園でもありました。

ここ数年、特に収量など生産性が低下しているのは実感していました。
コロナ禍の影響を受けての茶業低迷期間も長くあり、改植費用も年数(茶の苗木を植えてから収穫できるまでに5年程度、無収入の期間があります)も持ちこたえられるだけの余力がありませんでしたが、今年は思い切って決断しました。
来年の春3月には、「おくみどり」という品種のお茶の苗木を植えます。

終わりではなく始まり。

茶樹のライフサイクルは長く、経済寿命(農作物として充分な生産力を発揮できる寿命)は20年〜30年とも言われ、大切に育てれば現在伐採・抜根している茶樹たちがそうだったように、40年後50年後も茶園であり続けることも可能でしょう。
私が植えた茶樹ではない茶園を受け継ぎ栽培し、
私が植え替えた茶園の終わりを、おそらく私は見ることがないままに、
私の現役茶農家としての寿命の方が先に来ることでしょう。

遠い昔に中国大陸からお茶の種を持ち帰った遣唐使や留学僧があって、
そこから日本のお茶の歴史は始まりますが、現在に至るまで茶樹や茶栽培、喫茶文化などが途切れることなく受け継がれ、続いているということに改めて気づかされます。ご縁があってこの長く大きな流れの中に自分自身が組み込まれていることに、感謝しかありません。
3月に新しいお茶の苗木を植えるまでは寂しい茶園になりますが、
ここで終わりではなく、ここからまた始まる。
お茶を未来につないでいく仕事です。


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