山梨のジュエリー
山梨県の広聴広報課が出している広報誌『てくてく』。県の出版物って冴えない印象だったけど、質が上がってますよね。
第5号はジュエリー特集。山梨県はジュエリーの一大産地で、日本で流通しているジュエリーの3分の一は山梨県産と言われています。今は産出されないものの、昔は原料の水晶がたくさん掘り出されました。そのために貴石の加工業(研磨・彫刻)と金工の職人さんがたくさんいて、山梨で生産をすべて行えます。
ただ、問題も多くて、ブランド化が出来ていない。大手の下請けとか、(あまり品の良くない)豪華なジュエリーとかでやってこれちゃったので、先行きは厳しい。バブルでおいしい思いをした人たちもまだ多い。
でも若手のデザイナーや職人さんたちの中にはとても面白い、可能性を感じさせる人たちもいて、なかなか魅力的なものを生み出し始めています。
この特集号の中で取り上げられている飯島恵子さんは宝新宝飾(株)のインハウスデザイナーですが、とても魅力的なものを生み出しています。表紙の写真がそう。小さな色石をうまく生かしたジュエリーですね。大森弘子さんもセンスの良いデザインで活躍している。
職人さんでは、宅間康二さんや大寄智彦さんは、伝統的な技術を踏まえた上で新しいことにも挑戦しています。他にも後藤晃一さんは技術だけでなく独創的なデザインのジュエリーを生み出していて、Glory Designという会社も立ち上げています。
私はジュエリーは全然専門外ですが、美術館学芸員として山梨県にお世話になったこともあり、展示を通して山梨の地場産業の振興をサポートするジュエリー・ミュージアムの仕事を手伝っています。この業界の難しさと面白さを感じつつ、美術とかアートとかデザインとか教育とか地域とか産業とか、いろんなことを考えさせてもらっています。ちなみにミュージアムは県立宝石美術専門学校の付属施設という位置づけで、デザイナーの飯島さん、大森さんもここの卒業生です。
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