制度が守ってくれることもある
教科書執筆に関わる者として、検定制度は健全な国家であれば不要だと思います。はっきり言えば、学習指導要領さえも国が決める必要はない。だけど未成熟な国家だと、その基準がないと危うい。
そういう意味で、教科書検定は国が危うい不安定な状況にあるときは、最低レベルでのバランサーとして機能し得る。灘高の校長先生が、自民党右派議員たちからの圧力に対し、「検定を通っているのだから、そのうちのどれを選んでも問題ないでしょ」と言って抵抗することができたのはその証左だ。
ただ、実際のところ、総理大臣その他の支持を得て、教育基本法を完全に逸脱するあの教育方針と内容が森友学園では推進されていて、歯止めは利かなかったわけなので、この国は法治国家としても危ういという現実も露呈してしまった。
だから、そこもちゃんとやらないといけない。権力を行使できる行政や政治家をチェックし続けないとならない。