かっぱの末裔

「かっぱ手」という言葉がある。どうも北海道の方言らしい。手汗をかいていること、手汗をかきやすい人をそう呼ぶ。

私はまぎれもなく「かっぱ手」である。暑さを感じる時は身体だけでなく手のひらにじっとり汗がにじむ。手相のしわに沿ってキラキラする。マークシートの紙が汗を吸ってベコベコになる。緊張する時はなおさら手汗がすごい。ハンカチが手放せない。

昔からこうだったのかは、今ひとつ記憶がない。自分の手汗がすごいことに気がついたのは、就職してしばらくたってからだ。たぶんそれ以前は気にしていなかったのだと思う。

「かっぱ手」は不便である。ノートを取るときは、手の下にハンカチや別の紙を敷かないと、べちゃべちゃになる。マイクを持つとベッタリ汗まみれの状態で他の人に渡さなければならず、ちょっと恥ずかしい。タッチパネルがなかなか反応しない。

「かっぱ手」は便利である。スーパーのビニール袋を容易に開けられる。お札を数えやすい。床にふりかけをこぼしても、手のひらでペタペタやるだけで、すぐにきれいにできる。ハンドクリームがいらない。

良い悪いではない。そういう特性である。

ちなみに、私は足先にも汗をかきやすい。たいして暑くもないのに靴下がしっかり濡れていることがある。しばしばある。これはなかなかメリットを感じない。裸足で歩くだけで足の裏がほこりまみれになる。

あ、床はきれいになっているかもしれない。

「かっぱ手」は遺伝か、環境か。先祖のどこかに河童でもいるのか。

ちょっとまて。そもそもカッパは手汗をかくのか、だれか握手した人でもいるのか。

ググれば情報がありそうだが、今日のところはやめておこう。


「雨は五分後にやんで」の、よなかくんの話を読んでから、毎日帰宅後に足を洗っている。さっぱりして気持ちが良い。足汗かっぱ族にはおすすめ。