見出し画像

オツネンさん

田んぼに水が入り、あちこちで代かきが進んでいる。

水が入ったばかりの田んぼは、大きな鏡のようにも、静かな湖のようにも見える、大好きな景色である。

陽気に誘われて代かき真っ盛りの畦を歩いていたら、つなぎトンボが現れて驚いた。しかも、あの、おしりを水面にちょっちょっと触れるやつ(産卵)をやっている。

あれ?この景色は秋じゃなかったっけ?

春だと思ったのに、夏はどこに行った?!

とかなり焦ったが、よく観察すると見慣れたトンボ(ノシメトンボやアキアカネ)よりだいぶスマートで、別種のようだ。


調べたところ、イトトンボの仲間、オツネントンボという種類らしい。寺の小坊主のようだがさにあらず、「越年」するトンボということらしい。

トンボは卵で冬を越すというのが私の中での常識だったが、オツネントンボはトンボの姿のままで冬を越すらしい。だから、こんな春先から大人のトンボの姿で、すぐに産卵する姿が見られるとのこと。

そんなトンボがいるなんて知らなかった。子どものころから田んぼの周りで育ったのになぁ。

へぇボタンがあったら、18回は押している。


自分の中の常識なんてそんなもんなんだなぁと、イネを植える前から頭を垂れておこう。