グッとくる和製なんちゃら
洋楽を聴き出してロックからブルース沼に踏み入り通ぶっていると、ときどき意外なところでガツンと衝撃を受けることがあります。この人こんなに凄かったの!この時代にすでにこんなかっこいいことやっていたの!?って。
○「和製リズムアンドブルースの女王」 デビュー初期の和田アキ子
初めて聴いたのは90年台後半。テレビでよく見かける“大御所”さんですが、デビュー頃の音源を聴いてびっくりしました。この時代にこんなサウンドとボーカルがあったのかと。シカゴブルースのココ・テイラーより好きかも。
『バイバイ・アダム』(1968年)
『どしゃぶりの雨の中で』(1969年)
『ボーイ・アンド・ガール』(1969年)
この人に「和製リズムアンドブルースの女王」だなんて、ずいぶん大げさな肩書きだと思っていましたが、初期の音源を聴くと納得です。歌謡曲っぽいアレンジじゃなくて、ずっとこういうスタイルで行ったらよかったのにと勝手ながら思ってしまうのですが、早過ぎたんでしょうか。
こういうリズム感があってパワフルに押せる歌手って、なかなかいないのではないでしょうか。ミーシャや玲葉奈は、ソウルフルだけど方向性は違う。押し出しの良さは天童よしみや島津亜矢が近いと言えば近いですがソウルのありかが違う。貴重な存在だ。
○「和製ジェームス・ブラウン」 左とん平『とん平のヘイユーブルース』(1973年)
1995年頃タワレコでプッシュされていて知りました。猪八戒の左とん平って歌も歌ってたんだくらいに思ったら、めちゃくちゃカッコいい。ガッツリ、ジェームス・ブラウンですよ。サウンドもボーカルもいうことない。
かぐや姫が「神田川」、チューリップが「心の旅」を歌っていた頃に、こんな熱い曲が出ていたとは。おそらく企画ものだとは思うのですが、好きな人たちが相当真剣に楽しんで作られたんじゃないだろうか。
在日ファンクが和製ジェームスブラウンと呼ばれているけど、実はずっと左とん平の後ろを追いかけているのだ。
このひとこのジャンルでこんなに凄いの!?と驚いた方をもうひとり。
○洋楽カバーを歌う尾崎亜美「和製ジャニス・ジョップリン」
松田聖子の曲や杏里の『オリビアの聴きながら』、おしゃれで可愛らしくてちょっとしみじみくる名曲で知られますね。ちょっと縁遠いジャンルの人かと思っていました。
ところがですよ、洋楽カバーのかっこいいこと。
レッド・ツェッペリンのロックン・ロール!!!
カッコいいにも程がある。すぐファンになりました。
最近は、ご主人の小原玲さんと二人で、自宅からカバー曲などを配信してくれています。いいよぉこれ。