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朝鮮戦争化するウクライナ戦争、くそくらえ! 東アジアの経験から、今すぐ「休戦協定」求める運動を

編集部 サパタ

映画「高地戦」無謀悲惨な朝鮮戦争

最近、韓国映画「高地戦」(2011年公開)を見た。1950年~53年の朝鮮戦争のあまりに悲惨な戦場と、その戦場で正気を保つために交わされる密かな南北兵士の交流を描いたものだ。この映画で描かれた朝鮮戦争の状況は、今のウクライナ戦争と本当に瓜二つだった。
 朝鮮戦争は、初期に主戦場が釜山から中朝国境付近まで北上した後、開戦後約1年で38度線付近に戦線が南下し、膠着した。戦線はそのまま2年間休戦の必要が双方に認識されながら、無数の膨大な死傷者を出し続けた。
 「高地戦」では、ある高地の頂きの占拠を南北の軍隊が争い、数十回にわたり占領者が変わるという不毛かつ悲惨な高山での戦いが描かれる。こうした戦いは、朝鮮戦争の多くの戦線で起きていた。
 映画では、個々の軍隊が休戦を今か今かと待ち望んでいた。だが政府の上層部は少しでも休戦時の国境線を有利な位置に引こうと、無謀な指令を出し続けた。そのため末端の兵士は損耗し、死に続ける様子が延々と続く。
 映像には、なぜ2年間も休戦協定の締結に時間がかかったのかと理解に苦しむ状況への怒りが満ち溢れていた。最後は、最も無益かつ絶望的な命令が両方の部隊に下され、休戦を望んだ多くの兵士たちはその機会を享受できずに死んでいくのだ。

膠着し膨大な死者出す露・ウクライナ軍

それから70年後の22年2月にロシアがウクライナを侵攻した。だが同年秋にウクライナ軍によるハルキウ方面とヘルソンの奪回が行われて以降、戦線はほとんど動かず、膠着状態のまま、2年間膨大な死傷者が出ている。
 双方の戦線付近には、無数の地雷原や砲兵の陣地ががっつり構築され、攻勢をかけた方に多大な損害が出ている。兵士の損耗を無視した突撃作戦が繰り返されている。
 誰もが「これ以上大きく戦線が動くことがない」と認識しているが、次々と増強される西側の軍事支援を受けるウクライナと、大国ロシアが国境線を有利な方向に引こうという消耗戦が続き、死傷者数は増加し続けている。
 この状況は端的に言うと「くそくらえだ!」ということだ。西側諸国は代理戦争とばかり、徐々に供給する兵器のグレードを上げながら、膠着状態をコントロールし、消耗戦争の長期化に利益を見出している。
 一方ロシアは、ドンバス地方の併合という面子をかけ、徴兵制で集めた兵士たちに無謀な突撃をさせている。そこで死んでいる者の多くは、少数民族だ。
 ローマのコロシアムで戦う生身の人間を観客がみるように、戦線がジグザグ微動するのを戦争オタクのように解説するウクライナ戦争の報道以外、極東の日本でこの問題が語られることはない。

細かい停戦条件は棚上げし 膠着戦線を休戦ラインに武器を置く

 ここで参考にすべきなのは、「高地戦」で描かれた朝鮮戦争だ。誰もがこれ以上戦うことの無益さを痛感するなかで、選ばれたのが休戦協定だった。
 朝鮮戦争では、永続的な停戦の条件としての平和条約が結ばれたわけではない。とりあえず当時の膠着した戦線を休戦ラインとして認め、武器を置くことを第一目標に目指した。細かい停戦の条件は、双方に多くの隔たりがあることが想定される場合、とりあえず一旦休戦し、事後にすり合わせすることが現実的だ。
 いったん固定化された軍事境界線は、容易には動かせなくなるかもしれない。分断が固定化するかもしれない。
 しかし70年前、このような知恵によって地獄のような朝鮮戦争を休止させたのだ。20世紀中盤に過酷な陣地戦を経験した、東アジアの朝鮮戦争の経験の記憶こそ、ウクライナ戦争で生かすべき反戦運動の倫理となるべきものである。
 日本の為政者たちから、休戦の呼びかけなど望むべくもない。朝鮮戦争の分断が未だに70年間続き、平和条約も結ばれていないという異常な状況が続くことに利益を見出すような、冷戦志向の日本国家なのだ。
 その現実の中で、反戦運動の側から、絶望的な消耗戦を一刻も早く止めるために、即時休戦の声を上げていくことが必要である。

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