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【インボイス導入】インボイスからAIへ フリーランスの抵抗の可能性
編集部 サパタ
10月1日から、消費税の実質増税制度である「インボイス制度」が導入された。ネット上では活発な反対運動が起き、ネット署名では異例の56万筆が短期間で集まった。
署名の受け取りを拒否していた官邸も批判にさらされ、署名を受け取ることを決めた。これほどの大きな反響があったのも、フリーランス(零細個人事業主)の近年の増加が背景にある。(*1)
インボイス制度の導入によって、以前は売上高1千万円以下であれば非課税事業者として消費税が免除されていたのが、大きく変わった。フリーランスが大手事業者と取引し続けるには、インボイスが発行できる課税事業者になり、売上の10%を消費税として納めなければならなくなってしまう危機に陥った。消費税導入時の「零細事業主からは取らない」という約束は反故にされ、消費税を使った事業者の淘汰が起きようとしている。
非課税事業者をこれまで通り続けることは可能だが、インボイス発行ができないため、仕事の発注先である請負先が経費分の消費税の控除(*2)を利用できなくなってしまう。そのため大手の請負先は、非課税事業者のフリーランスとの取引を打ち切ることが予想される。
実際、ヤマト運輸はインボイス制度の導入と時期を一致して、来年1月からメール便を日本郵政に全面委託する方針を打ち出した。これまで配達をしていた個人事業主、約2万5千人との契約を全て打ち切る方針を出し、社会的な衝撃を与えた。
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フリーランスの労災認定
AI資本主義に対峙できるか
一方で、9月26日にフリーランスの労働者性を認めるという画期的な決定が行われた。個人事業主のAmazonの配達員が、配達中に腰を骨折する事故にあったことを、労災として認めると労基署が決定したのである。
Uber EatsやAmazonは、マッチングアプリを使って配達員に仕事を発注している。しかし、配達ルート、配達速度、仕事の受注数などをAIによって監視しており、配達が遅かったり、仕事を提示しても受注する回数が少ない場合、自動的に仕事を干すようプログラミングされている。そのため、これらのテック企業はフリーランスを人によって直接指揮・監督していないという建前のもと、アプリのAIによって四六時中、指揮・監督しているというディストピア(反理想郷)を実現している。
AIの導入とともに、フリーランスの増大という傾向はこれからも続いていくことだろう。19世紀に産業資本主義が勃興する中、職人たちが第一次インターナショナルを形成したように、現在のフリーランスたちは新たな抵抗の形態を模索しつつあり、インボイス反対運動はその一環なのだ。
*1
内閣官房の2020年調査でも462万人になっている。政府は2020年に給与所得控除を10万円減らし、基礎控除を10万円増やすなど、政策的に被雇用者からフリーランスへの誘導措置を行なっている。
*2
売上高5千万円以上の事業主は、経費の分の消費税は減免される。たとえば売り上げ6千万円、経費が5千万円であれば、その差額の1千万円の10%、100万円の消費税の納入義務が課される。しかし経費分の消費税の減免が認められるには、消費税を払う課税事業者の領収書を使わなければならなくなる。
(人民新聞 23年11月20日号掲載)
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