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【韓国】梨泰院ハロウィン事故はユン政権の「構造的殺人」 勢い増す市民の怒りと政権退陣デモ

ーー10月29日、韓国・ソウル市の梨泰院のハロウィンイベントで、150人以上の若者が群集雪崩で圧死する大惨事が起きた。尹(ユン)政権の責任と韓国民衆の怒りを緊急寄稿する。
(YouTube「PodcastKorea放送局」 サラム西田)

まず、謹んで犠牲になられた方のご冥福をお祈りいたします。
日本での連日の報道では、梨泰院の大惨事が人災であると指摘し、韓国よりも詳しく報じている。だが日本のメディアは、まず尹錫悦政権を「親日政権」と褒め称えてきたことを謝罪すべきだ。大惨事の背景にある尹政権の警察掌握や、検察の政治弾圧を、「文在寅への捜査開始」と政権側から報道してきたからだ。

今回は「人災」の表現でも弱く、尹政権による「構造的殺人」と言える。韓国の民衆は、悲しみの中でも「#責任追及こそ追悼」と立ち上がっている。これを理解できない日本の、「韓国民主党は梨泰院事件を政治利用している」という軽薄な報道は許されるものではない。

「構造的殺人」の中身を具体的に挙げる。
①文在寅政権下のハロウィンは「過剰警備」と批判されるほどだったが、今回、現場警備の制服警察官は、わずか32人だった。
②尹大統領は就任直後に青瓦台から竜山に大統領府を強行移転した。だが竜山には官邸がなく、大統領は毎日自宅から6㎞もの距離を通勤する事態が生じた。このため毎日700人もの余計な警備が必要となり、竜山警察の警備担当は、合計5000時間もの超過勤務となった。
③梨泰院の管轄は、その竜山警察署だ。これほど明確な因果関係は他にない。
④現在、毎週土曜夕方に「尹政権退陣」要求のキャンドル集会が行なわれている。10月22日は50万人、梨泰院事件のあった29日にも7万人が参加した。ここには7000人もの警察官が動員された。キャンドル集会は、6年前の朴槿恵政権退陣で100万人を超えた時も事故は起きなかった。主催者側の市民ボランティアは1000人を超え、訓練された誘導が行われている。デモへの警察派遣は嫌がらせだ。
⑤政権の支持率低下対策で、韓東勳法務長官が「麻薬摘発期間」を設定し、検察と警察のイメージアップを図ろうとした。他国でも独裁的指導者がよく使う手だ。梨泰院ハロウィンをそのハイライトに設定し、22時半に警察が摘発に出動することを記者に知らせていた。麻薬摘発のためにわざと制服警官を減らしたのでは、と指摘する声もある。
⑥決定的に重要なのが、市民が30年前に軍事独裁を倒して廃止させた行政安全部の警察局を、尹政権が就任早々に復活させたことだ。政権が直接警察を掌握・私物化することになるため、警察は署長級の全国会議で反対を表明し、現職の警察官が異例の街頭抗議行動を行なった。だがその中心的幹部が懲戒され、警察局は設置された。市民の安全を憂慮する声は全く通らなくなった。

2017年、文政権時の事故現場では警察が一方通行を誘導していた


責任逃れに終始する尹政権
惨事前から悪政と経済崩壊危機

尹政権は、「犠牲者ではなく死亡者」「惨事ではなく事故」と連呼している。行政安全部長官、警察庁長官、ソウル市長も「主催者がいないので責任はない」、「警察増員でも防げたとは言えない」などの発言に終始している。弔問所には「死亡者」と表記され、犠牲者の写真もない状態に遺族は怒った。
尹政権の態度を見て、当初政府への協力を表明していた民主党も方針を転換。真相究明と責任追及を市民とともに行っている。「自粛強要」キャンペーンの中でも、11月5日に追悼集会として政権退陣デモを行った。
今回の梨泰院大惨事は、政権の数々の悪政の結果だ。経済面では激しい物価高なのに、金持ち減税や中国敵視発言を行い、輸出減少・24年ぶりの6カ月連続の貿易赤字・ウォン下落・株価暴落を引き起こした。洪水対策で失敗し、配偶者など身内の犯罪を隠す一方で、政敵を弾圧した。批判の矛先を逸らすために、日米とともに共和国を軍事演習で挑発し続けた。これに市民の怒りは爆発し、第2次キャンドルデモが始まった。

市民は来年にかけ、尹錫悦弾劾を目指すだろう。朴槿恵弾劾時をはるかに超える怒りで数百万の人々が参加するのは確実だ。それが、「検察―裁判所―保守メディア―保守党―右派教会」という特権階級との最終決戦となる。朴槿恵弾劾闘争では、検察や守旧派メディアが朴槿恵に責任転嫁し、自分たちは逃れた。尹政権弾劾闘争は、この壁を越える闘いとなる。
南米では今年、チリ、コロンビア、ブラジルと左派政権の誕生が相次いだ。韓国の状況はこれに非常に似ている。これまでは軍事政権を打倒し民主化しても、検察―メディア―右派教会などが手を組んで進歩派のリーダーを投獄。再び極右独裁的政権が生まれて社会が停滞した。また、特権階級が旧植民地宗主国と緊密であること、などだ。

植民地支配を経験し、軍事政権を市民の力で打倒した韓国市民が、同じ経験をしたどの国の民衆もなしえなかった、腐敗した特権階級の一掃を果たせるのか。世界史に残る大激動が、今後数カ月の間に韓国で起きることだけは確かだ。日本でも抗議への連帯や、尹政権や米国と緊密な岸田政府の打倒が必要だ。

(人民新聞 11月20日号掲載)


西田さんが出演しているYoutube放送「PodcastKorea放送局
」はこちらからご覧になれます(編集部)

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