【大阪10区】野党共闘の基礎としての市民連合高槻・島本(10月15日号掲載)
大阪府高槻市議会議員 高木隆太
9月23日、「市民連合高槻・島本」が高槻現代劇場で「政権交代をめざすつどい」を開催。140名が参加した。
オンラインで講演した呼びかけ人の中野晃一氏(上智大教授)は、首相が関わった森友・加計・サクラや、閣僚の不祥事、そして秘密保護法や安保法制の強行成立など憲法違反を繰り返しながらも、2012年から8年に及ぶ長期政権を維持してきた安倍政権。それに続いた菅政権。この10年近くにわたる政治体制を「2012年体制」と位置づけ、民主主義の危機を加速させたと解説した。
自民党は09年の総選挙で民主党に惨敗。政権を失った。だが返り咲いた12年も含め、以降の総選挙での得票数は、実は惨敗した09年よりも少ない。それでも自民党が勝ち続ける理由を、中野氏は「野党共闘の分断+多くの有権者の棄権=自民党の勝利という方程式があるからだ」と指摘した。
17年総選挙では、「希望の党」騒動が野党共闘に水を差した。加えて自民党を勝たせたのは、選挙での「2・3・5の法則」だという。有権者のうち、2割は必ず野党に投票する層、3割は自民党の固定層、あとの5割は無党派層と捉える。自民党の方針は、「無党派層」に棄権してもらって勝ち続けるというもので、選挙制度と民主主義への冒涜だ。だが実際にこの方程式が結果を出してきた。
民主党が政権についた09年当時も、閣僚の不祥事が相次ぎ、麻生政権の支持率低下が続いた。政治への怒りは、野党支持に直結した。しかし現在は、政治腐敗や失政に批判の声が上がる一方で、政権交代の世論は醸成されず、「あきらめ」に直結している。中野氏は政治をあきらめた有権者を呼び起こすために、野党と市民の共闘が必要だ、と参加者に呼びかけた。
大阪府北東部で京都府と隣接する高槻市と島本町の大阪10区は、選挙区で野党が勝つ可能性が高く、政党間では早い時期から調整がついている。
しかし全国的には、野党間の候補者調整が遅れており、岸田新内閣は、その間隙をついて衆院解散、総選挙に出てきた。政権維持のためなら何でもありの自民党の執念と渡り合う覚悟が、野党に問われている。
集会に出席した立憲民主党の辻元清美氏は、「大阪では自民党のほかに、維新の会という強力な勢力とも対峙しないといけない」と発言したが、まさにそのとおりだ。政権批判票は大阪の場合、大半が維新に流れる可能性が高い。10区でも維新の現職府議・池下卓氏が立候補を予定しており、自民党の現職より強力な対立候補となる。幸い、共産党が辻本氏支持を明確にしており、野党統一候補となった。
しかし政権を争う総選挙だ。ほとんど大阪限定の維新にいくら票を積み増しても、政権交代には一歩も近づかない。
朝日新聞が4月に行った世論調査では、自民党の首相の交代ではなく、選挙による政権交代を望む割合の方が多かった。政権交代を望む声は小さいわけではない。大阪で、なんとなく維新に投票する有権者や無関心層に政権交代をイメージさせ、野党への投票に結びつけることが重要だ。