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日本の「経済制裁」で韓国が半導体技術を強化!日韓の立場逆転を決定づけたG7サミット

YouTube「在日ラジオPodcastKorea放送局」 サラム西田


「韓国は国と国との約束を守らない」「格差や社会問題が深刻で、反日を煽ることで不満をそらしている」──これが日本のメディアが流している韓国のイメージだ。立憲民主党の議員でさえもこうした発言をしているのは、残念な現実だ。
 そもそも安倍元総理に「約束を守れ」と言う資格があるのか? 日本のメディアが政府の都合の良いことしか伝えなくなった間に、日本と韓国は1人当たりのGDPでも国際的信用でも逆転している。また、主要な国際評価機関による「信用格付け」で、韓国は「Aa2」となり、「A1」の日本より2段階上となった。

 筆者はもちろん、韓国経済をただ称賛するわけではない。韓国のGDPのうち18%が、不動産売買やマンションオーナーの家賃収入などの不労所得だ。また、OECD発表データでも韓国のGDPは、すでにコロナ以前の水準に回復しているが、それは好調な輸出に支えられているものである。
 コロナ被害は弱小商店などに集中しており、いびつな格差は拡大している。しかし、キャンドル革命に見られるように、韓国市民は紆余曲折があっても、既得権益層の抵抗があっても必ず格差の打破に向かうだろう。

ーー政治的無関心が生み出した日本の貧困と格差

 対照的に日本の経済的没落の最大原因は、30年間も大企業に利益を還元し、市民を搾取する政治を続けたことだ。それは、日本の市民の政治に対する無関心が引き起こしたものだといえる。
 2019年7月、安倍政権は、韓国の輸出の主力である半導体、スマートフォン生産に打撃を与えるため、日本企業が世界シェアを独占していた半導体、スマホ生産に不可欠な部品の輸出規制を行った。日本のマスコミは、「約束を守らない韓国に事実上の制裁措置」「反日・文政権は妥協して頭を下げに来るだろう」と、嫌韓ムードを煽った。

ーー強制徴用問題への「経済制裁」が韓国の半導体技術力強化

韓国では日本製品不買運動が大きく盛り上がり、日韓関係は最悪になった。しかしながら、肝心の韓国の半導体、スマホ生産、そして日本の部品企業はどうなっただろうか?
 結果は、韓国は自力でスマホ、半導体の部品を含む生産チェーン網を作り上げ国際競争力をつけた。反対に、日本の半導体部品メーカーは大きなダメージを受け、日本の輸出産業の中で最も強みだった部品産業全体も国際的信用も損なわれた。
 輸出規制から約1年後の2020年5月のデータによると、フッ化水素生産世界第1位のステラケミファ社の営業利益は、前年の同月比で32%減少した。一方で韓国側では官民一体で自国産の高純度フッ化水素などの製造に成功し、それには欧米企業も技術供与した。
 安倍政権によって韓国への輸出を規制された日本の部品メーカーは、その現実をみて韓国に工場を建設し現地生産を始めた。安倍政権は韓国への輸出規制は継続したが、日本企業が韓国工場で生産した半導体部品を販売することは認めるしかなかった。
 日本の半導体先端企業が安倍政権の愚策の極みで大ダメージを受けた過程を、日本のメディアはほとんど報道しなかった。

ーー右派政権続き没落する日本に韓国世論が「サンキュー安倍」

 さらに2020年に入ると、安倍政権はコロナ感染者数隠蔽を行い、防疫に失敗する。対照的に韓国の文政権は、「国民の生命第一」の対策を行い、それによってコロナ防疫模範国として国際的に注目度が増した。文在寅大統領が国際会議で基調演説をしたり、国賓で招かれることが増えていった。以下、いくつか例を挙げる。

・今年のサミットから韓国、豪州、インド、南アフリカの4カ国が新たに参加。
・サミット後、文大統領はスペインを国賓訪問。スペイン側は、独島(竹島)が韓国領土であることを示す17世紀の地図を文大統領に提示した。EUの中心国の一つスペインが、韓国政府の歓心を得るために日本政府を刺激しても気にしていないという現実を示した。
・先日の国連総会で韓国の人気アイドルグループBTSが若者代表で演説、公演。文大統領は195カ国首脳の代表としてSDGs持続可能発展プログラムで演説した。

 他にもベルリンでの少女像の「永久」設置、ハーバード大ラムザィア教授の「慰安婦は売春婦」論文など、日本の右派政権が加害の歴史を否定すればするほど、国際的には日本が戦争犯罪を全く反省していない現実を広く流布する結果となった。
 韓国音楽K─Pop、韓国映画、ドラマの世界的ヒットについて「韓国は娯楽産業に政府が巨額の援助をしている」と日本メディアが報道することが多いが、近年の韓国コンテンツの世界的ヒットは、キャンドル革命による言論の自由の勝利でもある。『パラサイト―半地下の家族』でアカデミー4部門を受賞したポン・ジュノ監督は、朴槿恵政権時代、「左派文化人」としてブラックリスト入りしており「オファーが少なく、自殺を考えたこともある」と語っている。
 「桜を見る会」に招待されて安倍総理と2ショットを撮って喜んでいる日本の芸能界の現状では、世界的なコンテンツを生む力はないだろう。「低レベルのエンターテイメントが低レベルの国民を楽しませている」とは、かつて日本人が他国に対して持っていたイメージだが、現在は、日本に対して当てはまるのが残念な現実だ。東京新聞・望月記者をモデルにした映画『新聞記者』が日本アカデミー賞を受賞したように、頑張っている文化人ももちろん存在するのだが。
 こうした現実の中で、韓国では「サンキュー安倍」という世論が、当たり前に説得力のある主張になってきた。それは菅政権以降も変わらず、今回の自民党総裁選でも「一番極右で無能な人物を応援しよう」という書き込みがSNS上で溢れた。
 日韓関係をどう改善するか? その議論はもちろん韓国メディアでもされている。
 その中で、「日本で右派政権はしばらく続くだろうから、韓国側としてできることは何もない。だが日本に対し妥協する必要もない。なぜなら日本は右派政権があと数年は続くだろうから、いずれ没落し続ける。その間に韓国は今のまま積弊清算を行い、国際的地位を高める努力をすればいい。数年後には日韓の力関係はさらに韓国に優位になるだろう」という世論が大きな説得力を持っている。    (次回に続く)


写真:上座で余裕を見せる文大統領(左端)、焦燥して手帳ばかり見ている菅総理(右端)

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