ポーズだけの環境会議COP26に喝!世界700の環境グループが公開書簡で抗議
11月1日「コモンドリームズ」 ジェシカ・コーベット (翻訳・脇浜義明)
ーー各国首脳と企業家がCO2を撒き散らす専用機でCOP26に参加して気候対策を論じる一方で、ビル・ゲイツとイスラエルのベネット首相は、「気候危機は技術イノベーションで解決できる」として、ゲイツ財団とイスラエル政府の協力体制を話し合った。
世界の700団体はCOP26の偽善を批判する声明を出し、世界の若者たち(日本も含む)はCOP26を批判するデモや集会を開いている。 (訳者)
環境運動700団体はCOP26宛公開書簡で、「気候非常事態に取り組むために、ネット・ゼロの空手形ではなく、具体的計画、実際的解決策、予算、公正な移行が必要」と指摘した。その上で、汚染企業と政府が約束するネット・ゼロ構想について、「カーボン・オフセット(訳者注・温室効果ガス排出する代わりにそれを削減する活動に資金を提供する取引。つまり、排出権をカネで買うこと)、植樹、生物エネルギー、炭素捕捉・貯蔵などの危険な技術などに依存し、汚染物質を排出しても、その害を削減できるという安易な発想」であり、「何度も失敗して証明されていない技術やイノベーションは、そもそも実現されていないのに、汚染物質を継続排出してもその技術で害を防ぐことができるという偽りの期待をばら撒く」と批判している。
そして、「私たちが知りたいのは、主要汚染源―化石燃料生産と使用、森林破壊、工業的農業―をなくすために何をしているかだ。温暖化を促進するばかりでなく、最前線で働く労働者や周辺部社会を毒し、生態系を破壊する汚染源をどうやってなくすのかを明確にせよ」「現在だけでなく、これから先地球の復元力を回復し、社会的公正、人権、生活、労働を中心に据え、安全で、清潔で、健康的で、持続可能な環境を未来の世代に保障するために、何をするかを明らかに」として、以下のような要求を列挙している。
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*気候対策計画、公正な移行、人権、人種、ジェンダー、社会的・経済的・環境的正義、安全、労働者、先住民、農民、地方社会、若者、社会的弱者に重点を置く具体的政策を示せ。
*汚染産業を減らすと同時に、持続可能な代替産業への投資案を示せ。
*化石燃料に未来がないことを公式に認め、生物多様性を保護・回復し、食料安全と食料主権を保障する具体策を示せ。
*小規模農民、女性、先住民、地方社会が歴史的に開発してきた、安全で自然と調和した農業を支持し、その権利を保障せよ。
*成長中心の開発経済モデルの犯罪性を公的に認め、汚染企業に責任を取らせる具体策を発表せよ。しかし、その責任の取らせ方は、発展途上国を赤字に追い込むローンとか、カーボン・オフセットを通じたトリクルダウン(富裕者が富めば、貧困者にも自然に富が行き渡る、という考え方)であってはならない。
*気候破局を避ける唯一の道は、弊害の多い技術革新ではなく、エネルギー・食料生産・運送などの産業構造の公正な移行による変革である。
書簡では、環境運動団体メンバーの声も紹介されている。
*我々の共同の公開書簡が世界的支持を得ているのは、世界の人民がCOP26が本当の改革を先送りするだけで、不渡りになることが確実な「ネット・ゼロ」という手形で汚染産業を下支えしていることを見破っているからだ。(国際環境法センターの気象&エネルギー・プログラム主任ニッキー・ライシュ)
*「ネット・ゼロ目標」は地球の南半球諸国の土地収奪を促進し、女性、零細農民、先住民の基本的人権と食料主権を脅かす。(「アクション・エイド・インターナショナル」コーディネーター、テレサ・アンダーソン)
さらに、署名団体のうちの4団体―「コーポレート・アカウンタビリティ」、企業欧州監視団、地球の友インターナショナル、グローバル森林連合―は、「企業はネット・ゼロ空手形でグリーンを装いながら、通常営業を継続している」として、その企業名の一部を公表した。ブラックロック、BP、Drax、国際排出量取引協会(IETA)、マイクロソフト、シェルである。「企業重役たちはパーティを開いて政治家に取り入ったり、圧力をかけるロビー活動などを行った」と、企業欧州監視団の調査員パスコ・サビドも声明を発表した。
画像:ビル・ゲイツ氏 公式ブログ「GatesNotes」より
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