電車のサラリーマン

二ヶ月ぶりに帰省している。今は電車の中。金曜の仕事が終わった後、車を走らせ空港へ向かい飛行機に乗った。ちょうど梅雨の時期で飛ばない恐れもあったが無事に着いてくれた。羽田空港に着いたのは大体21:30で電車に乗り込んだのは22時前だった。羽田ターミナル発の京急に乗り込むのは空港の利用客やその従事者だが、それも京急蒲田を過ぎればただの在来線となり日常的にこの赤い電車を乗り降りする人が増えていく。特に平日夜の遅い時間であるからサラリーマンが多い。
 突然だが私は工場勤務だ。一般的な企業勤めとは違い工場指定の社服を着て仕事をする。また工場までは車で通勤するし、普段の業務でも社外の人間と会うことは少ない。つまり通勤含め、身内の人間にしか会わないため、主要都市のような不特定多数の人間から見られることが無いため服装がラフになってくる。(会社からは最低限のマナーは保つようにと注意はあるが)ただそれでも比較的出張や社外の人間と会う機会の多い部長クラスの人間だと普段でもスーツで通勤している。入社以来工場勤めをしている私はスーツの人間を見るとそれなりの立場の方なのでは?と認識するようになった。
 この認識のまま都会の電車でスーツの、特に初老の方を見るときっと課長とか部長だったりするのかな、と思う。一方で車内が部長クラスばかりだとすると平社員はどこに消えたのかとなるので、やはりそうは見えても一般社員の方もいるはずだ。その確認するまでわからないシュレディンガーの猫みたいな状態ではあるが、失礼な話、同じ初老のスーツの人間でも、身なりやなんとなしの印象でシュレディンガーの部長やシュレディンガーの平社員になったりする。こんな風に無意識に人を見て好き勝手思ってるんだから自分自身勝手な人間だなとこの帰省で改めて思った。

 書いててふと思ったが一方でスーツケースを持って移動している自分もシュレディンガーの厄介観光客と思われることもあるんだろう。かなり心外だと感じる。人間はなんて身勝手なのか。


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