ソフトウェアという世界を認知する
この記事はGoodpatch UI Design Advent Calendar 2019の12日目の記事です。
はじめに
もはや普及率なども気にならないほどに普及したPC、スマートフォン。これらのために作られたアプリケーションを包括する概念として「ソフトウェア」という言葉があります。本記事ではデザイナーが対峙するソフトウェアとは何なのかを説明していきたいと思います。
現実とは違う、ソフトウェアという世界が存在する
いきなり何を言ってるんだこいつは?と感じた方も多いかと思いますが、まずはその世界を図示してみたいと思います。
本記事では便宜上、我々が存在している世界を「現実世界」、ソフトウェアの世界を「ソフトウェアの世界」と呼称します。
このように、現実ではないソフトウェアという世界が存在するとします。
...するとします!
その前提でいくつかの例を見ながら理解を深めていきましょう。
例1:印刷物
ではここに印刷物をおいてみましょう。
印刷物は一般に「紙」に「インク」を載せるものです。どちらも現実世界に存在するため、図ではこのように表現できます。印刷物だけでなく、絵画なども同様に表現できるでしょう。
例2:スマートフォンなどのデジタルデバイス
次に、普段よく使うスマートフォンなどのデジタルデバイスを置いてみましょう。
このようになります。
デジタルデバイスは、筐体や実画面などの物理的なものと、OSやアプリケーションなどのソフトウェアによって構成されます。UI(GUI)はアプリケーションなどを表現するなにかですから、ソフトウェアの世界に存在します。
もう少し言うと、UIとは User Interface、つまり界面ですから、ソフトウェアの世界にありながらこちらの世界に最も近い存在だと言えるでしょう。
ソフトウェアデザイン
デジタルプロダクトを含むサービス
では今度は、デジタルプロダクトを使ったサービスをこの図に当てはめてみましょう。
(印刷物さんにはご退場いただきました。お世話になりました)
サービスは、リアルな体験とアプリなどのデジタルプロダクトによって構成されます。このうち、デジタルプロダクトはソフトウェアの世界にあるものなので向こう側に存在しています。
ちなみにサービス利用中と利用外を分けるとこんな感じです。
このように図示してみると、ソフトウェアという世界がぼんやりと見えてきたのではないでしょうか?
オブジェクト
さて、ソフトウェアという世界があることがなんとなくわかってきたところで、昨今のデジタルプロダクトデザインにおけるホットワードであるオブジェクト指向UIについて軽く触れてみましょう。
オブジェクトとは、「そのサービスが扱う抽象的な名詞」で、「なんかそこにあるソレ」みたいな感じのものです。よくわからないですね。なんでよくわからないのでしょうか。
オブジェクトを図に置くとこのようなります。そう、「向こう側の世界にあるなにか」なんです。よくわかりませんね。このようにオブジェクトとはそもそも違う世界にあるものなので、わかりづらくて当然なのです。
しかし、わからないからと言ってそこから逃げていいわけではありません。デジタルプロダクトデザインとは、このオブジェクトを適切に扱いデザインする行為だからです。
図で見てみると、オブジェクトはデジタルプロダクトのなかに存在します。デジタルプロダクトは、このオブジェクトを見たり操作したりすることで人が価値を感じたりなにかを得たりするものです。
UIデザイン
UIデザインは、ソフトウェアの世界に存在する「オブジェクト」をどうするか?を考えることです。つまり、そのオブジェクトをソフトウェアの世界の理に沿って存在できる、かつ人が理解できたり関われたりするカタチに組み上げていく行為と言えるでしょう。
じゃぁデザイナーは具体的にどうしたらいいの?
我々はソフトウェアをデザインするときに、違う世界に存在するソレを見つけ出し、適切に扱わなければいけません。
よって、デザイナーはオブジェクトを適切に見つけ、構造化する必要があります。その行為をオブジェクトモデリングと言い、ソフトウェアの世界におけるデザインと言う行為において非常に重要な意味を持ちます。本記事では詳しくは書きませんが、ステキな同僚たちが書いたステキな記事があるので紹介します。
おわりに
だいぶ怪しげな話をしてしまいましたが、ソフトウェアデザイン(≒デジタルプロダクトのデザイン)は現実とは異なる世界でのデザインなので、その世界の理・考えに基づいてデザインしなくてはいけないことをまず認識いただければ幸いです。
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