アメリカの小切手で詐欺被害
JINKEN.COMのカリフォルニア州弁護士が書き続けているブログがあります。基本的には読者からの質問をもとにしつつ、社会で起こる様々な出来事、クライアントとの触れ合いの中で、自分自身が感じたことを率直にオープンにしているのが特徴です。
詐欺について、実は、お問い合わせが多い案件の一つです。身近ですし、気が付かずお金を振り込んでいる場合も多いようです。相手方が提供する正式な手続きを踏んでいるために、実際には「詐欺」というか、不注意による「誤解」「勘違い」で止まってしまうことも。
JINKEN.COMは、代表がカリフォルニア州弁護士ですが、法律事務所ではないため、直接のご相談に回答することは行っておりません。(そのため、弁護士との個別のご相談は、正規の手続きを経て弁護士所属の専属法律事務所で承ります。詳しくは一度ご連絡ください。 )
下記の弁護士ブログからの情報をもとに、ご自身で対応できることが何か、また、どのような手口で詐欺が仕組まれているのか、理解を深めていただければ幸いです。
ブログは複数あり、またそれぞれがシリーズ化されて長文ですので、下記に要約を掲載します。
銀行小切手で詐欺。対処方法は?
友人からの紹介で小切手を換金してその現金を郵送したところ、それが詐欺と判明。有価証券に関する詐欺は多く、特に小切手は銀行振出など、その信用を逆手に取った悪質なものも横行。まずはその小切手が正規のものか、財務局のHPで確認。被害に遭っても、警察や裁判では追いきれないこともある為、まずは信頼関係のある相手とのみ、金融機関や、クレジットカード使用で送金するなど、元から被害に遭わないようにすることが肝要。
アメリカで中古品の取引。気持ちよく売買を成功させるには?
以下は、小切手詐欺にまつわる内容ですが、上記の「銀行小切手で詐欺。対処方法は?」を読んだ上での関連記事としてお考えください。
とは言え、詐欺の手口等が具体的であり、とても参考になると思います(そして、読み物としても面白い!)。
愛車のベスパを売ろうと地元の物品売買サイトに広告を出したところ、怪しい連絡メールが続々。的外れな問い合わせから、購入金額の支払い方に関する交渉まで、広告内容を確認していないような連絡は要注意。現物だけではなく現金まで詐取するPaypal詐欺、さらに手の込んだ銀行振出小切手詐欺など、支払いに関する詐欺は多い。個人売買のレベルでは、実際に対面できる相手としっかり話をして現金でやり取りするのがおすすめ。
我は売る、さらばベスパよ(1)-ネット個人売買とリスク_1072
我は売る、さらばベスパよ(2)-ネット個人売買とリスク_1073
小切手トラブルあれこれ-家賃滞納と小切手支払い
以下は、「小切手」の詐欺の内容ではありませんが、小切手に関するトラブルの話です。関連記事として、ご参考まで。
家賃の支払いが遅れて、大家から25ドルの追加払いを請求されたら支払うべき?…そんな時はまず賃貸借契約書の確認を。この場合、支払い小切手の不渡り(バウンスバック)に関する記載があれば支払う必要がある可能性が、一方、家賃滞納への損害賠償金扱いの記載であれば、その記載自体が違法の可能性あり。住居利用の賃貸借契約やバウンスバックに関することは州法で定められていることが色々あるため、こちらの確認も適宜重要。
遭遇したくはない詐欺被害ー送金詐欺の実態
こちらは、小切手の話ではなく、詐欺についてのみ。但し、取引における注意点などは書いてあるので、関連記事として掲載します。
送金詐欺について実際の事例をもとに手口を紹介。会社間の取引にメールサーバーから侵入、一方の会社になりすまして電信為替送金を横取りするケース。銀行が送金手続きをすると取り消せないシステムを悪用しており、発覚時点での対応が難しい。この場合、メールからの送金指示に対して、電話等で確認するのが、簡単ながら有効な詐欺対策。この他、複数人での対応や会社内での送金ルールの見直し、ITセキュリティの強化なども。
「詐欺」ではないが「この状況はどうなの?」-納得が行かない取引への対処方法
家の修繕工事を依頼した工事業者が3か月以上作業を放置。費用の一部も支払い済みだが、連絡も取れず、どうしたらいいかわからない。
こんな時、カリフォルニア州では、州政府の監督下にある「コントラクターズボード」の活用が有効。コントラクター(大工、施工業者)は免許制なので、各事業者の経歴など情報が収集できる。ここを介してクレーム提出や新たな工事業者の依頼などもできるので、泣き寝入りせず対応するのがおすすめ。
詐欺で海外送金。巧みな手口に警戒をゆるめてしまった実例
アメリカに係留中の中古ボートを購入。イギリスに電信送金したが、商品が送られず、詐欺と発覚。実在の会社情報を利用しつつ、権利証などは精巧に偽造、銀行口座を間違えたふりをするなど計画的な犯行。
法律や商習慣の異なる国際取引で騙されないために、(1)個人売買ではなく、代行などプロに依頼 (2)3か国以上の絡みがないか(あったら要注意) (3)売り主に会い、商品や書類を確認 (4)送金は慌てず、よく吟味 など注意点を紹介。
詐欺被害に遭ったと気が付いたときに、最も大切なのは、おそらく送金を封じることと考えられます。
被害に気が付いたら、まずは金融機関等、ご自身で対応できるところから始めて、同時に専門家へご相談なさることをおすすめいたします。