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【第1章】給料よりも仕事のやりがい、キャリアアップよりもワークライフバランス…多様化する社員の仕事観③

「目的」と繋がっていない組織では、社員の意識はバラバラのまま

 最近の「人と仕事の関係」の研究によると、人と仕事の関係性は3つの階層に分けることができるそうです。
最初の階層が「ジョブ(Job)」です。つまり仕事=単なる労働であり、お金のために仕事をする、という意識の階層です。
次の階層が「キャリア(Career)」です。仕事=自己成長の手段という考え方であり、より高い地位やそれに伴うギャランティ、より大きなプロジェクトを任されるために自分をステップアップさせたい意識の階層です。
最後の階層が「コーリング(Calling )」です。使命感を持って仕事をする意識の階層で、自分の仕事には意味があることを実感し、心の深いところでモチベーションとして繋がっています。仕事と自己の存在理由、アイデンティティが密接に結びついている状態です。

図1

「使命感」がないと一体感も失れる

 ジョブがダメでコーリングでなければいけない、と言いたいのではありません。3つとも大事なことで、どのバランスで働くかは人によって異なります。
 ただ、お金のために働く意識が強い人は、より給料の高い職場を見つけるとそちらに移ってしまう可能性が高いでしょうし、キャリアのために働く人は、その職場で学べることがなくなったと判断したら転職を考える可能性も高いでしょう。
 しかし、使命感で働く人は、給料や自己成長以上に「貢献」を最大の喜びとするため、本来、日々の実務自体に喜びを感じているはずです。

 「自分のため」に仕事をする意識を持っている人の多くが、「仕事の3つの階層」の1つ目と2つ目の意識で主に仕事をする傾向があります。そういう人に「あなたは何のために働いていますか?」と質問すると、「将来、自分のしたいことをするために今はお金を稼ぎたい」「自分の能力を伸ばすために職場でいろいろと勉強させてもらいたい」という自分にベクトルが向いた答えが返ってきます。いわゆる〝仕事は自分の人生のための手段〞という考え方です。
 しかしながら、使命感を持って働く意識が強い人は、お金や成長以上に「他人のために」働くことが大きなモチベーションとなります。


 「自分が携わっている仕事が誰にどのように役に立っているのか?  
お客様に、利用者に、あるいは職場の仲間に、役に立つことがこの上ない喜びだ」。このような貢献の心や使命感は、実はその会社の経営理念に必ず書かれているはずです。
 しかし、現実問題として経営理念が多くの組織では浸透しておらず、社員がそれに共鳴していないために、働く理由もバラバラで、互いの価値観がぶつかり合い、一致点を見いだせず、職場での一体感は醸成されていません。
 その結果、一人ひとりの仕事に対する情熱が削がれ、本来仕事そのものが持つ「貢献の喜び」を充分噛みしめられずにいます。
 多くの組織は目的を見失ってしまっているのが現状なのです。

○次回は
【第2章】トップダウン型人材育成では 社員のモチベーションは上がらない
の中から、
「組織の機能不全を示す5つの兆候」
を掲載予定です。

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