【勤労統計問題の原因は「COBOLプログラムのバグ」】について、システム開発者目線で思うこと

厚生労働省の「毎月勤労統計調査における不適切な事務処理」について、
報告書が出ています。

ニュースサイトやTwitterを見ると、「COBOL」が必要以上にフォーカスされている印象を受ける。

確かに、COBOLは長期間使われている、枯れた言語である。
古い言語としてネタにはしやすいし、実際、よく話のネタにはしたものである。私も結構書いたので、高齢者扱いか?(笑)

問題の原因がCOBOLの言語仕様によるものであれば「COBOL」にフォーカスが当たるのも納得がいくが、行うべき修正がなされなかったのが原因であれば、そこに言語は関係ない。ただの仕様漏れである。

システム担当係で COBOL を扱える者は1人又は2人に過ぎなかった。このため、一般的にシステム改修を行う場合はダブルチェックを行うが、ダブルチェックができない場合も多かった。
(報告書の17ページ目から引用)

以前のエントリで、プログラミングについて書いたのだけれど、COBOLを扱える人(「3.コンピュータへの指示を実装する」人)の問題ではなく、どう実装するかを決める人(「1.やりたいことを手順化する(仕様作り)」人)の問題だよね。

COBOLを扱える人は少ないかもしれないが、テスト用のデータを入力して、想定通りの出力が得られるかのテストはできる。それができないのであれば、仕様を決める人になってはいけない。

COBOLについて書かれた後に、

このように考えると、本件については、システム改修についての処理の誤りを起こした職員の責任もあるが、それ以上に処理の誤りを起こしやすく、誤りが誤りのまま実施されないように適切なチェック体制を整備せず、また、プログラム改修を部下に任せきりにしていた責任は重い。問題事案の的確な把握を怠った平成15(2003)年以降の統計情報部長及び政策統括官並びに雇用統計課長、雇用・賃金福祉統計課長、参事官(雇用・賃金福祉統計室)及び管理官(雇用・賃金福祉統計室)の責任こそが強く問われるべきである。
(18ページ目から引用)

とあるように、問題の本質はこちらの記載であると思う。

また、報告概要には「COBOL」とは一言も書かれていない。
本質でないところに必要以上にフォーカスを当ててしまうと、ミスリーディングして(させて)しまう。ちゃんとニュースは読まなきゃと思いました。

まぁ、一言で言うと「COBOLちゃんを悪者にしないで!」です。まる。

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