老害を老益へ!ミドル・シニア層の新しい活躍スタイルとは

日本における就労人口の減少は既に始まっている。今後は従業員の確保が出来ずに倒産する企業も出てくるだろう。実際、既に飲食店や美容室などのサービス業では従業員を確保できないが故に黒字倒産する会社も存在する。

就労人口の減少を補う為、平均年齢の上がった日本においてミドル・シニア層の活用は不可避なテーマだ。ここでいうミドル・シニア層とは、40歳以上のビジネスパーソンで、部長以上の重要な役職につくことなくキャリアを終える層を指すとしたい。現実には大企業の部長経験者であっても、役職定年と同時にキャリアの危機に直面する事もあるので一概には言えないが、恐らく部長未満でキャリアを終える人の方が圧倒的に多く、かつ直面する状況の難しさもあると思うので、ここでは上記のように定義してみたい。

終身雇用制度はとっくの昔に既に崩壊し、全てのミドル・シニア層がそのまま逃げ切れるとは限らなくなってきた。実際、ミドルクラス(概ね40歳以上)の転職も以前に比較して活発化していると聞く。

■老害としてのミドル・シニア層

しかし、企業は総じてミドル・シニア層の活用に頭を悩ませている。いわゆる「働かないおじさん」問題だ。報酬に対して生産性の低い割高人材として認識される事が多い。何故か?それには以下のような問題点があるからだと思われる。

①新しい考え方ややり方に適用しようとしない。
②他者批判、問題点の指摘、出来ない理由ばかり並べて自分から物事を動かそうとしない。
③プライドが高く、周囲からの失敗や批判を素直に受け止めて学習する事が出来ない。
④自分から積極的横の連携を作ろうとせず縦割りの形式主義に徹する。
⑤年下の上司や同僚と上手く強調出来ずに反発してしまう。

今更書くまでもないが、多くの人が「まあ、そうだよね」と納得すると思われる。これに付随してモラハラ的な言動が目立つとたちが悪く、手に負えない。なまじ弁もたつ為、年下の上司も強く指導できない。結果、放置されてしまい、仕事での活躍の機会も奪われてしまう。周囲は「早くいなくなって欲しい」と願いながら黙って下を向く。

これをいわゆる「老害」と呼んで差し支えないだろう。

この老害のあり方の源にあるものは何か?と探求してみると、大きな一つの原因にたどり着く。それが「判断的な思考パターン」だ。過去にあった出来事や経験などから学習した特定の思考パターンを未来に当てはめ、ほぼ一瞬で判断を決めてしまう。その未来が達成の難しいもと感じる場合、もしくは予測不可能と見込まれる場合、それを「リスク」と認識して回避しようとする。自分の判断を「確実に正しい」と思いこみ、それ以外の意見やアイディアを排除してしまう。彼らがビジネスパーソンとしてここまで生き残ってきた「生きる知恵」は、21世紀には既に機能しなくなっている。あらゆる老害の源はここにあると言えるのではないだろうか。

では、どうすればよいのか?
どのようにすればミドル・シニア層を活かす事が出来るのか?
ある飲み会の席で尊敬する人(仮にK氏としよう)と話していた時に対話の中で出てきたアイディアが秀逸だったので、是非紹介したい。

■ミドル・シニア層は、若手にとっての「まとめサイト」になれ!

ミドル・シニア層のこれからの生き方を一言で表現すれば、「歩くまとめサイトになる」だ。

どういうことか。

まとめサイトの特長(長所)を考えてみよう。

①幅広く拡散している様々な情報が一か所に集約してコンパクトにまとめている
②場合によっては比較検討情報が掲載されており、それぞれの情報がより捉えやすい
③ありがちな落とし穴の情報もあり、事前に陥りやすい失敗を回避できる
④あくまで情報提供に徹しており、最終的な判断はサイト閲覧者に任されている

経験豊かなミドル・シニア層はいわば社内における生き字引だ。①過去数十年分の経験が頭の中にデータベースとして組み込まれており、重要な情報は尋ねればすぐに出てくる。②更に関連情報へのアクセスも容易で、比較検討も出来る。③ミドル・シニア層自らが体験した手痛い失敗談及びそこから得られた教訓は、若手にとって非常に有用な知恵になるだろう。

そして最後の④が重要なのだが、「情報提供に徹する」というスタイルを取る事だ。こうする事によって最後には若手が自ら判断する事になる。無論、レコメンドはするが最後は自分で決めさせる。この権限移譲が出来れば、ミドル・シニア層は若手社員にとって重要な役割、立ち位置を示せる。まとめサイトは押しつけがましく情報をプッシュしてきたりはしない。あくまでこちらが検索した時だけ情報をくれる。そんな存在であったならば、ミドル・シニア層は重宝されるだろう。これぞ、老益ではないか。ミドル・シニア層に苦手な挑戦や新しいアイディア等を求めるよりも、彼らの持っている強みを活かすポジショニングと言えないだろうか。

「あのおっさんのデータベース、マジ半端ねぇ。老益だ!」

といわれるよう、私自身精進したい。

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