親父が末期癌になって パート3
そんなこんなでそれとない会話から探りを始めてみた。しかし親父と話しているうちに変な違和感があった。病状について話が全く噛み合わないのである。
どうやらこの前の医者の話が全く入ってなかったようで、胃がんとレアな癌が身体にある。それだけ。もちろん余命は僕と母の2人しか知らない事だが、肝臓転移やステージ4、手術は出来ないから抗がん剤で抑える事しか出来ない。など親父は全く覚えていなかった。いや、耳にすら入っていなかったようだった。
確かに『癌です』て言われたら思考停止するか。とも思ったが日頃から『ママ』に全てを任せている本人の性格に起因してる所が大きいと感じた。挙げ句の果て親父は自慢のヘアーがあるため抗がん剤はしたくないとか言い出しやがったのである。おいおい、あんた末期癌だぞ。
ここでまた母と作戦会議。親父全然分かってないけど。しかもこれっぽちも死ぬとは思ってないし、変な病気になっちまったぜ。ぐらいの感覚でしかないようだけどどうする?と2人で話し合った。
とりあえずなんて切り出したかもう忘れたが、かなり上手にもし余命宣告をされたらどうする?とか、抗がん剤はこんな効果があって〜など色々な方法を使ってこれからの方針と本人の気持ちなどを探っていった。
余命に関してはもしそんな事言われても聞きたくないらしい。余命宣告されても仕事が楽しいからそんなもんケッコウらしい。抗がん剤は『えー、やだなー』みたいな感じ。
でも抗がん剤については後何日かしたらまた病院行くからその時また相談して抗がん剤やるかどうか決めようと言うことになった。
僕と母は親父がもうすぐ死ぬ事を知っている。それだけでかなり辛い。その上本人は全く分かっていないしなんならまた元気になると、元通りになると思っている。そんな親父を見ているのは辛いと言う言葉では表せなかった。