社長のあるべき姿は、会議出席率を下げて、企業のブランディング
永吉です。今日は以前コンサルをしていた企業の従業員から相談されたことについて話します。
相談された内容は、「社長が会議に出席しすぎて、仕事が先に進まない」という相談でした。
この企業は、オーナー社長が中心となって会社が大きくなりました。社長はどんなことでも把握したい方で、従業員からの信頼に厚い社長でした。やがて企業が大きくなると、社長は全部を把握しきれなくなりました。それでも社長は今まで通り会議に出席し続けました。その結果、社長のスケジュールは会議で埋まり、会議中に社長は別の溜まった仕事を済ませるようになりました。
社長が頻繁に会議に参加した結果、起きた問題
社長決済の仕事が滞る
従業員が社長に何でも相談する
社長以下の上司が自発的な行動をしなくなる
従業員は会議内容を社長が承認していると思い込む
社長が把握しきれなくなる
社長の会議参加率が高いと、社長が現場に近い考え方になり、そして従業員も社長に発言しやすい環境が生まれます。その結果、社長でなくてもよい判断を従業員は社長に求め始めます。従業員が何でも社長に判断を仰ぐため、上司達の決断業務は減り、その結果上司達はリスクを負わない仕事を率先して行うようになります。
このような多忙スパイラルにはまっている社長なのであれば、これからご紹介する方法で社長を救い出してあげて下さい。社長自身だけでは、多忙スパイラルから抜け出すことは難しいので、従業員の方々が社長を助けてあげ、社長には社長にしかできない仕事に集中してもらいましょう。そうすることが、あなたの仕事が早く片付けられる方法でもあります。
対策1. 社長無しで会議を開催
これを実行するのは比較的簡単です。社長が毎回会議にいることに慣れていると、最初は社長がいないため会議が進まないかもしれませんが、慣れればスムーズに会議は進んでいきます。もし社長の意見が必要な時は、会議で話した内容をまとめて、社長にどんな意見を求めているのかを簡潔にメールで伝えて下さい。メールの返信が2日間なければ、社長にアポを取り社長室(移動時間節約)でメールの内容を伝え、意見を求めて下さい。これをすることで、自分たち主体に業務を行っていけるようになります。
対策2. 社長出席の会議をたくさん入れる
社長自身に分かってもらうための強行手段です。どんな小さな会議にも社長に出席してもらい、会議終盤に社長に「社長この内容で進めてもいいですか」と、社長に承認を仰いで下さい。きっと社長は会議中に他の仕事をしているので、5割も会議内容を把握していないと思います。会議に出席している手前内容をもう一度聞くわけにもいかずに、「進めて下さい」としか言えないでしょう。
このような事が頻発すると、社長承認で進めていたにも関わらず、社長が把握していないことが発生します。そこで、社長が自分のキャパを超えているということに気づいてくれるはずです。。。そこに賭けましょう。
対策3. 関係者とあらかじめ合意を取って会議を始める
これが一番効果が高く、実践してほしい対策方法です。会議に出席する人と事前に会議内容の打ち合わせをし、全員の合意を取った上で、社長に報告する会議を行う方法です。
実際に社長は細かい話よりも、結果に興味があります。できれば、実際の結果報告までを社長に伝えることが組織としてあるべき姿ではありますが、何でも把握したい社長にとっては最初はハードルが高いと思いますので、皆さんが出した結果を社長に報告する方法を取ってみてください。最終的には、「実際に販売向上施策を打ってみた結果、このようになりました。」という報告をすることが組織のあるべき姿です。皆さんにはここを目指して頂きたいです。
社長の本来の仕事とは
企業が大きくなり、従業員が増えると社長の仕事は変わってきます。今までは、売上向上のための施策を考えたり、人材の採用を行なったり、多岐に渡って何でもするのが起業間もない社長の仕事です。
企業が大きくなると、社長の仕事は「企業のブランディング」「資金集め」など、企業価値を高めることが仕事になります。そのため、それ以外のことはできるだけ従業員の方が行っていくことをオススメします。
それが、従業員の業務を結果的に楽にすることになります。企業のブランド価値が高まれば、営業に行かなくても顧客が増えます。さらに、優秀な人材も集まってきます。そして、社会貢献のできる余裕がある企業として、社会に認知され企業が益々成長していきます。
ご自身の業務を減らすためにも、社長の会議参加率を減らす対策を行ってみて下さい。
対策を講じた結果
私が相談を受けて実施した方法は、対策1、2、3です。社長に会議をたくさん入れた結果、社長は把握しきれない状況になりました。そうすると社長が自ら参加する会議を取捨選択するようになりました。少しだけ社長の会議参加率を下げることができました。
次は従業員の方に、会議を開く前にあらかじめ関係者と合意を取って会議を開催してもらったところ、1時間の会議が10分で終了するという結果となりました。このような事を継続して皆さんが行ってくれたことで、社長の会議参加率を半分以下に下げることができ、社長以下の上司達も自分の権限下で手腕を振るい始めました。すぐには企業の結果には繋がりませんが、社内の雰囲気はより活気がでてきたように感じました。