その自信は損か得か?
『錯覚の科学』という書籍によると、
「自分の能力が平均より高いと思うか?」という質問に対し、6割~7割が高いと答えるそうです。特に実際の能力が平均より低い人に多い傾向だそうです。
人は自分の能力を過信する傾向がある、ということですね。
ただ、これも「脳が引き起こす錯覚」の一種だとのこと。
謙虚な人ほど訓練をしたり知識の習得をしたりして、結果その能力も高くなります。
つまり、
自信が少なすぎる謙虚な人は能力が高くなりがち
自信が多すぎる自信過剰な人は能力が低くなりがち
ということです。
このような傾向が出るのは、会社の人事評価の傾向と照らし合わせても、納得です。
成果が出ていない人ほど自己PRが大げさになり、成果がよく出ている人ほど自己PRが控えめになる傾向があるからです。
この原因は、錯覚というだけではなく、人間の生存本能のようです。
というのも、能力が低いとみなされると、「無能だと思われて集団から追い出される!」と危機感をおぼえるので、成果を出せてない人ほど、「私はこんなにすごいんです!」と過剰なまでにアピールする傾向がありあmす。
逆に、能力が高いとみなされると、やはり「危険視されて集団から追い出される!」と危機感をおぼえるので、成果を出している人ほど、「私はそんな大したことありません」と過剰なまでに謙虚になる傾向があるわけです。
そう考えると、
本当は自信が無いから、自信過剰な態度になり、
本当は自信があるから、謙虚な態度になる
とも言えます。
だから実は「錯覚」などしていなくて、「適切に自己評価しているがゆえに」、人は自分の能力を過信する傾向がある、とも考えられるのです。過信ではなく、自己保身のために過信している「ふり」をするわけですね。
私は「自信は若いうちはあった方がいいが、年をとるごとに減らした方がいい」という考えです。理由は下記の通り。
若者の自信を、他者は過大評価するからです。若者の多くは実績が無いので、表面的な人間性で判断されがち。だから「自信は得する」わけです。
一方、成熟した大人になるほど、自信ありげな人を、他者はうさんくさく感じて過小評価します。基本、実績で判断するし、過剰な自信を見せる人が信用できないことを経験的に知っています。なので「自信は損する」のです。