一昨日のこと。声を掛けてくれたあなたへ。

2回目の引っ張り上げたところからエレベーター前まで、どうやって高齢男性が辿り着いたか、今ポロっと思い出した。
実はここが一番大事なところかもしれない。

容赦なく雨はジジイと私に降りかかり、ジジイは転んでドロドロ、私は跪いてドロドロ、合わせて4ドロとなり、傍から見たらただの酔っ払い同士に見えたかもしれない。
②で書いたように、リーマンと思しき中年男性は、私たちの普通じゃない状況を把握しながらも通り過ぎて行った。こちらも手伝ってと口に出したわけではないから仕方ないのかもしれない。とは思えない事が起きたのを、たった今思い出したのだ。

「今度は私が倒れるけんね!!」などと叫びまくっていたところに、何と、自転車で駆け付けた若者がいたのである。
『大丈夫ですか』
大きい声ではなかったが、はっきりと聞こえた。
自転車に跨ったまま、傘も差したまま声を掛けてきたことが、かえってこの子の緊張を物語っているようでたまらない気持ちになった。
「あぁ大丈夫です。ありがとうございます」「そこで倒れてしまったんだけど、起こせたからもう大丈夫です」
この子まで泥まみれにするわけにはいかないと思った。

その間ジジイは、というと、平坦な路面で転がったのが噓のように、私の両腕とショッピングカートを支えにスムーズに階段を上りきった。
もう大丈夫です、本当にありがとうございました、と何度か繰り返すと、ようやく若者は自転車をUターンさせ、大通りに向かって漕ぎ出した。
あぁ。わざわざ大通りから一本入ったこの道まで助けに来てくれたのか。大声で喚いている大人に声掛けするって勇気いるよな。大丈夫って言ってもすぐにはいなくならなかったから、きっとこの顛末を見届ける気でいてくれたんだろうな。
私には子どもがいないが、息子がいたとしたらあれくらいの年齢なんだろうか、とか考えてしまった。私の息子があんないい子に育つわけないか。


私の記事を読んでる可能性はほぼゼロだけど、おばちゃんお礼が言いたいです。
あなたがいてくれたことで、介助時間は確実に短縮しました。あのおっさん、あなたが登場してからはちょっとシャキッとなってくれたからね。
本当に心強かったです。ありがとうございました。

                        

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