
冬の森のなかで
僕は森の中を行く。
聴こえてくるのは鳥の声と、物影で何かが動く音
秋に落ち切れなかった落ち葉が時折舞う。
落ち葉を踏みながらゆっくりと。その音と感触が心地よい。
以前に不思議な体験をしたことがある。友達と森の中を歩いていたら、ふっと何かの気配を感じた。何もいないはずのその場所に。
友達と同時に「今何かいたよね?」って聞き合った。ふたり同時に感じたからきっといたんだね。何かがね。
そんなことをなんとなく思い出す冬の森
静かな森の中、好きな人のこと、好きだった人のこと、大事な人のこと、そんなことも思い出す。
もう会えない人は、今どうしているのかなって。
好きな人は、今この時間をどう過ごしてるんだろうって。
一緒にここに来たいなって。
大事な人は、今頃家でゆっくりしてるのかな。
過去の思い出、普段はあまり振り返らない。
時間は戻れないから。現在と未来だけをみている。
でも冬の森を歩くときくらいはちょっと思い出してもいいかな。
森には不思議な力があるし。
森には不思議ないきものも住んでるし。
そろそろ日が暮れる。
森を抜けて夕日を見てから家に帰ろう。現実が待ってる。
でもその前にちょっとだけ、好きな人のこと思い浮かべていいかな。この夕日を一緒に眺めたいなって。