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【企業分析】「観劇三昧」株式会社ネクステージ【新ビジネスモデル構築】

皆さんこんにちは!JURYUと申します。今回は、演劇業界を下支えしている演劇映像独占配信サービス「観劇三昧」を運営している株式会社ネクステージについての分析です。
実は、人生で初めての企業分析となります。

コロナウイルスが流行し自粛が続いている中、演劇業界は流行初期の段階から活動の自粛が求められてきました。
僕も学生ながら演劇に携わっており、その身としてなにか演劇業界のためにできることはないかと思い、ネクステージだけができる新ビジネスの可能性について考えることに致しました!

内容の概要としては、ネクステージの主要事業である「観劇三昧」を軸に、演劇業界を支えるためのビジネスにどんな課題があり、それを解決するためにはどんな事業が必要なのかについての僕の考えを紹介しています!

【⌛時短のために⌛】
今回はPowerPointでのPDF資料も作成しておりますので、まずはそちらのほうを見ていただければと思います!!!
その補足(
なぜそのように考えたのかなど)として、該当箇所のNoteの文章を読むと時短になるかと思われます。

スライド資料👇

それでは本日の内容に入っていきましょう!!
本日の流れはこちら!

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目次


それでは早速内容に入っていきましょう!!

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1. 企業概要

会社概要

株式会社ネクステージ(代表者:福井 学)
資本金:3175万469円
設立:2014年5月30日

企業理念
「演劇が音楽や映画と同じく、当たり前のように生活の中にあふれ、心が豊かになる社会へ」をモットーに、演劇業界を支えるようなプラットフォーム事業に取り組んでいます。

モットー

演劇に関する事業を展開をしている!

では、なぜネクステージは演劇業界のために事業をしているのでしょうか。
その裏には演劇業界の悲しい現状があるのです。
まずは演劇業界について軽く見ていきましょう!

➢ 演劇業界の現状

演劇業界の市場規模は以下のようになっています。後ほど映画・音楽業界との比較をご紹介しますので今は参考程度にご覧ください。

市場規模

(出典:株式会社ネクステージ)

この180公演/日という少なさからも、演劇は一回の上演をすることのハードルが映画などにくらべて高いのです。
演劇は生の役者さんが演技して、照明や音響さんの生のオペレーションがあって成り立つものです。
映画のように一日に何度も何度も上演できるわけではないんですね。

そして、演劇といっても、演劇には大きく分けて二つの種類があります。
■ 商業演劇
■小劇場演劇
それぞれについて簡単に紹介したいと思います!

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このように、小劇場演劇に比べ、商業演劇は規模も大きくテレビなどで活躍している芸能人が主に役者を務めるなど、その認知度や人気度も高いため集客につなげやすいという特徴があります。

それにより、小劇場演劇には重大な経済的問題点があります。その例を少し挙げたいと思います。

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どうでしょうか。
そうです。小劇場演劇界は元からこのような状況でも、多くの劇団さんはくらいついて真剣に演劇をしています。

では、もう少し広い視野で、映画・音楽業界との比較をしてみましょう。
比較するのは
業界全体の年間売上高
年間総動員数(音楽➡サービスの年間総利用者数)※全業界重複利用者もカウント
です!

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これを見てわかるのは、
 「演劇を楽しむためにはお金が必要!!!」ということです。

なぜかというと、総売上は演劇は一番下ですがそこまで映画業界と大きすぎる差があるようには見えません(約500億円の差)
しかし、動員人数(利用者数)に大きな差があります。
このことから、

売上÷客数=購入単価

の式にあてはめてみると演劇は映画・音楽業界に比べて約8~9倍の購入単価となっています。
もちろん、これは商業演劇と小劇場演劇の売上を合わせたものですので、小劇場演劇はこの平均単価の1/3ほど安く見ることができます。(それでも映画の2~3倍)

このように、演劇は多くの人々に楽しんでもらうには少々値が張るため、新たな観劇人口(利用者)を他業界よりは増やしづらいというのが現状です。
そんな小劇場演劇の劇団さんの支えになれるようなことをしたい!という思いからこの会社を立ち上げたのだと思います。

詳しい経緯などはこちら👇

さて、それでは小劇場演劇の劇団さんの助けになるには具体的にどのようなことをしなければならないのか。
福井さんがおっしゃることにもありますが、僕は以下の二つが演劇業界における大きな目標だと思いました。

➊演劇ファンの増加
➋公演外での収入の確保

これらの演劇業界の目標に貢献できるような事業をネクステージは展開しています。それでは、どんな事業を展開しているのかを見ていきましょう!

事業内容(主要なサービス5つ)

ネクステージが展開している事業は主に以下の5つのサービスに集約されています。

① オンライン観劇サービス「観劇三昧」の運営➡SVOD(定額制動画配信)事業
観劇三昧VR(2020/3/31にてサービス終了)➡VR形式で観劇可能
演劇グッズ専門店「観劇三昧」の運営➡劇団からの物販委託販売事業
④ 電子チケットサービス「演劇パス」の運営➡チケット販売仲介業
⑤ 舞台撮影サービス「観劇三昧 舞台撮影所」の運営➡舞台演劇の撮影・メディア制作業

主要サービス

これらの事業について、詳しく見ていきます!


主要な事業とその他の事業との関係

結論ですが、主要な事業は①オンライン観劇サービス「観劇三昧」になります!

コメント 2020-05-04 072608

観劇三昧のマーケット環境

観劇三昧累計会員数

■メイン事業の理由
理由①
会社設立の9か月ほど前からサービスのリリースを開始しており、日本の小劇場界で有名な劇団の作品配信プラットフォームとしては独占的なシェアを誇っている。

会社沿革

理由②
TSUTAYAを運営するCCCグループ主催のベンチャー協業支援プログラム「T-VENTURE PROGRAM」にてCCC賞(最優秀賞)を獲得。CCCグループとの協業をしていた。

CCC協業

理由③
ビジネスモデルがレベニューシェアモデルとなっており、演劇業界が抱える貧困さを解決し、かつ観劇人口を増加させ公演収入にもつなげられるビジネスを展開。BtoBtoCビジネス。

利用者が支払う月額料金の7割を総再生秒数で按分して、作品を提供してくれた劇団にお礼としてロイヤリティを支払うビジネスモデルになっています。

観劇三昧ビジネスモデル①

観劇三昧ビジネスモデル②

観劇三昧ビジネスモデル④

観劇三昧ビジネスモデル③


■そして、主要事業である「観劇三昧」とその他の事業との関係を図解したのがこちら!

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これらの事業を展開していき、最終的には先ほど言った演劇業界の大きな2つ目標を達成していきます

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2つの目標にそれぞれ動くことは互いにシナジー(相乗効果)を生み出し合うと考えられます。

これらを目標とすることにより提供作品が増えていき、演劇市場におけるシェア率を増やし、大手企業からのオファーにも負けないようにすることが重要だと思います。

しかし、これらのサービスではマクロ的に演劇市場の規模を直接大きくすることは難しいと思われます。
なぜなら、これらのサービスの利用者は、すでに演劇に興味のある顕在顧客が想定されるからです。

したがって、小劇場演劇市場自体を大きくするような仕組みが必要(潜在顧客を演劇に結び付ける必要あり)になります。

なぜ潜在顧客を結び付けるような努力をしなければ演劇が音楽や映画のように当たり前にならないのか、それは「観劇三昧」が戦っている「市場」が関係しています。
それでは、その謎を解くために市場分析をしていきましょう!!


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2. 市場分析

実際に市場分析を始める前に、市場分析ってじゃあなんですか?
市場分析といっても、一体どんなことをすればいいのか。
そんな方には、コチラのサイトにわかりやすく書いてありましたので興味のある方はぜひ。

上のサイトをまとめます。
市場分析は簡単には、主に以下の2つのことを理解することと捉えて良いと思います。

1. 自分たちを取り巻く状況を理解する
2. 世間の「ニーズ」に対して自分たちに何ができるのかを検討したり、競争相手がいたとしても自分たちが勝てる領域はどこなのかを検討する

1を理解するために行うのが
外部環境分析:マーケティング機会を見つけよう!!
2を理解するために行うのが
内部環境分析:機会を逃さずに成功する能力があるのかを分析しよう!!

それでは、これに従って市場分析を進めていきましょう!

➢外部環境分析

□PEST分析

PEST分析とは
➡P(政治),E(経済),S(社会),T(技術)の動向を分析するもの
分析フォーマットをferretさんからお借りして分析してみました!

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【ちょい考察】
■コロナウイルスの影響で可処分時間の扱い方がオンライン上に制限される
■所得低下による解約率の増加の懸念あり
■今後収束後に経済のV字回復策の一環で様々なサービスの消費が促されることが予想される


□5つの競争要因分析(5force分析)

5つの競争要因とは
➡製品の市場の競争状況、長期的な収益性を以下の5つの観点から分析するもの

【5つの観点】
・業界競合
・価値競合
・新規参入の脅威
・買い手(供給業者)の交渉力
・売り手(販売先顧客)の交渉力

こちらもフォーマットを使って分析してみました!

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そして、実際のSVOD事業のシェアは以下のようになります。

SVOD市場規模

【ちょい考察】
■定額制動画配信サービス(SVOD)の市場シェアは大企業によって占められている
■コロナの影響で可処分時間は増えたが、それでも動画配信市場は供給過多
■数は少ないがYoutubeでは演劇も無料視聴可能なものがある


□SWOT分析(OT)

SWOT分析とは
Strength(強み),Weakness(弱み),Opportunity(機会),Threat(脅威)
企業のこれらの全体的な評価をするもの

SW:内部環境分析分野
OT:外部環境分析分野

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【ちょい考察】
■やはりコロナウイルスの関係で解約率は増加しそうな環境。
■おうち時間が増えることによりSVOD事業の需要は高まるが、大企業の配信サービスで需要が満たせつつある。

そのまま内部環境分析に入っていきましょう!!

➢内部環境分析

□SWOT分析(SW)

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【ちょい考察】
■SVOD市場でのシェアではかなわないが、唯一の小劇場演劇の動画配信プラットフォームとしての価値はある!!!

□ポジショニング分析

ポジショニング分析とは
➡商品特性や消費者の知覚について競合商品と比較・分析することで、市場内における競合商品と自社商品の相対的な位置や商品の強み・弱みを把握すること

ポジショニング分析は主に3つの流れを意識してやります。

1⃣事業のターゲットはどんな人たちなのか
2⃣ターゲットの人たちがそのサービスで一番望むもの、買う決定要因(KBF:購買決定要因)はなんなのか、競合企業との違いは何か
3⃣競合先と比べて視覚的にどこにいるのかを把握

まず、
1⃣「観劇三昧」のターゲットはどのような人たちなのでしょうか

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次に、
2⃣ターゲットのKBFはなんなのか(ポジショニングマトリックスで比較)

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最後に、
3⃣競合先と比べて視覚的にどこにいるのか(ポジショニングマップ)

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【ちょい考察】
■やはり、圧倒的に作品数が少ない…
■扱うジャンルの数が違いすぎる。が、観劇三昧以外どこにも演劇がジャンルになかった
■提携先になれるのでは?そこでの収益のなん十%もらって、それを劇団に還元すればよい?


では、「観劇三昧」がどんなサービスなのかを少し詳しく見てみましょう

□4P分析

4P分析とは
➡どんな製品(Product)を、いくら(Price)で、どこで(Place)、どのように(Promotion)して売るかといったマーケティングにおける4つの視点を組み合わせた企業戦略を策定するための分析

フレームワークを使った結果がコチラ!

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【ちょい考察】
■様々な劇団と出会う機会を無料プランで増やせたが、その分有料会員へのコンバージョン率を下げている可能性あり。
➡一律有料プランにするのもあり
■プロモーションがあまりうまくなされていない


ここまでで
・PEST分析
・5force分析
・SWOT分析
・ポジショニング分析
・4P分析
と五つの分析をしてみました。
これで、いまSVOD事業がどのくらいの需要があり、それに対して「観劇三昧」がどこまで戦えているのかが少しだけ見えてきたと思います。

演劇が世間の人々の当たり前になるためにはこの市場ではまだまだ成長しなければならないということですね。

それでは、この状況を抜け出すためにはどうしたらいいのでしょうか?
実際に「観劇三昧」にはどんな課題があるのかを見ていこうと思います。


3. 企業課題

➢具体的課題

ちょっと振り返ってみると、現状、演劇業界には大きな二つの目標があると先ほど言いました。それがこちらでしたね。

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この目標に対して、市場分析をもとにどのような課題が見えてきたのかを同じような形でまとめてみました。

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一つずつ詳しく見ていきましょう!

➢目標と現状の差
 □問題➊「演劇が世間から離れている」

最初のほうで、映画・音楽業界との比較をしました。

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企業理念に書いてあるように、演劇が映画・音楽業界のように当たり前になってもらうことが目標と考えて、これにもう少し比較対象を広げて比べてみました。

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※平均上演回数
・演劇⇒2016年度ライブ・エンターテインメント白書参照
・映画⇒公開初週が5回/日で最終的に1回/日となるため、1スクリーン平均3回/日で計算

※出典
http://www.eiren.org/toukei/screen.html
https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/bunka/bunka_seisaku/houshin_torikumi/files/0000000938/houkokusho.pdf


映画業界とどれだけ差があるのかが数値化してみることでさらに明らかになりましたね...。この差の原因について、二つの視点から見たいと思います。
1⃣平均単価
2⃣上演平均回数

1⃣平均単価

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2⃣上演平均回数

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うーん。やはりリアルタイムでやるからこその価値提供という点では映画に勝るものがあると僕は思っていますが、演劇と縁遠い方はそれを感じていない方が多く、そのうえで観劇単価が高いから観劇をしないという人が大多数な気がしています。
もしくは、演劇の生の良さは知っていつつも、単純に単価が高いという理由でそこまで回数多く観劇できないということも考えられますね。

また、演劇の場合はもちろん一度にひとつの上演場所でしか上演ができず、一日の回転率も劣っています。そういった意味で売上の上限が決まってしまうのも映画との差が開いている原因ですね。

それでは、二つ目の問題点についても見ていきましょう。

 □問題➋「レベニューシェアの問題点」

劇団の活動を支えながらファンを増やしていくことができる「観劇三昧」ですが、このビジネスモデルの「レベニューシェア」には大きな問題点が二つあります。それがこちらです。

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これもまたひとつずつ見ていきましょう!

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このように、いまの「観劇三昧」のビジネスモデルだと、入りはするけどそこまで大きな収入は見込めなく、他劇団と競合することになるというのが現状となっています。

そこで、これらの問題➊、問題➋を解決するための目標指標として、KGIを設定することにしました。
(KGI:重要目標達成指標)

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それでは、これらのKGIをどう達成していくのかについて考えていきたいと思います。

➢ 市場分析から最重要なCSFを確定(KGIに直結する最重要なCSFとは?)

いきなり出ましたが、CSFとはcritical success factor の略で、重要成功要因という意味です。
目標達成指標であるKGIを達成するために一体どんなことをすればいいのかを細分化したものがCSFとなります。

また、このCSFを決定するにあたって、CSFをさらに細分化したKPI(key performance indicator)という指標を設けます。これら三つをまとめるとこうなります。

KGI(重要目標達成指標)➡企業が抱える課題に対する解決の指標
CSF(重要成功要因)➡KGIを達成するための成功要因
KPI(重要業績評価尺度)➡CSFを達成するための業績評価尺度

問題➊➋それぞれについて、【KPIツリー】というものを作成しました。
まずはこちらをご覧ください。

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このように、KGIからKPIまでを樹形図としてあらわしたものがKPIツリーとなります。このKPIはさらに細分化され、KPIが後ろにどんどんつながっていく場合もあります。
上の場合、CSFは二つありますが、今回はこの2つのうちどちらのCSFが重要なのか=最重要CSFは何なのかを決めていこうと思います。

それでは、上のKPIツリーを見ながら、先ほど行った市場分析をもとに問題➊の最重要CSFを決めていきましょう。

問題➊「演劇が世間から離れている」 最重要CSFは?

これはマクロな課題であるため、マクロ的な視点で行ったPEST分析・5force分析をもとに考察していきたいと思います。

考察1⃣:コロナ情勢の中、そもそも映像のストックが今後増えにくいことを考えると提供作品数は短期的に増加しても中長期的には横ばいになることが予想される。

考察2⃣:劇場が密空間であるため、観劇が好きなクリエイティブターゲットの新規登録が増加する可能性は高い

考察3⃣:所得低下によるリテンション率(継続率)の低下

考察4⃣:数少ない演劇映像専門SVODとして事業規模を拡大しブランディングしていくためには、セールスターゲット含めた新規参入を増やすことが大事

これらのことから、問題➊の最重要CSFは「新規参入数」だと考えます。

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次に、問題➋の最重要CSFについて考えてみたいと思います。

問題➋「レベニューシェアの問題点」 最重要CSFは?

まずは、問題➋のKPIツリーを見ていきましょう。

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...おや?
CSFが一つで、「新ビジネスモデル」なるものがあります。
これはなにかを説明します。

現状、ネクステージが提供している公演外収入は「観劇三昧」のロイヤリティ収入、およびここには書いていませんがショップでのグッズ販売収入のみとなっています。
(グッズ販売収入は観劇経験のない潜在顧客を捕まえるには力が弱い事業だと思ったので今回は省略しました。)

そして、「観劇三昧」のビジネスはさきほど「レベニューシェアの問題点」でも紹介したように

●劇団と消費者のトレードオフ関係
●劇団のロイヤリティ収入の相対的低下

という問題点がありました。
もちろん、これらの解決策は考えれば出てくると思います。たとえば
➡システムのアウトソーシングによる経費削減
➡ロイヤリティの相対的低下を防ぐため一劇団の配信作品数に制限を加える
など。

しかし、これらの解決してもロイヤリティ収入が大きく上がるかどうかは定かではありません
なぜなら、これから配信劇団が増えれば増えるほど相対的な低下は止められず、また今後のSVOD市場の価格帯などがどのように変化していくかはわからず、それに現状のレベニューシェアモデルが対応していけるかは本当にわからないからです。

そこで、劇団さんの公演外収入を増やすためには、既存のビジネスだけでなく、それらを複合的に応用した新たなビジネスモデルを構築する必要があると考えました。

そして、それは演劇業界でのサービスのシェアを独占しているネクステージだけができることであり、演劇という文化を促進するための公益的なビジネスであれば、「観劇」することに対する人々へのハードルを下げるきっかけにもなるのではないかと思います。

これらのことを踏まえて、問題➋のCSFについては新ビジネスモデルを考えながら決定していきたいと思います。

それでは、問題➊については決定したCSFをもとに、問題➋については新ビジネスモデルの構築を目指して、具体的な施策案を考えていきたいと思います!!


4. 施策案

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具体的な施策を考える上では、先ほどのKPIツリーの中にあったCSFを達成するための「KPI」について考える必要があります。
どういうことかというと、CSFと同じように、最重要KPIを決めていく必要があるということです。

つまり、

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この「ストア流入」「広告流入」「口コミ流入」の中で最も重要なKPIはなんなのかについて決定しなければならないのです。

ということで、さっそく問題➊について見ていきましょう!KPIを決定してそのまま施策案まで1通でいきます!

□問題➊「演劇が世間から離れている」 最重要KPIは?

最重要CSFが「新規参入数」と決まりましたので、その数をどのように増やすべきか、それはどのような業務から結果が出るのか、ということを細分化し、KPIを3つ洗い出しました。
それが上の図にもあるような「ストア流入」「広告流入」「口コミ流入」です。
一つずつどういったものかを見ていきましょう。

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●ストア流入
「ストアランキング上昇による自然流入の増加」(SEO)
「アプリ詳細ページの最適化におけるDL率の上昇」(CRO)
の2つの施策を合わせたASO(アプリストア最適化)を行うことで集客する

●広告流入
メディアを利用しての広告や、検索エンジンの検索上位にのぼることでの広告をして集客。

●口コミ流入
リファラルマーケティングともいい、人から人への紹介によって集客。

●ストア流入について
ASOについては、アプリ紹介しているキーワードがヒットしやすいか、ダウンロード数、利用率、レビューの星の数と平均値、アイコン、口コミの多さ
などによって最適化を目指していきます。

それには頻繁に更新を行う必要があり、また口コミの多さなどは星の数にも大きく影響してきます。またこんな記事を見つけました。

カリフォルニア大学バークレー校の研究によると、レビュー星が0.5星追加されるだけで、最も人気のある時間帯の売上げが13%~34%増加するという結果が出ており、ハーバード・ビジネス・スクールの研究では1つのレビュー星の追加が収益の5~9%の増加につながる

このように、星の数は収益に大きく影響するようです。
しかし、それと同時に偽装レビューも多発しており、単純にそれを信じていいのかということで、大手メディアでの広告などを通じて信頼感を得ないと単純に星の数だけが増えても効果がそこまで絶大というわけではない気がします。

●広告流入について
広告については、先ほども書いたように、大手のメディアでの露出を増やせば増やすほど世間からの信頼感と認知度をUPさせることができます。
そこから口コミなども広がり、同時にアプリ最適化を進めていけば潜在的な顧客も獲得することができると思います。

また、マスメディアのみでなく、「リスティング広告」といってSEO対策のような無料でできることではなく、お金を使うことで検索されたキーワードにひっかかり上位に広告が出るといった手法もあります。

しかし、これらの方法はいずれも多くの費用がかかるものであり、またリスティング広告はキーワード検索をされないと始まらないので、顕在顧客向けのマーケティング手法だとも言われています。

●口コミ流入について
口コミ流入は、集客において最も信頼感のある情報源である「身近な利用者(知り合い)」から流れてくる情報に基づいて消費者は判断します。
そういった意味で、一度広がってしまえば費用もそこまでかからずに集客ができるものかもしれません。(もちろん、その初期動作のための広告マーケが必要だったり、信頼を得るための継続的なASOなどもしなければならないと思います)

また、アプリのダウンロードに関して、何をもってダウンロードしたのかの調査結果があります。それがコチラ

口コミ流入理由

そして、演劇の公演を何で知って観に来たかの調査結果がこちら


どのように公演を知ったか

⑤友人の勧め、⑩劇団員から、を合わせると30%にまでなります。

これらを見てわかるように、口コミというのは他手法に比べても気をひくものでもあり、実際に足を運ぶ人が多いようです。
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CSF「新規参入数」について、3つのKPIを見てきましたが、それでは結局どれが最も重要なKPIなのか。それは「口コミ流入」だと思います。

➢理由(問題➊)

まず、ストア流入には星の数やダウンロード数など、裏の実態の見えない数字にそこまで信頼がおけないため、世間からの認知や信頼がない状態でそこに最も注力することは効果的ではないと感じました。

そして、広告流入に関して言えば、お金があればマスメディアなどで不特定多数に認知してもらうことができますが、それにはかなりの費用がかかります。そして、認知があがったところで利用者が少なかったり、直接誰かから評価を聞かなかったりした場合アプリのダウンロードにつなげられる確率は下がってしまいます。

つまり、まずは基礎の地盤を固めるといった意味で「良い口コミ」がされるような施策を先に実施し、業界から少し外に向けて橋掛かりができたころに広告流入に本力をスイッチングするといった手法をとるのが妥当だと思います。

ということで、問題➊のKPIツリーはこのようになりました!!!

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それでは、具体的な施策案とその実現可能性について考えましょう!


➢施策具体案とその実現可能性(問題➊)

問題➊の具体的な施策案としては主に以下の2つを考えました。

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まず、【Ⅰ. 既存有料会員の紹介】についてです。内容と可能性については以下2つの画像を見てみてください。

問題①施策➊

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あくまで損をせずに登録者数を増やすといったことが目的の施策となります。
一人につき一人までの紹介としていますが、これは制限をなくしたほうが単純に登録者数だけ増やすなら効果的かもしれないですね(今書きながら思いました...)

そして【Ⅱ.  団体登録割引】についてです。

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例えば、

「3人以上からの団体有料会員登録をすれば一人半額の割引が〇ヶ月続く」

といったような料金体系をとるのだとすれば、単純に通常料金の1.5人分の収入が得られますよね。
その期間中に団体のうちのだれかが解約したとしても、その期間無料プランでの利用を可能にすれば、登録者数は維持できます。
一時的にでもアプリに触れる機会を増やせれば今後、顧客の再獲得のハードルも下げられる可能性があると考えました。

以上が問題➊「演劇が世間から離れている」に対する施策案となります。

それでは、本日のメインどころである問題➋「レベニューシェアの問題点」に対する施策案として、新ビジネスモデルの構築をしていきたいと思います!!!


ーー新ビジネスモデルの構築(問題➋)

今回主に考えた新ビジネスモデルは主に2つあります。まずはⅠから見ていきましょう。

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➢新ビジネスモデルⅠ:広告・ECモデル採用

一つ目に考えたビジネスモデルは、「観劇三昧」に

■アフィリエイト広告(成功報酬型広告)(無料プラン利用者にのみ表示)
■オンラインショップ連携(「観劇三昧」の各作品配信画面の概要欄から飛べるように設定。劇団からのオススメグッズの表示もあり)

のシステムを導入することです。

■アフィリエイト広告
アフィリエイト広告は、ASP(アフィリエイト提供企業)という企業を介して、広告したい人と広告を実際に映すメディア(アフィリエイター)が連携して広告を流すというものです。

アフィリエイト広告ビジネスモデル

今回は、観劇三昧がピンク色の「メディア(アフィリエイター)」として広告主から広告の委託を受けるというビジネスについて簡単に考察したいと思います。

アフィリエイト広告ビジネスの特徴

1⃣報酬の形態(契約)によって収入が異なる。
➡ユーザーによる「クリック報酬」なのか、それともクリックの先で何か商売が成立したことによる「成果報酬」なのか
2⃣膨大なトラフィック(データ量や密度)がかかり、その管理コストと広告収入のバランスをとるのは簡単ではない
3⃣PV数は10万PV/月くらい行かないとビジネスとして安定しない
4⃣メディアサイト側の知名度に収入が依存する

「観劇三昧」の利用者の利用頻度や利用時間のデータがなかったので、一概には言えないですが、これらの特徴を踏まえると「観劇三昧」にとってこのアフィリエイト広告ビジネスはそれだけだと安定性が望めないビジネスなのかもしれません。

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しかし、収入源のひとつとして実施しても良いのではないでしょうか。


■オンラインショップ連携
すでに「観劇三昧」ではオフラインショップとしての店舗を2店舗出店しています。その他、オンラインショップにてグッズ販売も行っています。

しかし、その知名度は動画配信サービスの「観劇三昧」よりかは低いものだと感じています(実際僕も3か月有料会員として利用してからオンラインショップの存在に気が付きました)。

そこで、「観劇三昧」と「オンラインショップ観劇三昧」を連携させることで以下の効果があると考えました。

1⃣オンラインショップへのリンクと共に、売り出したいオススメ商品を「観劇三昧」で掲載。クロスセルへの誘導
2⃣自社メディアでの広告が可能なら集客コストを抑えられる

よって、このモデルは以下のように考えられます

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以上が「ビジネスモデルⅠ:広告・ECモデル採用」についての施策案でした。


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➢新ビジネスモデルⅡ:クラウドファンディング型観劇システム

今回、こちらが実は一番頭を悩ませた部分ではあるのですが、スライドを見ていただいたほうがわかりやすいかなと思いますので、スライドだけ置かせていただこうと思います。

実は今回の記事で一番見てほしい部分だったりします。スライドのPDFも再掲します。(P.84~になります)

それではスライドです。

【クラウドファンディング型観劇システム】

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以上が【ビジネスモデル:クラファン演劇パス】についてでした!!

5. 施策評価

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➢最も有効だと思う施策

結論

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理由としては、このクラファン演劇パスの利点にあります。
まとめたものがコチラです!!

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これらの理由から、この【クラファン演劇パス】を利用することで、

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両方の問題に対して貢献することができると考えています。

6.まとめ

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今回の分析は以上になります!!

長くて申し訳ないです。お付き合いいただきありがとうございました!!

Twitterアカウント

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そして、今回この企業分析の機会を与えてくださった#会計クイズ の生みの親「大手町のランダムウォーカー」さん、ありがとうございました!