D&D ファンデルヴァー砕けたオベリスク(11) - ゼフの日誌
エレベーター室
ドゥエルガルの休息地と呼ばれた鉱山跡を探索している。奇妙な力を使うゴブリン達、その頭領と思われるルキシシッドの討伐が目的である。
ルキシシッド捜索のため地下へと向かう。トロッコによる経路は確保したがエレベーターの経路もあるという。財宝を期待してそちらも見に行くことに。
ヒョルダックの案内でエレベーターが設置されたエリア前に到着。グレイが室内を偵察する。例の強化ゴブリンが4体ほど眠りこけている。起こさずに通り抜けることは難しい。グレイが暗殺することに。残りの皆は室外で待っていたが、グレイが何かに躓いたか大きな音がする。さすがにゴブリン達は起きたようだ。全員で室内になだれ込み戦闘を開始する。
ゴブリン達の動きを封じるべくウェブを仕掛ける。ゴブリンは寝起きにも拘らずひょいひょいとすり抜けてしまう。この呪文が役に立った覚えがない。明日からは別の呪文を準備してもよいかもしれん。ゴブリン達は戦う意思が無いのか、ある者は奥の手洗いへ、ある者はエレベーターへと一目散に逃げ惑う。バーラシュが一喝、投降を促すと大人しく従った。
しきりに命乞いをするゴブリン達。あまりやる気は感じられない。とは言え後ろから刺されては堪らない。縛りつけて布団に転がしておく。聞けばルキシシッドは鉱山の一番奥に居るという。真偽の程は不明だが奥へと進むほかない。
ヒョルダックによるとこの部屋の奥に隠し部屋があるとのこと。悪臭漂う手洗いの隠し扉を開けると温泉が湧いている。マインドフレイヤーは温泉を嫌がるとかで封印されたらしい。温泉の何を嫌悪するのか興味がある。湯か硫黄などの成分か。せっかくなので少し時間を割き身体を温める。温浴はいい。膝も腰もよく動くようになった。
暴走する採掘機械
トロッコとエレベーター、どちらの経路で進むべきか。エレベーターはゴブリン達と鉢合わせする可能性があるのでトロッコを選択する。解析した機械に魔力を充填して稼働させる。生命を得たかのように機械が震え唸りをあげる。頑丈そうな荷台に乗り地下へ。
暗いトンネルを地下へと下るほどに蒸し暑く感じる。激しい振動でまた腰を痛めつつ最下層に到着する。広大な洞窟となっている。向こうの端で何かの機械が唸りをあげているのが見える。ヒョルダック達が製作し、使役していた自動掘削機だとか。しかし様子がおかしい。我々を認識するとこちら目掛けて猛然と走り出した。ヒョルダックは、こりゃいかん、暴走しとると言い残し走って逃げてしまった。止める手立てや弱点はないかと尋ねるも「儂の作った機械は簡単には止まらん」と何故か自慢げにしている。
仕様がないので力づくで停止させることに。ハリオンやグレイが攻撃を加えるが勢いは収まらない。機械は巨大なドリルを回転させながら猛獣さながらに突進してくる。わしをかばったのかポトンが正面に立ち、体で止めようと身構える。だが相手は戦車のような巨大な機械。激突したポトンは軽々と吹き飛ばされひっくり返ってしまう。ポトンはそれでも気絶せずにすぐ立ち上がる。ドワーフというのは呆れるほど頑丈だ。その隙にバーラシュが機械の側面を集中攻撃し、これを停止させることに成功する。
周囲を少し探索する。密封された木箱をバーラシュが力づくで開ける。宝石がいくつも入っている。さすが鉱山。高価そうな財宝が多い。
這い寄る混沌
機械との戦闘で傷ついたポトンを気遣い、ヒョルダックが休憩場所まで案内してくれる。そこにはドワーフの物らしい神像があったが破壊されている。また別の神像が横に据えられてもいる。何の像だろうか。皆でいじり回して調べる。突如、頭に釘を差し込まれたような鋭い痛みが走る。他の仲間たちも同様にのたうち回って苦しんでいる。気味の悪い影が這い寄ってくるイメージが脳裏にちらつく。神像の足元から、影が、影が……!始まりと同じように唐突に痛みが引く。だが脳の一部を傷つけられたような不快感が残る。詳細は分からないし分かりたくもないが邪神の類だったのかもしれない。何でも好奇心で調べればいいという物でもないと学ぶ。
神像を視界に入れないように気をつけながら周辺を探索する。指輪を1つ発見。調べたところ精神魔法への抵抗力を持った指輪である。皆と相談した結果、わしが身に着けることに。小休憩の間に指輪の魔力と同調し、その効力を引き出せるよう準備をする。
休憩後、奥へ進む道中、下水だまりに出る。ひどい悪臭が充満しているがここを抜けるしかないようだ。下水だまりの向こう岸からゴブリンの叫び声。岩陰に隠れながら様子を見ると触手を持った怪物がゴブリンを捕食しているのを確認する。ファンダリンの井戸で戦った怪物に類似している。むしろ、より凶悪に変異しているようにも見える。怪物がゴブリンに夢中になっている隙に、我々は気配を消して下水だまりを渡る。
鉱山内に張り巡らされた線路に沿って進む。開けた場所に出る。線路の脇が崖になっており、崖下は地下水の湖となっている。少し沖にはピラミッドの様な建造物が見える。一本の橋がピラミッドへと伸びている。橋を渡るには崖下に降りる必要がありそうだ。そう思い崖下を覗くとアンデッドの集団と目が合う。思わず顔が引きつる。だがアンデッドどもはこちらに興味がないらしく、休まず採掘作業を続けている。戦わずに済むならそれに越したことはない。刺激しないように通り過ぎる。
結晶の竪穴
その先は広い竪穴が上方に伸びており、壁一面を結晶が覆っている。露天掘り跡でもあろうか。先行していた仲間たちが驚きの声をあげる。モンスターの不意打ちがあったようだ。結晶に擬態した芋虫の様な生き物が3体、頭上からぼとりぼとりと落ちる。ポトンはびっくりして武器をお手玉している。
バーラシュが二振りの太刀を繰り出して芋虫の結晶を削り取る。だが片方の刃だけ明らかに通りが悪そうだ。彼の武器のうち、一方は魔力を帯びているが、もう一方はそうではない。つまり魔法や魔法の武器による攻撃が有効なのだろう。
そこからはハリオンの独壇場だ。ハリオンは拳で芋虫を殴りつけていく。鍛錬を重ねた彼の拳には今や魔力が宿っている。結晶の防御を物ともしないのだ。芋虫は絶命すると、その身を破裂させて結晶を飛ばしてきた。ハリオンは見切って最小の動きで躱したが、傍にいたバーラシュの鱗にいくつか刺さったようだ。バーラシュは棘を抜くように刺さった結晶を取り除いていた。
結晶の竪穴の先はエレベーター室となっている。上階のエレベーターと繋がっているのだろう。周囲を探索するが、頭蓋が割られたドゥエルガルの骸骨があるばかりで目ぼしい物は見つからない。
湖上のピラミッド
これで探索していないのはあのピラミッドのみ。先ほどの崖へと戻る。7体ほどのアンデッドの群れは相変わらず採掘作業に没頭している。我々を認識しても攻撃の意志は見られない。グレイが恐る恐る近づき、ピラミッドへの橋を通してくれるよう丁重に頼む。アンデッドは無言で道を譲る。後ろから不意打ちされないことを祈りつつ橋を進む。アンデッド達はドゥエルガルの成れの果てに見える。もしかしたら生前の行動をずっと繰り返すことしか出来ない呪われた身なのかもしれない。
ピラミッドの正面に到達。扉があるが閉じられている。魔法による封鎖であろう。解錠するため魔力の網目を読み解く。わしの魔法体系とは異なる精神力学サイオニック・パワーが作用している。道中のゴブリンやアンデッドが使役していたあの力だ。ならばあのアンデッド達ならば開くことが出来るのではなかろうか。
グレイがアンデッドに扉を開くためのエネルギーを供給してくれるよう頼む。虚ろな目のアンデッドは少しためらった後、扉に触れて力を注ぎこむ。封鎖が解除され扉が開く。中はエレベーターと同じような造りだ。我々は意を決して乗り込み、装置を稼働させる。扉が閉まっていく数秒の間、アンデッドは我々を見送るようにじっと見つめていた。彼らの呪われた身の上を我々が解放することを願っているように見えた。
エレベーターで降下した先は黒曜石で造られた大広間だ。巨大な女ドワーフの像がそびえ立ち聖域然としている。祭壇のような高所に1体のゴブリンが見える。その頭蓋からは水晶が生えており、淡く緑色に発光している。我々の到着を予期して待っていたようだ。
ルキシシッドとの対決
そのゴブリンはルキシシッドだと名乗る。遂にたどり着いたのだ。ファンダリンを襲った理由を尋ねる。奴は神からの神託を得て物質界に革命を起こすのだとか、我々にもその神に仕えるべきだとか口上を述べる。しかし言葉を発するたびに白目を剥き、正気ではない様を見せる。何かに操られているのかもしれない。
ルキシシッドは、我々が奴の神を信奉する気がないことを悟ると、胸から緑色の光を発した。その光はドワーフの像にまとわり、石の体に仮初めの命を吹き込む。像は重々しく足を上げると我々に向かって歩き出した。
巨大なドワーフ像に対抗するため、我々も強大な自然の力を味方につけることに。バーラシュが魔法の宝石を投げつけ、ウォーターエレメンタルを召喚した。ドワーフ像とエレメンタルが大迫力の殴り合いをしている隙に我々はルキシシッド目掛けて殺到する。護衛のゴブリンたちと正面からぶつかり総力戦となる。わしはバーラシュに加速呪文ヘイストを唱えてそれを援護する。
エレメンタルの拳がドワーフ像の一部を砕き優勢に。だがそれも束の間、ドワーフ像は魔法の力により見る間に修復されてゆく。これではキリがない。やはりルキシシッドをを早急に叩くほかない。
そのルキシシッドは不思議な力で宙に浮かび我々の真上に陣取ると、突き刺さるような精神攻撃をわしに向けて放つ。これは予見の内である。難なく躱す。続けてルキシシッドは降下しつつシミターを振り上げハリオンに斬りつける。ハリオンは死角からの斬撃を避けきれずその場に伏してしまった。
ポトンは召喚した魔法の武器で護衛のゴブリンを押し留めながら、呪文で気絶したハリオンを回復させる。グレイは物陰に隠れて強力な毒のダガーを準備している。
バーラシュとルキシシッドが相対し、激しい斬り合いとなった。両者は防御も顧みず、ひたすら互いに斬りつけ合う。どちらも大ダメージを負ったがバーラシュが先に膝を折り、この勝負はルキシシッドに軍配が上がった。その時、殴り合いを続けていたエレメンタルが急に動きを停止。周囲を見回したかと思うと、わしに対して拳を叩きつけてきた。予想外の攻撃を躱しきれず頭を拳が掠めていく。危うく背丈が半分になるところだった。召喚主であるバーラシュが倒れたため、エレメンタルは制御を失って暴走しているようだ。非常に厄介な事態である。
バーラシュとの死闘で傷だらけのルキシシッドにハリオンが止めをさす。ドワーフ像の魔法が解け、動かぬ石の像となる。敵は全て倒した。だが味方だったはずのエレメンタルが大暴れして危険な状態だ。次元界に帰すこともままならず倒すほかない。
グレイが毒のダガーを投げつけるがエレメンタルには毒の効き目はないようだ。ポトンの呪文で回復したバーラシュとハリオンがエレメンタルの魔力を削る。グレイの放った矢がエレメンタルの核を射貫き、ついにただの水の塊と化して地面に吸い込まれていった。思わぬ強敵と化してしまったが、ドワーフ像と対峙することで随分と役に立ってくれた。召喚呪文の強力さと危険性について学ぶ良い機会であった。