D&D ファンデルヴァー砕けたオベリスク(15) - ゼフの日誌
タルハンドの地下墓地
かび臭い階段を下る。タルハンドの墓所へと降り立った。オベリスクの欠片はまだ無事だろうか。敵よりも先に見つけられればよいのだが。
墓所と言うだけあってさっそく複数の石棺が並んでいる。念のため魔道士の手でひとつノックをしてみる。案の定、反応がある。重そうな石棺の蓋が押しのけられ中からレヴナントが這い出してきた。他の石棺も呼応するように開き、合わせて4体ほどのレヴナントと対峙することになった。
やつらはこちらを認めると「眠りを妨げる者には死を」と宣言し、問答無用で襲い掛かってきた。
かなりの強敵と見える。わしはバーラシュに加速の呪文を唱えて後方に下がる。前衛は曲がり角の向こうで敵とぶつかっており、揉み合うような音や鈍い打撃音のみが聞こえてくる。
どうやら敵は傷を負ってもすぐに塞がってしまうようで、バラバラに攻撃していてもらちが明かない。集中攻撃による各個撃破の方針を採る。敵の1人が角を曲がってこちらに来たため鉢合わせになった。精神集中が途切れるとバーラシュが危険になってしまう。わしは霧渡りで敵から離れ、更に後方に下がった。
ポトンはレヴナント達に腹を掴まれ進退窮まっている。ハリオンがこれを蹴散らしポトンを解放する。ポトンは目立つからか、いつも何故か戦闘の中心にいる。ある意味これも人徳かもしれんな。
一度は倒したはずのレヴナントが再び立ち上がり、前線は混乱しているようだ。アンデッド特有のしぶとさに手を焼く。ポトンの聖なる光がアンデッドの呪いを弱め、敵を完全に沈黙させることができた。
墓所の幽霊
長い通路が伸びており、右側面には間隔をあけて3つの扉が見える。ドワーフの墓所らしく全体の造りが小さいように感じる。通路の先からは水音が聞こえている。
グレイが足音を忍ばせて偵察に行くがすぐに戻ってきた。ドワーフの幽霊を見たという。僧侶のような出で立ちで、紫色の血が滴る武器を下げていたらしい。これ以上一人で先に行かせるのは危険であろう。全員で手前の扉から調べていくことにした。
そこは遺体処理のための小部屋らしかった。隣の2部屋とつながっており、実際には一続きの長い部屋になっている。最奥の小部屋にてプレートアーマーを発見。デュマイソンの聖印が刻まれている。以前見つけたデュマイソン信者であるドワーフの遺物かもしれない。バーラシュが墓に備えてやろうと言って持ち運ぶことになった。
中央の小部屋にてグレイが隠し扉の存在に気付いた。かなり巧妙に隠されている。わしは透視魔法を唱え、扉の向こう側に視覚を作った。細い通路の先に円形の部屋があり、その中央にはなんとオベリスクの欠片が安置されている。早くも次の欠片を発見。しかしあまりにも上手く行き過ぎている気がする。嫌な予感にもみあげがチリチリする。
吉凶占術でこの扉を進んでよいものか占う。その結果は凶。詳しく調べてみたところ、隠し扉とその先の通路は構造的に接続されていないようだった。そもそも通れる状況ではなかったのだ。だが目的地は判明した。回り込んでこの円形の部屋を目指すことに。
死の気配が濃い部屋ではあるが、ここで小休憩とする。瞑想の準備をしていると誰かが驚きの声を上げた。振り向くとドワーフの女の幽霊が立っていた。幽霊ではあるがゾンビのように朽ちかけた姿だ。幽霊は人差し指を口に当てると胸郭を自ら開いて見せた。そこには臓物の代わりに宝石が輝いていた。表情は読み取れない。不穏ながらも艶めかしい幽霊だ。
次の瞬間、軽い眩暈とともに幻視を得た。足元に仲間のハリオンが倒れている。その頭蓋骨は割れており脳は無くなっている。これまでに得た知識から、マインド・フレイヤーを連想する。他の仲間たちも同様の幻を見たようだ。ひとまず予見による幻視ではなさそうで安堵する。だか何者がどういった意図で見せたのか不明であり気分は良くない。ハリオンを励まして予定通り小休憩を取る。
水場に棲まう蛇たち
小部屋を後にして通路の先に向かう。奥からは絶え間なく水音が響いている。遠目に多頭の蛇ヒュドラと蛇型の水の精霊ウォーター・ウィアードを確認することができた。両者はじゃれ合っているように見える。
どちらも厄介そうなモンスターである。仲間たちと相談し、ここはモンスターを相手にせず、濃霧で姿を隠して通り過ぎる作戦を採る。
低く呪文を唱え、モンスターのいる水場から霧を発生させる。全員で一斉に駆け出そうとしたその時、予見の幻視によりポトンが出遅れる未来が見えた。酒瓶の残量に気を取られているようだ。1人が取り残されると結局戦う羽目になってしまう。慌てて合図代わりにポトンの腹を叩いてやり、遮二無二に駆け出す。鎧の擦れ合う音や足音はごまかせないが、出来るだけ音を立てないように走り抜ける。ヒュドラは見えないながらも追いかけてきたようだが、誰も捕まることなく狭い通路に逃げ込むことができた。
偵察する間もなく駆けこんだ道だが、敵と鉢合わせにならずに済んだのは幸運であった。通路の両脇には扉が一つずつ立っている。
デュマイソンの信仰者たち
左の扉を開くと納骨堂であった。石棺がひとつだけあり、指輪をはめた女性のレリーフが刻まれている。位が高く個室が与えられていることから、この墓所を監督していた司祭のものだと推測される。しかもこの女性は先ほど現れた幽霊に容姿が似ている。
石棺を調べる前にグレイが罠の有無を確認すると言って前に出た。いつもの通りポトンが導きを与えるため呪文を唱えた。すると魔法に反応したのか石棺の蓋を跳ね除けて1体のスケルトンが姿を現した。
敵対するかと思われたがバーラシュが持ち運んでいたプレートアーマーを見ると躊躇する様を見せた。これは、とバーラシュが気づきデュマイソンの名を叫ぶ。するとスケルトンは動きを止め、その活動を停止した。
幽霊が見せた通りにスケルトンの胸を開いてみる。まさにその通りに宝石があった。バーラシュが手を突っ込んでこれを入手。また石棺の中に指輪も発見した。レリーフに描かれている指輪であろう。これもまたバーラシュが拾い上げたが効果が不明なため着用は避けた。
この司祭はわざわざ幽霊の姿でわしらに宝石の件を伝えに来たようだったが、いったい何が目的なのであろうか。我々に何かを依頼するための報酬だろうか。はたまた侵入者を撃退するための罠なのであろうか。慎重に判断したいところだ。
通路の向かいの部屋へ。そこでは年老いたディープ・ノームが1人がうずくまっていた。かなり衰弱している。彼は壁にあるレバーを調べているような様子だ。敵対する様子はないので食料と水を分け与えて話を聞く。
彼はリヴィビデルと名乗った。デュマイソンを研究する歴史家であるという。この墓所には調査のために来たが、北の通路で幽霊に会い、その能力で老化させられたらしい。本来はもっと若かったようだ。寿命を奪う幽霊と言えばバンシーの類であろう。この近くにアンダーダークへと通ずる道があり、彼はそこからやって来たという。
ノームであり研究家でもあるということで親近感が湧く。詳しく語り合いたいが今は急ぎの使命があるのだ。アンダーダークにも興味がある。いずれ仲良くなる機会があるといいのだが。