D&Dリプレイ 腐敗の影 (2)
かわいい道案内
ルナたち一行は無事テオの村にたどり着いた。
行商人のウェインは荷物の整理、冒険者たちはそれぞれ一休みすることになった。
先輩のパスカルとロビーは連れ立って酒場を探しに向かった。エリーは周りを警戒してくると言って一人で離れて行ってしまった。ルナは特にやることもなかったので、木かげで休もうと森の小径を歩いていた。
そこに一匹のかわいいリスが飛び出してきた。リスはキョロキョロと辺りを見回し、ルナと目が合うと慌てた様子で駆け寄ってきた。身振り手振りで何かを必死に伝えようとしているようだ。しきりに向こうを指さしては振り返り、ルナについてきて欲しいと目で訴えている。ルナは興味をひかれてリスの後を追いかけていった。
リスの後を小走りでついてくと、木々が生えていないちょっとした広場に出た。粗末な小屋が一軒建っている。よく見ると小屋の周りを犬のような動物が2匹ウロウロしている。あれはハイエナだろう。あれでは中に人がいたとしても外に出られないに違いない。リスを見ると訴えかけるようにルナを見ながら、小屋の方を指さしている。
(中に誰かがいて、助けて欲しいってことなのかな)
そうは思ったものの、ルナは自分だけでは不安だったのでそっとその場を離れると仲間を呼んでくるために急いで来た道を戻った。
突入作戦
村に戻ってきたものの、エリーはどこかへ行ったまま戻っていないらしく姿が見えなかった。酒場を探して行ってみると、パスカルはテーブルに突っ伏して寝てしまっている。ロビーに騙されて強い火酒を飲まされたらしい。当のロビーはニヤニヤしながらナッツをつまみに酒を飲んでいた。しかたがないので、エリーはロビーに事情を話してついてきて欲しいと頼んだ。例によって一杯おごる条件でロビーが助けてくれることになった。
ロビーを連れて戻ると小屋の周りのハイエナは4匹に増えていた。ロビーがおとりになっている間に、ルナが小屋へと走り寄り、力任せに扉をこじ開けた。中には一人の老婆が倒れていた。ルナはキュア・ウーンズで老婆を回復させた。ロビーが外で苦戦しているようだったので、ルナは小屋の窓からソーマタージーを放ち、大きな音でハイエナたちを追い払った。
老婆はお礼にお茶とお酒を出してくれる。外で急にハイエナたちに襲われ、慌てて小屋に逃げ込んだが気を失っていたらしい。リスはよく遊びに来るらしく、よくエサをあげていたが別に飼っているわけではないという。老婆のピンチを助けることができてどこか誇らしそうだ。
悪者はだれだ
一服しているとゴブリンが一匹やってきた。「オタカラをぬすんだな!かえせ、かえせ!」と騒いでいる。老婆は「盗んだりしていない」という。ルナは二人の話をよく聞いて、ゴブリンがこの小屋で『拾った』オタカラを老婆が取り返した、という真実を看破することができた。そっちが悪いぞ、と威圧したところゴブリンは諦めて帰っていった。
ルナとロビーが帰ろうとすると外ではゴブリンの集団が待っていた。5匹はいるだろうか。多勢に無勢、ゴブリンたちは力づくでもオタカラを奪う勢いだ。ルナは老婆を説得して、オタカラである緑の宝石をゴブリンたちに渡し、平和的に解決することとなった。ゴブリンたちはオタカラを手に入れると満足そうに帰っていった。
旅の相棒
小屋から村へ帰ろうとするとリスが駆け寄ってきてルナの肩に飛び乗った。老婆は
「どうやらあんたたちのことが気に入ったみたいだね。よかったら連れて行っておくれ。あたしはこれから行かなきゃいけない所があってね」
と言うと、小屋の横に落ちていた木の杖を拾い上げた。
「やれやれ、こんなところにあったのか。慌てて落としちまったんだね」
そうつぶやくと、何やら長い呪文を唱えた。老婆と小屋はまばゆい光に包まれたかと思うと、ルナが瞬きをした間にきれいさっぱり消えてしまった。
ルナはリスにリリという名前をつけて冒険に連れていくことにした。
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