D&Dリプレイ 竜の島ストームレック - マリウスの日誌(4)
ルナラの依頼
昨晩はキノコ鍋を食べた。マイコニドたちの姿がちらついたがうまかった。コボルドたちが呼びに来た。礼拝堂に来いという。ルナラから話があるらしい。今日は少し風が強い。
ルナラは難破船と洞窟の件で感謝していると言う。報酬の話だろうか。竜の伝説について教えて欲しい。そう思った次の瞬間、彼女はメキメキと音を立てて姿を変えた。そこには巨大なドラゴンの姿が。何が起きているのか分からない。彼女は実はアダルト・ブロンズ・ドラゴンなのだという。ドラゴンの変身能力についての記述は見たことがあるが、こんなにも早く目の当たりにするとは思っていなかった。
ルナラはわたしたちに頼みがあるという。仲間のブロンズ・ドラゴン、アイドロンを探してきて欲しいようだ。ケンカになって飛び出していったらしい。ドラゴンでも悩みは人間とさして変わらないようだ。本人はここを離れられないので代わりに行ってほしいとのことだった。
アイドロンが島の南東にある古代の天文台にいることは分かっているという。報酬ももらえるようだ。竜の知識を深めるチャンスなので行かない手はない。ケイネスは大胆にもドラゴンと交渉して追加の報酬を約束していた。たいした度胸だ。天文台の鍵だという六角形のムーンストーンを渡される。天文台へ向かう。
古代の天文台
南東の断崖地帯。天文台は崖の向こう側にある。竜の像のくぼみにムーンストーンの鍵をさすと虹色の橋が現れた。どういった魔法なのだろう。
天文台の中に入る。こうもりのような見た目のスタージというモンスターと、ウイングド・コボルドが数体いる。コボルドは鼻の頭に青い絵の具を塗っている。両者は争っているようだ。コボルドを助けようと戦闘に割り込む。ところがスタージを狙ったスリープの呪文がコボルドにも当たってしまった。コボルドとも交戦状態に。武器を置いて説得するも聞く耳を持ってくれない。ルナラのところのコボルドたちと様子が違う気がする。1体は取り押さえたが、1体は殺すしかなかった。気まずい。
2匹のコボルドは兄弟だったようだ。兄を殺して弟を捕獲した格好だ。ますます気まずい。ひとまず縛り上げて他の塔の様子をうかがう。
北西の塔では物音がする。何かが住んでいる様子。とりあえず放っておくことにした。
皆が南西の塔を調べに行った。面倒になってきたので中央で待つ。錠前に魔法の罠がかけられた本があるという。パルテノーペが解除して中を確認する。誰かの日記らしい。星図と魔法実験について書かれている。他にはgpとポーション・オブ・レジスタンスがあった。電撃を軽減する効果があるようだ。
中央の模型をよく調べてみる。精巧な天文模型だ。魔法により動作しているようだ。いったいどのくらい昔から動き続けているのか。惑星のすぐそばを彗星が通ることを示しているように見える。また、その脇には手作りらしい竜の彫像がある。決して上手いとはいえない出来で、赤や青などそれぞれに色が塗られている。
先ほど捕らえたコボルドを尋問するため南西の塔に連れていく。大声を出しても誰にも聞こえまい。悪役じみてきたパーティーの面々が頼もしく見える。コボルドは名をメックと言った。スパークレンダーという電撃を操るブルードラゴンを崇めているようだ。もうすぐ偉大な力を得ると言っている。わたしたちが探しているドラゴン、アイドロンはスパークレンダーに挑んで負けたあげく、地下に閉じ込められている。スパークレンダーは北東の塔にいて、そろそろ力を得る儀式を行うのだという。北西の塔はコボルドたちの住処のようだ。
そんな内容のことを尋問組から聞いた。わたしは虹色の魔法の橋が落ちた場合に備えて、ずっと中央で待機していた。決して疲れて休んでいたわけではない。
背後から襲われる危険を避けるため、まずは北西のコボルドたちを片づけることに。ケイネスが口八丁で一匹ずつおびき出し、パルテノーペが不意打ちで倒す。すぐにばれてしまったが数を減らしたおかげで、難なくコボルドを全滅させた。とても英雄的とは言えない所業だがそれがいい。目的のために手段を選んでいる暇はないのだ。
青い稲妻
北東の塔に入るために昇降機で上がる。中には4体の学者風の像がある。窓はステンドグラス。とても意味ありげな部屋だ。部屋の奥にはブルードラゴンが眠っている。スパークレンダーだろう。念のため先頭を行くシュランがポーション・オブ・レジスタンスを飲んでおく。竜語を話せるシュランが堂々と踏み込んでブルードラゴンを起こす。話をするうちに短気なシュランはドラゴンを挑発しはじめた。度胸がすごい。当然ながらスパークレンダーが襲いかかってきた。どうせこうなることは分かっていた。戦うのみだ。
スパークレンダーの強烈な電撃ブレス。エメンのブレスで保護されてなければ全滅していたかもしれない。3発もの電撃ブレスに耐えながらドラゴンを徐々に追い詰めていく。かなりダメージを与えたはずだ。スパークレンダーが苦しげに上昇しようとしたその時、真下で構えていたシュランが跳び上がり、渾身の一撃を叩き込んだ。一刀両断。ブルー・ドラゴンは真っ二つになってドサリと落ちた。
地面が盛り上がり、地下から小さなブロンズ・ドラゴンが這い出てきた。アイドロンだ。周りを見回して状況を理解すると、お前ら強いなと驚いている。ルナラが探していることを伝える。アイドロンはしょんぼりして、ルナラに謝らなくちゃなとつぶやいていた。
スパークレンダーの巣にあった財宝をかき集め、竜のやすらぎに戻る。アイドロンを連れて帰ったことでルナラは喜んでくれた。報酬も約束通り受け取る。ただ、スパークレンダーの最期を伝えたとき、悲しそうに俯いたのを見た。
ともあれ依頼は全てこなした。わたしの竜の血脈について有益な情報が得られることだろう。
(完)