ローム世界の架空惑星についての考察
この記事は前回の記事の内容と関係していますが,あまり繋がっていない上例によって前回までの記事を読んでも何のことかわからない可能性が高いため,読んでいなくても問題ありません.
導入
バンダの国はローム(Raomu)世界のある銀河にあるモーファス(Maophasi)星系の第3惑星ツェスナル(Tsesinaru)にあると設定されている.惑星ツェスナルは地球と同じような大きさであると想定されているが,
名称について
モーファス(maophasi)はバンダ語で「太陽」という意味であり,これはバンダ語固有の言葉ではなく.大陸由来のアスフィラン語彙であると推定されている.具体的には,モーが「陽」,ファスが「眩しい,輝く」という意味であると推定されている.そこで,モーファスは日本語で「輝陽」と呼ぶこととした.
ツェスナルはバンダ語で「地(ナル)球(ツェス)」という意味であるが,文章内で地球という名称を用いると混乱を招くため,漢字では「捏球(でつきゅう)」あるいは「捺球(なつきゅう)」と表現することとする(この漢字は朝鮮語でnalと発音する漢字を当てたものである).
余談だが,「ローム世界」は我々が今いる世界(現実世界)と創作世界を区別するために(僕が)創作世界側に与えた単語であり,ローム世界の住人が呼んでいる名称ではない(そもそも,(我々の住む世界にも名前はないように)ローム世界にはローム世界を表す名称は存在しない).ロームはバンダ語で「世界」という意味がある言葉である.我々が向こうの世界をローム世界と呼ぶように,ローム世界の住人はこちらの世界を「セカイローム」と呼んでいる.
惑星の形状
1年の日数は惑星により定まり,人間が人為的に決めるものではなく,翻訳という解釈でも説明できない.惑星ツェスナルの形状は地球とほぼ同一であると想定されているが,公転の周期にかかるツェスナルの日数は地球より若干長い.その件について,小説には以下のように記載されている.
1年の日数は372日であると明記されている(脳内ではうるう年が5年に1度あると推定されているので,実際は372.18日程度).輝陽の大きさが現実世界の太陽と同じ大きさ・光度であると推定する(これが違う場合,生命の存在に適す領域の範囲が大きく違う可能性がある)と,ハビタブルゾーンは厳しく見積もると0.99AU~1.01AUとなる.ここではちょうど1.00AUであると仮定して計算する.
メートルの起源(制定され方)が地球とツェスナルで同じだとすると,ツェスナルの大きさは地球の約0.989倍となる.
実際,飛ばされた世界で1メートルにあたる単位がこちらの世界での0.989メートルであったとしても,日常的に気付くことはまずないだろう.このことから惑星ツェスナルの大きさは直径約6302kmであると設定された.
惑星ツェスナルの密度$${d}$$が地球と同じ5.51g/cm^3=5.51×10^(-3)kg/cm^3 = 5.51×10^(3)kg/m^3 であり,万有引力定数$${G}$$がローム世界とこの世界であると同じであると仮定すると,$${M=\dfrac{4\pi R^3d}{3}}$$という関係から導かれる $${g=\dfrac{GM}{R^2}=\dfrac{4\pi GRd}{3} }$$に代入すると,
$${ g = \dfrac{4\times3.1416\times 6.674 \times 10^{-11}\times6.302\times 10^6 \times 5.51\times10^3}{3} = 9.707[\mathrm{m/s}] }$$
と計算できる.輝陽(モーファス)の質量$${M}$$が現実世界の太陽と同じ1.989×10^30 [kg],距離$${a}$$が1.496×10^11 [m]であるとすると,公転周期は,ケプラー第三法則を用いて,
$${ T = 2\pi\sqrt{\dfrac{a^3}{GM}} = 6.283\times \sqrt{\dfrac{(1.496×10^{11})^3}{1.989×10^{30} \times 6.674 \times 10^{-11} } }=3.1553\times10^{7}秒 }$$
と計算できる.これが372.18日なので,1日は84779秒になる.これが86400ツェスナル秒に一致するので,1ツェスナル秒は84779/86400=0.981秒となる.逆に1秒は1.019ツェスナル秒である.
さて,現実世界では1メートルは真空中を光が$${\frac{1}{299792458}}$$秒で進む距離であると定義されている(ローム世界でもの光の速さはこちらの世界と変わらない).これをもとに考えると,1ツェスナルメートルは0.989メートル,1ツェスナル秒は0.981メートルとなる.これをもとに計算すると,ローム世界の1ツェスナルメートルは光が真空中を$${\frac{1}{299684233}}$$ツェスナル秒で進む距離だと定義されている,と考えられる.ここまでの計算で実際には丸め誤差がある可能性があるが,(逆に)こちらを定義として計算しなおせば正確な値が出るだろう(これは未来の自分に任せる).
ここで,1メートルの長さに疑問を持った小説の主人公に対する答えが出ることになる.
実際,大きく変わらないことがこの計算からもわかる.