呪いの言葉@ブス
あの〜昨日ね、久々に他人にブチギレてしまったんですよ。ハッキリと言葉でね、ガッツリと態度でね。
それからというもの、そのブチギレの原因についてず〜っと考えているんですわ
月曜日、髪切ったんすよ。で、ついでにキッッチャナイ(汚いの上位互換)色した金髪も黒染めしたんですね。まぁ、それなりにスッキリしたと言いましょうか...イメチェン?笑、え俺...イメチェンした?いわゆる?イワユル?所謂?、みたいな感じになってたんですわな。幸せ者よな。
でさぁ、次の日ね、いつものようにコンビニのバイトに行ったんですね。あぁ僕コンビニでバイトしてるんですよ。映画撮りたいなぁと思って、そういう活動はしているんですが、なにせそれではお金を稼げる見込みがないので、しがないバイト生活、してるんですよ。
眠たい目を擦りながらね、8時から働くわけですよ。ありがたいことに(?)毎日同じ時間に来店される常連サラリーマンの方々に僕は顔を覚えられていまして、恐らくそれは金髪がトレードマークになっていたからなんでしょうけど、結構その日は声かけられたんですね。
客「...?え髪色変えた?」
僕「あ、はい、そうなんですよ」
客「新しい店員さんかと思った〜」
僕「いやいや笑」
客「なに?就活?」
僕「あ〜〜〜〜〜〜〜、いや、金髪もうええかな〜思いましてェ...(照れたような表情を作る)」
客「あ、そうなんだ笑(歩き出す)」
僕「アリガトウゴザイマー」
こういうやり取り何回もしたわ
絶対「就活?」って聞かれて、そのたんびに【いやいや、そういうのから逃げに逃げてる弱虫だからココにこんな時間から居てるんですわ、ホラじっくりと眼(まなこ)を合わせて見てみなさいヨこの虚栄心に塗れた自信の無い俺の瞳をサ】と心の中で思いながらも、そんなん口に出す程まだ脳ミソ腐ってないのでキッショイ自我を含んだ関西弁で「金髪もう飽きてもうて〜笑」言うんですわ。
ちなみに「就活?」という問いかけは、「え、夢諦めた?」を超オブラートに包んでこの言い方になってる可能性も、東京人ならば有り得ると当方睨んでおります。
あの、僕の文章は「酔っぱらいがまた何か言うてるわ」ぐらいの温度感で受け取ってください
やば無粋なこと書きましたすんませんホンマ本真ゆり、でね、13時に後輩の子(男、20歳)が出勤して来たんですよ。仮にこの後輩の子をA君としましょうか。仮にこの後輩の子をA君としましょうか???????一瞬自分じゃなくてロボットが喋ったのかと錯覚するぐらい、凡庸な設定をしてしまって今びっくりしています。
まぁいいや。でA君と僕はね、仲が良い...いや、正直僕はそんなにめちゃくちゃA君が大好きって程ではないんだけれど、それなりに軽口を言い合ったりする仲なんですね。結構僕をイジってきたりするのも、まぁなんていうか、カワイイよネ、ぐらい。
知っての通り僕はその日、髪切って初の出勤なわけですよね。そしたらA君も髪切ってきてるんですよ、しかもパーマ当ててんねん。A君は顔もちっちゃくてね、可愛らしい顔つきでね、それはそれは良くパーマが似合っておりましたよ。
で、そんなA君がね、出勤して僕の顔を見るなりね、言うんですよ
A「えっどしたんすか!」
僕「黒に戻してん!」
A「より...おブスになられて(笑)」
より...おブスになられて
ま、一旦落ち着こか笑
いや、これね、いきなりブスって単語が飛び出たわけではないのよ。ちゃんと流れはあんねん。
元々ね、詳細は控えますけども、コンビニ常連のお客さん達と、A君も交えて飲みに行く機会みたいなのが時折あるんですね。で、その飲み会はちゃんと楽しいと思って僕は参加してます。
ただその中で、1人のオジサンがね、酔うとたまに僕を「ブス」とイジって、それに対して僕がコンマ何秒で「ブスちゃうわ!」と言い返すくだりが存在するんですね。これ詳細なやり取りを文字に起こしちゃうと「その場の雰囲気」や「普段の人間関係」が一切漂白されて本当に嫌な会話にしか見えないので、それはしません。
ただ僕はブスとイジられてね、本気で心の底から嫌な思いはしてないんですよ。で、実際にそこまで言うほど今自分の顔はブスではないという自負があるので、自信を持って「ブスちゃうわ!」と早撃ちで返せるんですね。そのくだりで笑いが発生してる心地良さの方が、ブスと言われたことによるちっちゃな引っ掻き傷より勝ってるんですね。それがどれだけ低俗で安直な笑いだったとしてもね。このいくらか己を殺した態度の功罪については、1回保留させてください。
そういったやり取りをA君も見てたわけでね、その流れなんですよ。前述の「より...おブスになられて(笑)」は。イジりなんです。
でもね、許せなかったんですよ。
年下だからかもしれない
イケメンだからなのかもしれない
サブカル一切通ってない普段TikTokばかり見てるおもんな人間だと内心見下してるからかもしれない
僕は「より...おブスになられて」と言われた後、声になるかならないかぐらいの声で「イヤ...」と返した気がする。
そして接客している間、ふつふつと怒りが湧いてきて、そうだな、僕の心が村だったとしたら、その心の村の村長が、「仁瑛さん、ここは流石に村を代表してワシが一言あやつに言って差し上げます」と立ち上がったのです。レジに来るお客さんが一瞬止んだ隙に。
私は私の放った言葉を克明に記憶しているので、そのまま記します。
僕「あのさぁ...」
A「はい?(からあげクンを揚げている)」
僕「お前なぁ、よりおブスになられましたねってな、それ髪切ってきた人に対して言っていい言葉か?普通。飲み会やったらな、ノリで返したかもしれんけどな、飲み会でもないのに、今。バイト中でさ。なに?お前さ、俺がブスちゃうわ!って返すとでも思ったか?ボケが。」
ブチギレてるやん
ブチギレてもうたのよ
村長が村を代表して一言伝えるだけだったはずなのに、だんだん怒りのボルテージが上がって村人が一人また一人と立ち上がって結果的に村人総出の一揆になってしまいました。締めの「ボケが。」は言葉こそ「ボケが。」ですが、言い方とトーンは"FUCK YOU"のそれでした。完全に。洋画でこの場面をリメイクしたら、僕役の人は"FUCK YOU"と言います。俺が監督ならそう言わせます。
「ボケが。」の後、それはもうとんでもなかったです。A君は顔面蒼白で「すいません。調子乗りすぎました。」と言い、僕のせいで揚げ過ぎたからあげクンをひどく慎重に油切りしていました。僕はと言いますと、その様子をしばらく眺めてから正面に振り返り、すると長蛇の列がレジに出来ていたので「あっ...イラッシャイマセ~」と至極情けない声で店員に戻るのでした。村人たちは、強制的にその武器を下ろされたのでした。
ここはコンビニなんやで。いい歳して、なにをしてるの、ぼく
で、考える。どうしてそんなに「ブス」にブチギレたのか。
やっぱり髪切った、髪色黒に戻した、イメチェン(笑)したっていうのが大きいんやろなぁ。ほら、僕、イメチェンに(笑)って付けちゃうでしょ。自信がないんです昔から。ブスって言われたこと、過去にあったっけって思い返したんですけど、確かに何回はあるやろうけど、でもそんなに記憶に残ってないし、そもそも周りに恵まれてたのでそんな機会あんまなかった気がするんですね。あ、いや、他のことで嫌なイジり方されたとかはそういうのは普通にあるけどね。
結局思い返してみると、一番ブスって自分に言ってきた奴って自分やったんすよ。鏡見てさ。ホンマにずっと自分の顔すきじゃなくて、例えば修学旅行の写真でイケメンの友達と写ってるやつとか見て、「俺ブス過ぎる」とか思ってたもん。ずっと自分で自分に呪いをかけてたわけです。
でもね、原因は度が高すぎるメガネ(輪郭が歪みまくる)にあり、コンタクトにすればまだ救いようはあるという最低ラインの自信はあったから、大学生になってコンタクトを着けるようになり、そしたらヌルい造形の顔だけが残るのでちょっとマシになってきました。「あ、俺ちょっと持ち直してきたやん」と、そう思える日が連続してくるようになりました。こういう見た目の自信って結局モテないコンプレックスとも密接に関連してたわけで、彼女が出来るとかそういうこともようやく経験するようになってきて、やっと自分の顔を「間違ってもイケメンではないがブスではない」と思えるようになったんですね。
自分で自分にかけてしまった呪いを解いていく、そういう時こそ他人の言葉には敏感になった方がいいのかもしれない。他人が発する、呪いに引き戻そうとする言葉に。
さっき1回保留しますって言ったけど、飲み会でオジサンに「ブス」とイジられて「ブスちゃうわ!」と返す、そういうのってやっぱり絶対良くないのよ。安いやり取りを取ることで、実はちょっとずつまた呪いかけられとったんですよ。自分でも気づかんうちに。かつて本当にコンプレックスだった部分をイジられた時って、相手がマジとか冗談とか関係なく、ちゃんと「嫌です」って表明せなアカンねん。俺は後輩の子にブチギレる前に、飲み会でキレる...いや、キレる必要はない、キレる必要はないけども、「ブスちゃいますよ、ホンマに嫌なんでやめてくださいよ」言わなアカンかったんです。
1回でも大事にしたことあるなら、そこは守らないと、ポンって乗っかるのが処世術の正義ではない、よね。
なんかすんごい熱く喋ってしまった、恥ずかしい
あー髪切って黒染めしたら、この前買った古着ぜんぶ似合わんくなりました
おわり