みんなの熱い想いとともに、ペレニアルづくしのワークショップが始まりました!【後編】
9月から都立神代植物公園でスタートした「JINDAIペレニアルガーデンプロジェクト」。その最初の取組みとしてワークショップが立ち上がった経緯と、第1回目のワークショップ当日の様子を前編・後編にわけてお送りします。
●ワークショップ後半は公園中央にある宿根草園でフィールドワーク
ワークショップの前半は、公園に入って左手すぐにある植物会館が会場でしたが、後半はそこから500mほど離れた宿根草園まで歩いて移動し、フィールドワークを行いました。
休憩を挟んでトイレなどをすませ、班ごとにまとまって、公園の中央部にある宿根草園まで歩きました。レストランや草花の販売店を左手に見ながら園路を進むと、日ざしは強いものの、公園内の樹木がつくる木陰と、その間を抜ける風のおかげで涼しく感じられます。右手に目をやれば、池の上にオオオニバスのまんまるの大きな葉が浮かんでいるのも見えてきました。
芝生広場が見えてきたところで、右に曲がり、砂利道の園路を進んでいくと宿根草園です。
ワークショップが行われたこの日の天気は快晴。午前中のうちに30℃を超えて夏日となりましたが、周囲に高木とたくさんの緑があるおかげで、少し木陰に入れば、そこまで暑くはありませんでした。
ホワイトボードを、緑に囲まれたベンチのあるエリアに据えると、広々と開放感にあふれたワークショップ会場のできあがりです。
●宿根草園の第一印象を付せんに書き出していく
宿根草園で行う最初の作業は、第一印象の書き出し。参加者の皆さんが感じた宿根草園の第一印象を付せんに書き出すワークです。NPO法人グリーンワークスの三浦さんと谷村さんから、キーワードの書き出し方や、付せんの使い方についての説明があったのち、15分間のワークが始まりました。
バインダーと付せん、ペンをもった参加者の皆さんが、宿根草園のなかを自由に歩き始めます。
日なたに出ると、青空のもと照りつける太陽の日ざしでじりじりと肌が焼けそうです。しかし、暑さをものともせず、みんな元気に宿根草園の中を動きまわり、株元にあるネームプレートを見て植物を調べたり、満開の花の様子を観察したりしています。
特に注目を集めていたのが、中央にあるひときわ大きな緑の塊。これは、斑入りセイヨウダンチクというイネ科の植物で、秋になるとススキのような大きな穂をつけます。草丈3mはあろうかという圧倒的な存在感に、「これは何という名前?」「斑入りなのに、あまり斑が見えないねぇ」「ダンチクって竹の仲間?」などなどみんな興味津々。
その向かいには、暑さに負けることなくすっと伸びたカンナが、緑の葉に赤い花を輝かせています。
宿根草園の中には、ベンチや素焼きのツボなど、人の視線が自然と集まるようなフォーカルポイントがいくつか用意され、その前で付せんに言葉を書き入れている人もちらほら。猛暑続きでなかなか雨が降らないため、宿根草よりも、雑草たちのほうが優勢気味なことにも目がいきます。
●いろいろな意見が集まり、班ごとの個性も出始める!
気がつけばあっという間の15分間。運営スタッフからの声かけで、皆さん再び木陰のエリアへ戻ってきます。班ごとに集まり、それぞれがどんな印象を感じたのか、付せんのキーワードをもちよって、班の意見をまとめていきます。もうこの頃には、以前から知っていたかのような、和気あいあいとした空気ができていて、班ごとの個性も出始めてきたようです。
班ごとの付せんのキーワードまとめは15分ほどで終わり、紹介タイムとなりました。
三浦香澄さん(NPO法人 GreenWorks)から「どの班から行きますか?」の問いかけに、真っ先に「はーい!」と声のあがったのが5班の皆さん。
「私たち5班は、班のキャッチコピーを“ハッピースマイル”と名づけました!」
と、自分たちの班を元気よくアピールしてから、宿根草園についての第一印象を紹介。ニコニコしながら楽しそうに話す5班の皆さんの様子に、ほかの班の人たちも刺激を受け、明るく楽しい雰囲気が連鎖していきます。
その後は各班から自発的に手があがり、すべての班の紹介が終わると、宿根草園の現状に対するさまざまな意見が集まりました。
日当たりがよい
植物が元気
見通しがよい
風通しがよい
フォトスポットもある
全方向から植物が見えてよい
こんな場所があるとは知らなかった
結構広い!
虫さんがいっぱい! かわいい!
雑草の草丈が気になる
大きな木がたくさんある
最近見ない珍しい宿根草もある
きれいにしてご近所さんにPRしたい
ベンチをもっと置いて座って見られるようにしたい
などなど。
●公園を訪れる人たちにどう使ってもらいたいのかを、一緒に考えていく
現状の印象だけでなく、未来に向かってどうしたいかといった意見も出ていたのは、ワークショップに対するモチベーションの高さを物語っているようでした。
班からの紹介の度に、付せんのキーワードを、社会環境と自然環境の2つの大きなカテゴリにわけ、さらに同じグループごとにひとまとめにしていくと、皆さんが広い視野でこの場所を見ていることに気づかされます。植物に対する愛情が深く、知識や経験をもった人が多いこともあって、どちらかといえば、植物の種類や状態に着目した自然環境に対する付せんが多めでした。
これらを見ながら、木村智子さん(有限会社スマイルプラス)が今の参加者の皆さんの感じていることがらをまとめていきました。そしてその上で、これからこの場所を、どの人にどんな風に使ってほしいのか。自分だったら、この場所をどう使っていきたいのか。
「未来のJINDAIペレニアルガーデンが、どんなふうに地域の人たちに使われたらよいいか、考えてみませんか?」
という提案が出されました。
自分の庭やベランダなどで植物を育てている人はもちろん、それ以外にこの公園を訪れる多様な人たちにとって、このペレニアルガーデンがどんな場所だったらみんなに愛されるガーデンになるのか……。
ペレニアルガーデンの未来の姿だけでなく、これから半年かけて携わっていく参加者の皆さんの意識の変化も楽しみです。
●文責:小林渡(AISA)
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