夜の羊
ふたご座流星群をみるために、深夜外に出てみたが、雲があった。
雲はぽこぽことおなじぐらいの大きさにちぎれたものが見渡すかぎりにひろがって、そこに風の帯があるのか、空の同じ高さの位置で並び、同じ向きに流れていった。
ひつじの群れみたいに。もこもこと夜空を風が流れる方にすすんでいた。
こういうのを、ひつじぐもと言ったのだったかなあ。いや、ひつじぐもは、1匹のひつじがそこにあるかのようにもこもこと湧き上がる雲をいうのだったかなあ。モンゴルの草原の景色だろうか。行ったことはないけど。
もこ、と、もこ、の合間の空に、時々星がきらりと見えて、この雲の向こうは、空が澄んでいるのだなあ、星が動くのは、星が流れているのか、風で雲が流れているのか、判然としなくて、まあいいか、夜の羊が渡っていくのを10分ほど眺めたら、ずいぶん冷えた。