劇団東演公演「獅子の見た夢」観劇
2024年11月例会は劇団東演の「獅子の見た夢 戦禍に生きた演劇人たち」
堀川惠子さんの原作をシライケイタさんが台本を書いて、松本祐子さんが演出した舞台でした。
丸山定夫と園井恵子を中心とした「桜隊」の悲劇は、舞台に詳しい人ならば聞いたことがあるかもしれません。
三好十郎の「獅子」を上演していたのは広島。1945年の8月のことでした。
そしてあの運命の日を広島で‥‥‥。
我々が学校で習う年表中心の歴史では触れられない事実がこの舞台にはあります。
私は2015年9月例会で文化座の「獅子」を、2017年8月例会でこまつ座の「紙屋町さくらホテル」を観ました。
「獅子」は今回の舞台で演じられる演目、「紙屋町」は桜隊が登場する話で、過去の例会で学んだことをこの舞台でさらに深く知ることが出来ました。芝居を観続けることの大切さをすごく感じることが出来ました。
どんな状況でも芝居をやり続けたい人たちがかつていたという事実。
どこででもいいからということが彼らを広島に導き、原爆投下の日に巻き込まれることになる現実。
もう少し早くあの段階で降伏していれば失われるはずがなかった命が一体どれだけあったのか。
もし「桜隊」の面々が無事に終戦の日を生きていたならばどのような活躍をしただろうか。
何度もそう思いながら想像してみました。
戦後も生きた三好十郎と八田元夫は「桜隊」の想いを受け継ぎながら作家として、新劇人として活動したのだと思います。
劇中で招集のために「桜隊」を抜けた多々良純という青年は、一度はどこかで観たことがある味のある役者として活躍しました。
多々良さんはどんなことを思いながら役者を続けていったのだろうか。そんなことも思いながら芝居の余韻に浸りました。
芝居を観ることによって学ぶことはたくさんあります。
教科書ではない学びの場が観劇にはあります。
戦争ものの芝居は確かに暗いし悲しいです。
しかし目を背けないで観て欲しい。
そこには様々な人の想いが満たされているから。
我々はそんな人たちの想いをいかに受け継いで今を生きているのだろうか。
改めて観劇のある生活に感謝した例会当日でした。