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前進座公演さんしょう太夫観劇


最初から最後まで目が離せない素晴らしい舞台!

 前進座公演 さんしょう太夫ー説経節よりー
   ふじたあさや作 香川良成演出

2024年9月28日(土)下関市民劇場の9月例会、前進座のさんしょう太夫観劇しました。

この作品は前回は2008年8月に例会でお迎えしている。私はその頃は京都に住んでいたので当然観劇していない(京都でも下関でも)
前回と違い今回は俳優が若返ったとのことで前進座の財産演目であるこの作品をどう表現出来るかが注目された。
どう継承されているか、そして次の世代が今後の前進座を支えていくわけだからその可能性を見出せるかどうか。

舞台後方から役者が全員登場すると当日制作の方に聞かされていた。そのため荷物などが通路に出ていないように確認していて欲しいと言われた。
何も問題はなくいよいよ開幕。
写真の格好の役者が後ろから声を発しながらどんどん下りて舞台に向かう。
誰もが驚いて後ろを向いて一気に作品に引き込まれた。

森鴎外の「山椒大夫」が原作であんじゅとづし王の物語であるが、私は文学青年ではないために恥ずかしながら原作を読んだことがない。
読んでから観るか、観てから読むかと以前記事にしたことがあるが、今回は何も深く内容に触れずに観劇して大正解。
前進座が作り出すさんしょう太夫の世界に引き込まれてずっと目が離せなかった。
他の市民劇場の会員も同様だったようでこれだけ集中して静かに観ていたのは珍しい。やはり舞台は生で観るものだと改めて思い直した。この感動をもっといろんな人に伝えたいものである。

領家や散所、地頭というせりふがあったから鎌倉時代が舞台と思われる。普通に歴史を学んだ人にとってはまったくわからない中世の様子に驚きの連続だったと思われる。
これが中世ですよ、鎌倉時代ですよと知り合いに何度も話した。さんしょう太夫を観劇して中世を学ぶことが出来るのだから演劇が果たす役割は壮大だと言わなければならない。

あんじゅとづし王を演じた平澤愛さんと山本春美さんがものすごく良かった。どうしたらあのような表情が出来るのかとずっとその顔を見ていた。表情に所作どれも素晴らしい!これからの前進座を支えていくべき俳優の姿が観れて、今まで以上にますます前進座のファンになった。
私が今まで観た舞台の中でのベスト10に入る最高の舞台がこの前進座のさんしょう太夫。
殿堂入り(殿堂を設けていないが)の舞台でいいと思う。
観劇し終わったばかりだがまた観たくなっている。
今日ほど市民劇場の会員で良かったと思ったことはない。
前進座が残りの九演連のツアーを無事に完走出来ますように!
下関で祈っています。


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