オウンドメディア立ち上げ時に見落としてはいけない6つの注意事項
みなさま、こんにちは。
トヨイズミです。
わたくし、ちょっと前まで自社で運営するオウンドメディアの責任者をしておりました。
そんな過去の経験から、自社でのオウンドメディア立ち上げをする際に注意すべき6つのポイントについて解説していこうと思います。
時間が無い方むけに、先に概要を書いておきますので「もっと深く知りたい」という方は、後述する解説部分を読んでみてください。
概要
注意事項1:「なぜやるのか?」を明文化する。
そもそもオウンドメディアを立ち上げる目的がきちんと言語化されていないと、後々オウンドメディア自体の方向性が見えづらくなり、「いったい何のためにこのメディアやってるんだっけ?」となってしまいます。
言葉が思いつくまで、何回もブレストして関係者からの意見をしっかりとヒアリングすることが重要になってきます。
ちなみに、この作業をしっかりとやっていないとオウンドメディア公開後に途中破綻してしまう危険性が増しますので、この部分は脳ミソがミンチになるまで塾考するようにしてください。
注意事項2:媒体を決める。
オウンドメディアを持つからと言って、自社でwebサーバーを調達したりwebサイトを構築する必要はありません。
オウンドメディアが目指す方向によっては、自社でサイトを持つよりも他社が提供するプラットフォームサービスを活用する方が、より安価でより効率の良い場合もあります。
注意事項3:担当者を決める。
オウンドメディアのキーマンは編集長です。この編集長が不在であればメディアの質が悪くなり、誰も見てくれないメディアになってしまいます。編集長とライターそしてカメラマンと編集者。それぞれを誰が担当するのかをしっかりと洗い出し、対応できるように裏どりを取った上で計画を進めるようにすると良いでしょう。
注意事項4:運用方法を明確にする。
記事の投稿間隔や記事内容の調整、webサイトのメンテナンスなど、オウンドメディアを運営するためには、事前に決めておくべき事項がたくさんあります。タイミングに起因するもの、人に起因するもの、システムに起因するものなど、運用に関する事項を洗い出し明確化していく必要があります。
注意事項5:メディア立ち上げスケジュールを決める。
「我が社もオウンドメディアを持とう!」と意気込んだ勢いで、「翌月にはメディアを公開!」なんて無茶なスケジューリングでは確実に空中分解します。事前にいろいろなことを設計し明確化しておかないと、後々問題が続出しますので、焦って無謀な計画を立てないように注意してください。
注意事項6:作業場所を決める。
記事のライティングや画像編集、PV数の確認など、多くの仕事は自宅やカフェでもできる仕事がほとんどです。オフィスでやらなくてはいけない仕事と自宅やカフェでもできる仕事を予め予想し、明確化しておくことで、後々のトラブルを回避することができます。
如何だったでしょうか?
概要だけざっくりと解説しましたが、思ったよりボリュームが多くなってしまいました。
ここから先は、もう少し掘り下げた解説をしていこうと思います。
ここから先の文字数は4,300文字程度で、5〜8分程度で読み終えることができると思います。
個人的に「これはもっと解説が必要だな」と思ったものには、より詳しい説明のリンクをはっておきますので、そちらの記事も合わせてご確認ください。
注意事項1:「なぜやるのか?」を明文化する
オウンドメディアを立ち上げる際に、大きな障壁になる存在があります。それは、「自社の社員」です。
オウンドメディアを持つ重要性と、オウンドメディアをもたない事のリスクについて熟知しているオウンドメディア担当者(編集長とかライターとか)とは違い、それらの知識を持たない一般社員はオウンドメディアがもたらすメリットよりも、オウンドメディアにかかるコストの方に視点が行きがちになってしまうのです。
「そんな利益にもつながらないようなものにカネを使うなら、俺らの給料を上げてくれ」とか「競合他社達もオウンドメディアを次々と立ち上げる中、なぜ我々も同じようなオウンドメディアを作るのか?成功するとは思えないのだが。。。」など殺意がこみ上げてくるような言葉を何回も浴びたことがあります。
そのような時に、オウンドメディアに携わる人が方々に対して別々の解釈と見解で説明してしまうと、余計に事態がこじれてしまう結果になります。
オウンドメディアを否定する人は、肯定材料が見えない方否定するのであって、肯定材料を与えてあげれば良いわけです。
オウンドメディアの運営に携わる人がオウンドメディアの目的と必要性について同じ言葉で説明することができるようになってくれば、自然と言葉にも説得力が加わりますし、否定派に対して肯定材料を与えることができるようになってくる。という話です。明確にオウンドメディアの存在意義と目的、そして危機意識を同じ言葉で方々に説明する必要があります。
メディア立ち上げの当事者である立ち上げメンバーはメディアの必要性とメディアを持たないことに対するデメリットを理解しているでしょうから、あえて説明されなくとも良いわけです。しかし、メディアを持たないことのデメリットや危機感を持たない一部の社員からは、「無駄なカネ使いやがって」と反感を買うことでしょう。
そのような場合であっても、メディアを作ることの目的やメリットを明確な言葉で説明できないようでは、メディアを存続させることは難しいでしょう。
オウンドメディアは立ち上げから公開までの期間がとても忙しく、お金もかかります。そのような場合、社内からは「カネ食い虫」と煙たがれることもあるかもしれません。そのような時に、しっかりとした言葉とわかりやすい表現で「オウンドメディアをやる理由とやらないデメリット」をしっかりと伝えれることが非常に重要になってきます。
自分の身を守るためにも、社内の理解を高めメディア運営に協力してくれる人を増やすためにも、「やる目的と理由」をしっかりと伝わる言葉に置き換えれるようにすると良いでしょう。
注意事項2:媒体を決める。
オウンドメディアを立ち上げるとした場合、自前でwebサイトを立ち上げるもしくは、他社が持つプラットフォームに自社サイトを構築する。という選択肢のどちらかを選ぶことになります。
自前でwebサイトを立ち上げる場合、自社にいる社員でwebサーバーを立ち上げ、そこにwebサイトを構築し、CMSを導入した後にサイトを公開する。という手順を踏むことになりますが、AWSなどのクライドサービスを使えば思った以上に簡単にサイト構築をすることができます。
また、AWSでは、Wordpressが最初から導入されているサービスも用意されているので、サイト構築に時間をかけたく無いかたには嬉しいサービスと言えます。
自前でwebサイトを構築するメリットは、自由度の高いサイト構築ができることと、制作コストを低く抑えることがあげられます。
サイト制作を外部に依頼すると数十万円かかるため、初期費用を抑えたい場合には自前でサイト構築をするのが有力な選択肢となりそうです。
しかし、サイト制作を自前でやってしまうと、サイトの運用も自社で行わなくてはいけなくなるので、長期的な視点で考えてみると、そこまでコストメリットが良いとは言い切れません。
月数万円の保守代金を数年契約で結べば、サイト構築費用を無料にするweb制作会社も存在するので、そのような企業に外注するのが良い選択肢と言えそうです。
ここまでが、「自前でwebサイトを構築する場合」でした。続いて「他社が持つプラットフォームに自社サイトを構築する」について解説します。
「自社の情報発信というより、採用活動を強化したい」という状況であれば、自前のwebサイトを持つよりも、他社のプラットフォーム上に自社ページを構築する方が低コストでオウンドメディアを構築することができます。
*そもそも、他社プラットフォーム上に構築したページのことをオウンドメディアと定義するのが微妙なところではありますが。。。
有名どころでいうと、Wantedlyという求人媒体を使えば、自社のページを持つことができ、自由度の高い記事を投稿することができます。またWantedlyは求人媒体なので、同時に求人票も作成することができ、求人内容と親和性の高い記事を作成することができる。というメリットもあります。
注意事項3:担当者を決める。
昨今多くの企業でオウンドメディアが立ち上がり、その多くが途中で破綻しCloseしています。私も編集長時代にいくつかのオウンドメディアが破綻していく様を見てきて、その共通点に気付きました。
それは、担当者が明確になっていないこと。です。
担当者が明確になっていないと、責任の所在が不明になり、一部の関係者に業務が集中し超絶ブラックな状態になってしまいます。
「前例が無いことなので、やりながら軌道修正していこう。とりあえず責任者を1名選出し、スタートさせちゃおう」と見切り発車したメディアはかなり高い確率で破綻しています。そのため、最初にしっかりと「起こりうる事態を想定し、それを考慮に入れた人選」を行う必要があります。
担当者が必要になる役割は編集長・ライター・写真/画像担当・校閲の4種類です。
この項目は、別の記事で詳しく解説しているので、そちらも参考にしてみて下さい。
注意事項4:運用方法を明確にする。
オウンドメディアを途中で破綻させたく無いのであれば、下記の2点をしっかりと守ってください。
1:外部に委託できるものは外部に委託する
2:初期コストをケチらない
webサイト構築や、記事の執筆でも触れた部分となりますが、できるだけ外部のプロに作業を委託し、自社の人間はメディアのプロデュース作業に専念する必要があります。
オウンドメディアで重要なのは、「当初の目的が達成できているか?」を日々チェックし、軌道修正を行うことです。
編集長や専任者が日々の作業に謀殺され、毎日作業をこなすだけの「作業者」になってしまうと、メディアの存在意義が薄れますし、何よりメディアの質が落ちます。
そのため、専任者の作業負荷は極力抑え、できるだけ考える時間と競合サイトの調査に時間が避けるように配慮すべきでしょう。
下記におすすめの運用を書いておきますので、参考にしてみてください。
サイト制作は外注し、サイト運営(メンテナンスや設定変更など)も同じ会社にやってもらう。
記事執筆は最初の10記事まではプロのライターや企業に発注する。後にその10記事はお手本としてテンプレート化されるので、記事発注の段階でメディアに投稿する記事のジャンルやパターンなどは設計しておく。
各種記事をプロにライティングしてもらったら、テンプレート化して社内のライター希望者へ執筆の依頼をする。社内バイトとして発注し、1記事あたり5000円〜10000円辺りの金額を支給する。
校閲も社内バイトで他の社員にやってもらうのが好ましい。最終的には編集長もチェックすることになるが、編集長に上がってくるまでに、一度校閲を済ませた状態にしておかないと、編集長の業務量が上がってしまい、本来着手しないといけない仕事に影響が出てしまう。
注意事項5:メディア立ち上げスケジュールを決める。
「見切り発車したメディアから破綻していく。」と先述しましたが、そうならないためにも、余裕を持ったスケジューリングは必要です。
昨今オウンドメディアブームの影響もあり、中小ベンチャー関係なく多くの企業でオウンドメディアが立ち上がっています。
多くのメディアが乱立している状況ですので、急いでメディアを公開する必要はありません。大事なのは、途中で破綻しないようにしっかりと事前準備をして、十分な準備期間と資金を用意することなのですので、余裕を持った計画を作ることが重要になります。
サイト構築は外注するにしても、内製化するにしても3ヶ月くらいは見ておいた方が良いです。
その3ヶ月の間には、サイト要件の明文化・サイトのテーマ/デザイン設計・設計書作成・運用設計書作成・テストサイト作成〜公開(細部の修正)・本番サイト作成〜公開(細部の修正) などを行います。
最悪なのは、「見切り発車でも良いから1ヶ月以内に自社でサイトを作って公開しろ」という無茶な依頼です。
先述しましたがAWSなどを利用し、有用のWordpressテーマなどを使えば数日でサイトを作ることは可能ですが、「サイトがきちんと表示されない」「文字のサイズがブラウザによって違う」とか「スマホ対応になってない」など予期せぬ事態が発生し、その修正作業に多くの時間を削られることになりますので、そのような無理難題を押し付けてくる経営者や上司がいるのであれば、当事者として「それは無謀です。」とキッパリと断る姿勢を見せてください。
「それをなんとかするのが、お前の仕事だろ」とブラックな発言をしてくる人には、「そんなことをしてきたサイトから破綻しているんですよ」と現実を突きつけてやりましょう。きっと黙ります。
注意事項6:作業場所を決める。
無計画なメディア設計が多くのオウンドメディアを破綻させてきたことは説明しましたが、見落としがちなのが「どこで作業するか?」についてです。
昨今、働き方改革の影響もあり、働く場所にも多様性が見られるようになりました。特に自宅や近所のカフェ、コワーキングスペースなどを活用するケースが多くなり、オフィスに通勤する機会が減少傾向にあります。
記事の執筆、調べ物などは会社のオフィスでしかできない仕事では無いのですが、機密事項などを扱うケースもありますので、仕事をする場所などは事前に決めておいた方が良いでしょう。
まとめ
私自身、未経験の中で自社のオウンドメディアを立ち上げ、運営し後輩に引継ぎました。
その経験から、「もしあの時、この事項について知っていたらなぁ」という重要事項をつらつらと書き連ねて見ました。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。